2012年07月30日

日本臨床腫瘍学会総会と国際化

7月26日、27日と日本臨床腫瘍学会総会に出席してきました。
今年の会場は大阪。
近畿大学医学部腫瘍内科の中川和彦先生が学会長でした。

この学会は米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会を模範としているようです。
さまざまな点で、良い意味での模倣が見られます。
準備には大変な労力が必要だったのではないでしょうか。

英語でのセッションが増えており、一部ついていけない議論もありました。
それでも、日本人同士の英語での質疑応答というのは新鮮で、自分より若い医師が堂々と英語で議論しているのはとても刺激になりました。
 
大規模な国際共同臨床試験に日本が名を連ねるようになったのも、最近の変化のように感じます。
今回の学会でも、さまざまな領域で発表がありました。
肺癌領域では、IRESSA Pan-ASia Study(IPASS)が遺伝子変異の知見が得られて以後のEGFR-TKI大規模臨床試験の嚆矢となったのは、まだ記憶に新しいところです。
IPASS試験においては、試験後半の中国からの患者登録速度のすさまじい勢いが今でも記憶に残っています。

薬物代謝等々の問題で、他の人種との共同試験はちょっと首をかしげる部分もありますが、東アジア地域では是非国際化の動きが根付いてほしいところです。
日本・韓国・台湾は島国なので大規模な臨床試験を行う上ではどうしても制限がありますが、中国も含めて共同試験が行えればいろいろな点でメリットがあるように思います。
ただ、実際に計画をするとさまざまな難しい点があると、以前九州大学の高山先生がおっしゃっていました。
実地医療に対する基礎的な考え方がある程度共通していないと、臨床試験の計画段階で思惑が食い違うことが多いようで、これは今後の課題かと思います。  

Posted by tak at 19:30Comments(2)その他