2020年04月07日
小細胞肺癌二次治療におけるLurbinectedin
ASCO 2019で報告されていたLurbinectedinの第2相試験、論文化されていた。
今回は単剤としての治療効果の報告だが、何故か現在進行中の第3相試験は、ドキソルビシンとの併用療法としての効果を検証するものらしい。
ドキソルビシンにこだわるところが、いかにも欧州主導の小細胞がん関連臨床試験、という薫りがする。
sensitive relapse症例におけるPEI療法やノギテカン単剤、アムルビシン単剤療法との比較試験、refractory relapse症例におけるアムルビシンとの比較試験など、見てみたいところ。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e815982.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e972856.html
また、小細胞肺癌の患者の中には、例えば限局型小細胞肺癌で、化学放射線療法後に再燃した患者であるとか、PS不良のためにアテゾリズマブが併用できなかった患者もいるが、こうした患者に対して二次治療以降で免疫チェックポイント阻害薬の出番はあるのだろうか。
確か、米国食品医薬品局では、三次治療以降のニボルマブは承認されていたように思うのだが、我が国ではどんな議論が進んでいるのだろうか。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e940275.html
それから、Rova-Tはどうなったんだろう・・・。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e913905.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e858706.html
Lurbinectedin as second-line treatment for patients with small-cell lung cancer: a single-arm, open-label, phase 2 basket trial
Paz-Ares et al., ASCO 2019 Abst.#8506
José Trigo, MD et al., Lancet Oncol 2020
DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(20)30068-1
背景:
初回化学療法が無効中止となった後の小細胞癌に対する治療選択肢はほとんどない。Lurbinectedinはがん化に関わる転写因子を選択的に阻害する薬である。今回の第2相臨床試験において、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至った小細胞肺癌患者に対するLurbinectedinの活性と安全性について評価した。
方法:
今回の単アーム、オープンラベル、第2相バスケット臨床試験において、欧州6か国と米国の26施設から患者を集積した。
患者適格基準は、
・18歳以上
・病理学的に小細胞肺癌と確定診断されている
・ECOG-PSは2以下
・RECIST ver.1.1基準に合致する測定可能病変を有する
・脳転移がない
・臓器機能が保たれている
・前治療として1レジメンだけ化学療法がおこなわれており、最終投与から少なくとも3週間は経過している
こととした。免疫チェックポイント阻害薬の治療歴は可とした。
病勢進行もしくは毒性による中止に至るまで、体表面積1㎡あたり3.2mgのlurbinectedinを3週間に1度、1時間の時間をかけて投与した。主要評価項目は、RECIST 1.1基準に則った奏効割合とした。治療を受けた全ての患者は、有効性と安全性の評価対象となった。本試験は現在も継続中である(ClinicalTrials.gov, NCT02454972)
結果:
2015年10月16日から2019年1月15日にかけて、105人の患者が登録され、lurbinectedinの投与を受けた。経過観察期間中央値は17.1ヶ月(四分位区間は6.5-25.3ヶ月)だった。奏効割合は35.2%(95%信頼区間は26.2-45.2%)だった。 頻度の高いGrade 3-4の有害事象は、貧血(9%)、白血球減少(29%)、好中球減少(46%)、血小板減少(7%)だった。治療関連の深刻な有害事象は、11人(10%)で認められ、好中球減少、発熱性好中球減少が5人ずつ発生で最も多かった。治療関連死は認めなかった。
結果の解釈:
Lurbinectedinは小細胞癌に対する二次化学療法として、腫瘍縮小効果と受容・対処可能な毒性プロファイルを併せ持つ有望な薬と考えられた。lurbinectedinは、とりわけ初回治療後の再燃時には有効な治療オプションが乏しい小細胞肺がんにあって新たな可能性を秘めた治療であり、現在はドキソルビシン併用での二次治療として第3相臨床試験が進行中である。
今回は単剤としての治療効果の報告だが、何故か現在進行中の第3相試験は、ドキソルビシンとの併用療法としての効果を検証するものらしい。
ドキソルビシンにこだわるところが、いかにも欧州主導の小細胞がん関連臨床試験、という薫りがする。
sensitive relapse症例におけるPEI療法やノギテカン単剤、アムルビシン単剤療法との比較試験、refractory relapse症例におけるアムルビシンとの比較試験など、見てみたいところ。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e815982.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e972856.html
また、小細胞肺癌の患者の中には、例えば限局型小細胞肺癌で、化学放射線療法後に再燃した患者であるとか、PS不良のためにアテゾリズマブが併用できなかった患者もいるが、こうした患者に対して二次治療以降で免疫チェックポイント阻害薬の出番はあるのだろうか。
確か、米国食品医薬品局では、三次治療以降のニボルマブは承認されていたように思うのだが、我が国ではどんな議論が進んでいるのだろうか。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e940275.html
それから、Rova-Tはどうなったんだろう・・・。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e913905.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e858706.html
Lurbinectedin as second-line treatment for patients with small-cell lung cancer: a single-arm, open-label, phase 2 basket trial
Paz-Ares et al., ASCO 2019 Abst.#8506
José Trigo, MD et al., Lancet Oncol 2020
DOI:https://doi.org/10.1016/S1470-2045(20)30068-1
背景:
初回化学療法が無効中止となった後の小細胞癌に対する治療選択肢はほとんどない。Lurbinectedinはがん化に関わる転写因子を選択的に阻害する薬である。今回の第2相臨床試験において、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至った小細胞肺癌患者に対するLurbinectedinの活性と安全性について評価した。
方法:
今回の単アーム、オープンラベル、第2相バスケット臨床試験において、欧州6か国と米国の26施設から患者を集積した。
患者適格基準は、
・18歳以上
・病理学的に小細胞肺癌と確定診断されている
・ECOG-PSは2以下
・RECIST ver.1.1基準に合致する測定可能病変を有する
・脳転移がない
・臓器機能が保たれている
・前治療として1レジメンだけ化学療法がおこなわれており、最終投与から少なくとも3週間は経過している
こととした。免疫チェックポイント阻害薬の治療歴は可とした。
病勢進行もしくは毒性による中止に至るまで、体表面積1㎡あたり3.2mgのlurbinectedinを3週間に1度、1時間の時間をかけて投与した。主要評価項目は、RECIST 1.1基準に則った奏効割合とした。治療を受けた全ての患者は、有効性と安全性の評価対象となった。本試験は現在も継続中である(ClinicalTrials.gov, NCT02454972)
結果:
2015年10月16日から2019年1月15日にかけて、105人の患者が登録され、lurbinectedinの投与を受けた。経過観察期間中央値は17.1ヶ月(四分位区間は6.5-25.3ヶ月)だった。奏効割合は35.2%(95%信頼区間は26.2-45.2%)だった。 頻度の高いGrade 3-4の有害事象は、貧血(9%)、白血球減少(29%)、好中球減少(46%)、血小板減少(7%)だった。治療関連の深刻な有害事象は、11人(10%)で認められ、好中球減少、発熱性好中球減少が5人ずつ発生で最も多かった。治療関連死は認めなかった。
結果の解釈:
Lurbinectedinは小細胞癌に対する二次化学療法として、腫瘍縮小効果と受容・対処可能な毒性プロファイルを併せ持つ有望な薬と考えられた。lurbinectedinは、とりわけ初回治療後の再燃時には有効な治療オプションが乏しい小細胞肺がんにあって新たな可能性を秘めた治療であり、現在はドキソルビシン併用での二次治療として第3相臨床試験が進行中である。
血液脳関門とがん薬物療法
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法と胸水・腹水貯留
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
ビノレルビンにも供給不安
進行非小細胞肺癌二次もしくは三次治療のアムルビシン単剤療法
有害事象による治療中止と、その後の治療再開
ナブパクリタキセル、まさかの供給停止
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法再考
進行肺扁平上皮がんでは、二次治療以降でニボルマブにイピリムマブを上乗せする意義はない
ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法・・・NEJ009試験の最新データ
日本人の高齢進展型小細胞肺がんの標準治療
肺がん診療におけるステロイド薬の使い方
今更ながら第III相AVAPERL試験のおさらい
PD-L1≧50%の進行non-Sq NSCLC患者で、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法は必要かつ十分なのか
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法と胸水・腹水貯留
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
ビノレルビンにも供給不安
進行非小細胞肺癌二次もしくは三次治療のアムルビシン単剤療法
有害事象による治療中止と、その後の治療再開
ナブパクリタキセル、まさかの供給停止
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法再考
進行肺扁平上皮がんでは、二次治療以降でニボルマブにイピリムマブを上乗せする意義はない
ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法・・・NEJ009試験の最新データ
日本人の高齢進展型小細胞肺がんの標準治療
肺がん診療におけるステロイド薬の使い方
今更ながら第III相AVAPERL試験のおさらい
PD-L1≧50%の進行non-Sq NSCLC患者で、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法は必要かつ十分なのか
Posted by tak at 17:46│Comments(0)
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