2020年01月17日
高齢進行非小細胞肺癌の治療に関する、セカンドオピニオン・・・?
コメント欄で、相談を受けた。
患者さん、ご家族からのセカンドオピニオンだったらこの場ではお引き受けしないのだが、今回はどうも若手の先生からのご様子。
こんなのもセカンドオピニオンというんだろうか。
少しでもお力になれれば、この先生のモチベーション向上につながればと思い、私のわかる範囲で考えを述べさせていただいた。
個人情報保護の観点からは問題なさそうだと判断し、参考になるように1本の記事にまとめておく。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e873583.html
Posted by 駆け出し腫瘍内科医 at 2020年01月16日 10:58
こんにちは。いつもお疲れ様です。
TS-1は何も治療薬が無い人に使うもので、効果はあまり無いと思っていて今まで避けてきました。
この記事を読んで、考えを変える機会になります。
高齢で非小細胞肺がん、EGFRuncommonでTKIやICIの効果が見込めずに治療に行き詰まってしまいました。
なかなかエビデンスのない治療は出来ない環境に身を置いており、悩んでしまいました。
全く治療を諦めていない、頑張りたいとおっしゃるこの方に使う価値はありますでしょうか?
他のレジメンのお考えもお聞かせ下さいませんか?
ご本人もご家族もゼロではないなら可能性に賭けたいと言われています。
私も何とか生存期間を延ばしてあげたいのです。
駆け出し腫瘍内科医さんへ
コメントありがとうございます。
先生のように、この領域を自分の生業として選び、患者さんとともに歩んでくださる方が、私の備忘録を参考にしてくださって、とても光栄です。
まず、高齢であっても、理解力があり、治療意欲があり、PSがよく、治療中のリスク管理ができる方であれば、積極的に治療を考えて差し上げるべきだと思います。
まず、この方が初回治療という前提で記載します。
文面から、非小細胞肺癌(NOS, not otherwise specified)、EGFRはwild typeではなく、uncommon mutationが認められたということですね。
uncommon mutationの詳細が分かりませんが、少なくともアファチニブやオシメルチニブを試してみる可能性はあると受け止めましたが、いかがでしょうか。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e752613.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e923314.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968312.html
また、ICIを検討すべき局面もあるかも知れませんので、組織検体が残っていればKRAS遺伝子変異やTPSは検索しておいた方がよいかもしれません。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968478.html
臓器機能が保たれており、PSが良ければ、CBDCA+PEM併用化学療法も一つの選択肢です。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e957732.html
単剤療法であれば、高齢者進行非小細胞肺癌の標準治療はドセタキセル単剤で、その他にビノレルビン単剤、ジェムシタビン単剤も選択肢に挙がります。肺がん診療ガイドラインにも記載されているはずです。
ドセタキセル単剤はビノレルビン単剤に対して、我が国発の臨床試験において優越性を示しています。
既にドセタキセル単剤治療はやった後で、二次治療を考えているということであれば、S-1を考えてもいいと思います。
若年肺がんの世界(これは個人的な見解ですが、非小細胞肺癌患者の年齢中央値が75歳を超え、これからも高齢化が進むことを考えると、75歳以上が多数派、75歳以下が若年肺がんというサブグループと捉えた方がしっくりくるような気がします)では、ドセタキセルは二次治療でラムシルマブと併用されることが多くなっており、S-1やICIとの関係性も相俟って、単剤治療としての意義が薄れつつあります。
そろそろ、75歳以上のpopulationにおける初回治療として、S-1がDOCに置き換わってもいい時代が来ているように思います。
S-1を使用されるのであれば、有害事象発生には他の殺細胞性抗腫瘍薬同様にきちんと目を配ってください。
私が初めてS-1を使用している患者に触れたのは、結核療養所に勤務していた時でした。
胃癌の治療としてS-1を服用していた50代の女性患者が肺結核を合併して、私が担当医として治療しました。
骨髄抑制は、同系列のUFTよりは強く、点滴の殺細胞性抗腫瘍薬よりは弱いという印象です。
こんな人もいました。
cT2bN0M1a(悪性胸水)の肺扁平上皮がんの患者さん。診断当時は80代半ばで、劇的にS-1初回治療が効いたものの、薬剤性肺障害でS-1を中止せざるを得なくなりました。その後も頑張っておられ、最近4th line アテゾリズマブ④コースでPDとなったものの、診断からの全生存期間は1900日を超え、昨年秋には90歳の誕生日を迎えられました。
随分昔に、こんな記事を書いたこともありました。
参考にしてください。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e790212.html
記事並みに長々と書いてしまってスミマセン。
参考にしてください。
他の方の参考になるように、1件の記事にまとめさせていただきます。
患者さん、ご家族からのセカンドオピニオンだったらこの場ではお引き受けしないのだが、今回はどうも若手の先生からのご様子。
こんなのもセカンドオピニオンというんだろうか。
少しでもお力になれれば、この先生のモチベーション向上につながればと思い、私のわかる範囲で考えを述べさせていただいた。
個人情報保護の観点からは問題なさそうだと判断し、参考になるように1本の記事にまとめておく。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e873583.html
Posted by 駆け出し腫瘍内科医 at 2020年01月16日 10:58
こんにちは。いつもお疲れ様です。
TS-1は何も治療薬が無い人に使うもので、効果はあまり無いと思っていて今まで避けてきました。
この記事を読んで、考えを変える機会になります。
高齢で非小細胞肺がん、EGFRuncommonでTKIやICIの効果が見込めずに治療に行き詰まってしまいました。
なかなかエビデンスのない治療は出来ない環境に身を置いており、悩んでしまいました。
全く治療を諦めていない、頑張りたいとおっしゃるこの方に使う価値はありますでしょうか?
他のレジメンのお考えもお聞かせ下さいませんか?
ご本人もご家族もゼロではないなら可能性に賭けたいと言われています。
私も何とか生存期間を延ばしてあげたいのです。
駆け出し腫瘍内科医さんへ
コメントありがとうございます。
先生のように、この領域を自分の生業として選び、患者さんとともに歩んでくださる方が、私の備忘録を参考にしてくださって、とても光栄です。
まず、高齢であっても、理解力があり、治療意欲があり、PSがよく、治療中のリスク管理ができる方であれば、積極的に治療を考えて差し上げるべきだと思います。
まず、この方が初回治療という前提で記載します。
文面から、非小細胞肺癌(NOS, not otherwise specified)、EGFRはwild typeではなく、uncommon mutationが認められたということですね。
uncommon mutationの詳細が分かりませんが、少なくともアファチニブやオシメルチニブを試してみる可能性はあると受け止めましたが、いかがでしょうか。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e752613.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e923314.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968312.html
また、ICIを検討すべき局面もあるかも知れませんので、組織検体が残っていればKRAS遺伝子変異やTPSは検索しておいた方がよいかもしれません。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968478.html
臓器機能が保たれており、PSが良ければ、CBDCA+PEM併用化学療法も一つの選択肢です。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e957732.html
単剤療法であれば、高齢者進行非小細胞肺癌の標準治療はドセタキセル単剤で、その他にビノレルビン単剤、ジェムシタビン単剤も選択肢に挙がります。肺がん診療ガイドラインにも記載されているはずです。
ドセタキセル単剤はビノレルビン単剤に対して、我が国発の臨床試験において優越性を示しています。
既にドセタキセル単剤治療はやった後で、二次治療を考えているということであれば、S-1を考えてもいいと思います。
若年肺がんの世界(これは個人的な見解ですが、非小細胞肺癌患者の年齢中央値が75歳を超え、これからも高齢化が進むことを考えると、75歳以上が多数派、75歳以下が若年肺がんというサブグループと捉えた方がしっくりくるような気がします)では、ドセタキセルは二次治療でラムシルマブと併用されることが多くなっており、S-1やICIとの関係性も相俟って、単剤治療としての意義が薄れつつあります。
そろそろ、75歳以上のpopulationにおける初回治療として、S-1がDOCに置き換わってもいい時代が来ているように思います。
S-1を使用されるのであれば、有害事象発生には他の殺細胞性抗腫瘍薬同様にきちんと目を配ってください。
私が初めてS-1を使用している患者に触れたのは、結核療養所に勤務していた時でした。
胃癌の治療としてS-1を服用していた50代の女性患者が肺結核を合併して、私が担当医として治療しました。
骨髄抑制は、同系列のUFTよりは強く、点滴の殺細胞性抗腫瘍薬よりは弱いという印象です。
こんな人もいました。
cT2bN0M1a(悪性胸水)の肺扁平上皮がんの患者さん。診断当時は80代半ばで、劇的にS-1初回治療が効いたものの、薬剤性肺障害でS-1を中止せざるを得なくなりました。その後も頑張っておられ、最近4th line アテゾリズマブ④コースでPDとなったものの、診断からの全生存期間は1900日を超え、昨年秋には90歳の誕生日を迎えられました。
随分昔に、こんな記事を書いたこともありました。
参考にしてください。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e790212.html
記事並みに長々と書いてしまってスミマセン。
参考にしてください。
他の方の参考になるように、1件の記事にまとめさせていただきます。
Posted by tak at
12:20
│Comments(0)
│遺伝子変異│個別化医療│分子標的薬・抗体医薬│有害事象│化学療法│免疫チェックポイント阻害薬│セカンドオピニオン・個別相談に関して
2020年01月10日
セカンドオピニオン・個別相談に関する告知事項
先ほど、セカンドオピニオン・個別相談に関するご相談を、スマートフォン・携帯電話からのメールで頂きました。
お答えしたいのですが、パソコンからではお返事ができません。
エラーで帰ってきてしまいます。
スマートフォン・携帯電話からメールでご連絡を頂いた場合、パソコンからではお返事できないことがほとんどです。
これらの方法でご連絡をくださる方は、住所・氏名をメールにご記載ください。
追って私から、必要書類を郵送させていただきます。
最初の連絡でいきなり住所・氏名を伝えるのは気が引ける、という方は、パソコンからメールでご連絡をください。
その際は、私の連絡先をメールで返送し、改めてそちらへ郵便でご連絡を頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
お答えしたいのですが、パソコンからではお返事ができません。
エラーで帰ってきてしまいます。
スマートフォン・携帯電話からメールでご連絡を頂いた場合、パソコンからではお返事できないことがほとんどです。
これらの方法でご連絡をくださる方は、住所・氏名をメールにご記載ください。
追って私から、必要書類を郵送させていただきます。
最初の連絡でいきなり住所・氏名を伝えるのは気が引ける、という方は、パソコンからメールでご連絡をください。
その際は、私の連絡先をメールで返送し、改めてそちらへ郵便でご連絡を頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。