2018年03月09日

がんリハの波が来た

 ここのところ、なぜか担癌患者さんのリハビリ転院依頼が多い。
 ここ1-2週間で受けた連絡は、

・20代男性、脳腫瘍術後
・60代女性、進行乳がんに対する化学療法中に脳梗塞発症
・80代女性、局所進行小細胞がん治療経過中に腰椎多発圧迫骨折発症

 自分なりに引き受けるか、引き受けないかの基準を設けて対応している。
 中でも譲れないのは、
 「紹介元の医師が、リハビリ終了後に責任をもって診療を継続する気があるのか、ないのか」

 「PS不良で治療継続不可になったので、当科の診療は終了させていただきました」
 「予後は1年程度と見積もっています」
 「リハビリをよろしくお願いします」
だって。
 
 患者さんの状態はともかくとして、紹介元の医師の考え方が受け入れがたかったので、この患者さんについては申し訳ないけれどお断りした。
 別にがん診療に限ったことではないけれど。
 「自分の守備範囲のことはもうやりました、あとはよろしく」
というスタンスとは、どうしても相容れない。
 進行がんの診療はシームレスであるべきで、医師や施設の都合を優先させてはならない、と思う。
 ケースバイケースかも知れないけど。
  

Posted by tak at 20:37Comments(0)その他

2018年03月06日

英文の紹介状

 白血球がほぼ枯渇するくらい厳しい治療をどうにか1コース乗り越えた進行肺がん患者さんが、家族で海外旅行に行きたいとのこと。
 旅行先で具合が悪くなるのが心配で、英文で診療情報提供書を書いてほしいと依頼された。

 一般外来で、しばしば不意に海外の方がやってくるので、NHKラジオを録音して数か月間コソ勉を続けていた。
 しかし、診療情報提供書の作成は想定外。
 文部科学省が言っている通り、"speaking", "listening", "writing", "reading"をバランスよく身につけなければなりません。

 幸い、昨夜の当直中はほとんど患者が受診しなかったので、悪戦苦闘しつつも作成終了。
 一番困ったのは定期内服薬の記載。
 イマドキの電子カルテなら、診療情報提供書に簡単にコピー&ペーストできるけど、今回はみな手作業。
 一般名をいちいち調べて、書き写し。
 やっかいなのは、海外になさそうな薬。
 ビオフェルミンには一般名がないため、少し苦労した。

 苦労した分、ご家族との海外旅行をめいっぱい楽しんできてほしい。
  

Posted by tak at 08:35Comments(0)その他

2018年03月06日

KEYNOTE-189 プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ

 遅ればせながら、進行非小細胞非扁平上皮肺がんに対するプラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法の件。
 全生存期間も無増悪生存期間も、中間解析時点で優越性が証明されてしまったとのこと。
 プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ vs プラチナ+ペメトレキセドの勝負だった。
 ペンブロリズマブ vs プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブの勝負だったら、どうなるんだろう。
 また、biomarkerとの関係性は?
 ペンブロリズマブ非併用群に対する後治療としてのペンブロリズマブの使い方は?


Merck’s KEYTRUDA(R) (pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)
進行非小細胞非扁平上皮肺がんに対する初回治療で、プラチナ+ペメトレキセド併用化学療法にペンブロリズマブを上乗せすることで全生存期間および無増悪生存期間が有意に改善(KEYNOTE-189)

Tuesday, January 16, 2018 6:45 am EST

 KEYNOTE-189試験(進行非小細胞非扁平上皮肺癌への初回治療として、シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法にペンブロリズマブを上乗せすることの意義を検証する試験)において、いずれも主要評価項目として設定されていた全生存期間、無増悪生存期間の延長がともに達成された。今回の報告は、研究事務局とは独立したデータモニタリング委員会による中間解析結果に基づいて行われ、ペンブロリズマブを上乗せすると有意に全生存期間および無増悪生存期間が延長することが確認された。詳細な研究結果は今後の医学関連学会で公表される予定で、また本治療の薬事承認申請が規制当局に対してなされる予定である。

 KEYNOTE-189試験はランダム化二重盲検プラセボ対象第III相臨床試験 (ClinicalTrials.gov, NCT02578680)で、進行非小細胞非扁平上皮肺癌患者に対する初回治療としての、ペンブロリズマブ+シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法とシスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセド併用療法の比較試験であり、PD-L1の発現状態は適格条件に規定されなかった。EGFR遺伝子変異陽性、ALK融合遺伝子陽性の患者、過去に進行がんに対する薬物療法を受けた経験のある患者は除外された。主要評価項目として全生存期間および無増悪生存期間の双方が規定され、服地評価項目として奏効割合、奏効持続期間が規定された。614人が登録され、2:1の割合でペンブロリズマブ併用群と非併用群に割り付けられた。ペンブロリズマブ併用群ではペンブロリズマブ200mg、ペメトレキセド500mg/㎡、シスプラチン75mg/㎡もしくはカルボプラチン5AUCを3週ごとに4コース投与し、その後の維持療法としてペンブロリズマブ200mg、ペメトレキセド500mg/㎡が、非併用群ではペンブロリズマブのプラセボ200mg、ペメトレキセド500mg/㎡、シスプラチン75mg/㎡もしくはカルボプラチン5AUCを3週ごとに4コース投与し、その後の維持療法としてペンブロリズマブのプラセボ200mg、ペメトレキセド500mg/㎡が、それぞれ病勢進行、忍容不能の毒性発現、担当医の中止判断、患者の治療継続同意撤回のいずれかに至るまで継続された。非併用群の患者のうち、病勢進行が中央独立判定で確認された場合には、個別にキーオープンが行われるとともに、プロトコール治療終了後のペンブロリズマブ療法へのクロスオーバーが許容された。