2021年12月02日

肺がん新WHO分類(第5版)とそれに準拠した病理組織分類

 原則として、肺がんの確定診断は病理組織診断による。
 生検(外科手術を含む)をして、顕微鏡で細かく見て、がん細胞、がん組織を確認するということである。
 そのため、診断基準が変更されるのは、とても大きな出来事である。

 不覚にも先週まで把握していなかったが、世界共通の診断基準であるWHO Classification of tumors: Thoracic Tumoursが2021年4月15日に刊行された。
https://publications.iarc.fr/595
 それに伴い、日本肺癌学会は「新WHO分類に準拠した病理組織分類」を2021年11月26日に公表し、以後は本分類に沿って病理組織診断を行うように通知した。
https://www.haigan.gr.jp/modules/important/index.php?content_id=248

 先日の第62回日本肺癌学会総会でセミナーが行われていたので聴講した。
 大枠は変わらないとのこと。
 その大枠は、概ね上記の「新WHO分類に準拠した病理組織分類」の6-8ページを読めば掴める。
 重要な点を1つだけ挙げるとするならば、肺腺がんの病理組織診断において、グレード分類が適用されたことだろう。

肺がん新WHO分類(第5版)とそれに準拠した病理組織分類

 結局、病理組織像でまず捉えるべきは低分化成分の広がりであり、概ね20%以上ならば低分化、20%以下ならばその他の部分が肺胞上皮置換型優勢なら高分化、そうでなければ中分化、ということらしい。
 これなら検者によってばらつきは少なくなるだろう(実際にそうだったらしい)し、生命予後とよく相関するそうなのでそれに越したことはない。
 低分化、中分化、高分化の分類は、なんだか懐古的な印象を受けるが、solid、micropapillary、cribriform, complexといった低分化=高悪性度の病理所見をきちんと定義した上での分類であり、実務上とてもよい改訂だと感じた。


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