2021年09月20日
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
いわゆるKEYNOTE-189レジメンをチロシンキナーゼ阻害薬無効となったEGFR/ALK異常陽性非小細胞肺がん患者さんに適用したらどうなるか、という臨床試験。
患者集積不良で早期終了になったとはいえ、EGFR遺伝子変異陽性患者は目標の28人中26人まで集積できている。
加えて、26人中22人はオシメルチニブ治療歴のある患者ということで、現在の治療実態に近い患者が集められている。
その上で、KEYNOTE-189レジメンを適用したら生存期間中央値22.2ヶ月(95%信頼区間20.6-未到達)、無増悪生存期間中央値8.3ヶ月(95%信頼区間7.2-16.5)というのは、チロシンキナーゼによる前治療歴がある前提で考えると、とても希望の持てる数字ではないだろうか。
本家KEYNOTE-189試験における生存期間中央値22.0ヶ月(95%信頼区間19.5-25.2)、無増悪生存期間中央値9.0ヶ月(95%信頼区間8.1-9.9)なので、ほぼ遜色ない結果である。
なお、ALK融合遺伝子陽性患者は本当に患者数が少なくて、評価困難である。
Pembrolizumab in Combination With Platinum-Based Chemotherapy in Recurrent EGFR/ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC)
Shirish M. Gadgeel et al., WCLC 2021 Abst.#OA09.03
背景:
EGFR / ALK遺伝子異常を伴う非小細胞肺がん患者において、免疫チェックポイント阻害薬単剤での治療効果は限られている。今回はこうした患者に対して、カルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法の効果を検証するための第II相試験を企画した。
方法:
EGFR遺伝子変異あるいはALK融合遺伝子を有する非小細胞肺がん患者で、これら遺伝子異常に対応した分子標的薬を使用したものの病勢が再燃したものを対象とした。カルボプラチン5AUC、ペメトレキセド500mg/㎡、ペンブロリズマブ200mgを3週間ごとに反復投与した。4サイクル目以降はペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法を2年間を上限に反復した。効果判定は当初の6サイクルまでは2サイクルごとに、その後は担当医の決定に従って適宜行うこととした。主要評価項目はRECIST ver.1.1準拠の奏効割合とし、副次評価項目には無増悪生存期間(PFS)や生存期間(OS)を含めた。腫瘍組織のPD-L1発現状態は治療施設内で調べた。循環血中腫瘍細胞を1サイクル目と3サイクル目に先立って評価した。EGFR遺伝子変異陽性患者群とALK融合遺伝子陽性患者群それぞれで28人の評価可能患者を集積することを目標としたが、患者集積が遅々として進まなかったため早期終了となった。
結果:
33人の患者が登録され、26人はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(Exon19欠失変異が13人、Exon21 L858R点変異が9人)だった。64%は女性で、年齢中央値は67歳だった。前治療レジメン数の中央値は1(範囲は1-3)だった。26人のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんのうち、22人にはオシメルチニブの治療歴があった。今回のプロトコール治療を施行したサイクル数の中央値は6(範囲は2-24)で、4人の患者(すべてEGFR遺伝子変異陽性患者)は解析時点でもプロトコール治療を継続していた。奏効割合(95%信頼区間)はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんでは42%(23-63)、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんでは29%(4-71)だった。奏効持続期間は6.1ヶ月だった。腫瘍組織のPD-L1発現状態は30人の患者で確認でき、PD-L1の発現状態によらず生存期間は同等だった。治療開始前の循環血中腫瘍細胞を評価できたEGFR遺伝子変異陽性患者における中央値は4ヶ/ml(0-23)だった。生存期間中央値は、循環血中腫瘍細胞が減少した患者集団では未到達、増加した患者集団では18.5ヶ月(p=0.52)だった。頻度の高かった有害事象は、倦怠感、嘔気、骨髄抑制、咳、呼吸困難だった。頻度が高かったGrade3以上の有害事象は好中球減少、血小板減少、血栓塞栓症、AST/ALT上昇だった。薬剤性肺障害を来した患者が1人いた。
結論:
TKI治療不耐となったEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者において、カルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法は奏効割合42%、生存期間中央値22ヶ月の成績を残した。
患者集積不良で早期終了になったとはいえ、EGFR遺伝子変異陽性患者は目標の28人中26人まで集積できている。
加えて、26人中22人はオシメルチニブ治療歴のある患者ということで、現在の治療実態に近い患者が集められている。
その上で、KEYNOTE-189レジメンを適用したら生存期間中央値22.2ヶ月(95%信頼区間20.6-未到達)、無増悪生存期間中央値8.3ヶ月(95%信頼区間7.2-16.5)というのは、チロシンキナーゼによる前治療歴がある前提で考えると、とても希望の持てる数字ではないだろうか。
本家KEYNOTE-189試験における生存期間中央値22.0ヶ月(95%信頼区間19.5-25.2)、無増悪生存期間中央値9.0ヶ月(95%信頼区間8.1-9.9)なので、ほぼ遜色ない結果である。
なお、ALK融合遺伝子陽性患者は本当に患者数が少なくて、評価困難である。
Pembrolizumab in Combination With Platinum-Based Chemotherapy in Recurrent EGFR/ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC)
Shirish M. Gadgeel et al., WCLC 2021 Abst.#OA09.03
背景:
EGFR / ALK遺伝子異常を伴う非小細胞肺がん患者において、免疫チェックポイント阻害薬単剤での治療効果は限られている。今回はこうした患者に対して、カルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法の効果を検証するための第II相試験を企画した。
方法:
EGFR遺伝子変異あるいはALK融合遺伝子を有する非小細胞肺がん患者で、これら遺伝子異常に対応した分子標的薬を使用したものの病勢が再燃したものを対象とした。カルボプラチン5AUC、ペメトレキセド500mg/㎡、ペンブロリズマブ200mgを3週間ごとに反復投与した。4サイクル目以降はペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法を2年間を上限に反復した。効果判定は当初の6サイクルまでは2サイクルごとに、その後は担当医の決定に従って適宜行うこととした。主要評価項目はRECIST ver.1.1準拠の奏効割合とし、副次評価項目には無増悪生存期間(PFS)や生存期間(OS)を含めた。腫瘍組織のPD-L1発現状態は治療施設内で調べた。循環血中腫瘍細胞を1サイクル目と3サイクル目に先立って評価した。EGFR遺伝子変異陽性患者群とALK融合遺伝子陽性患者群それぞれで28人の評価可能患者を集積することを目標としたが、患者集積が遅々として進まなかったため早期終了となった。
結果:
33人の患者が登録され、26人はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(Exon19欠失変異が13人、Exon21 L858R点変異が9人)だった。64%は女性で、年齢中央値は67歳だった。前治療レジメン数の中央値は1(範囲は1-3)だった。26人のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんのうち、22人にはオシメルチニブの治療歴があった。今回のプロトコール治療を施行したサイクル数の中央値は6(範囲は2-24)で、4人の患者(すべてEGFR遺伝子変異陽性患者)は解析時点でもプロトコール治療を継続していた。奏効割合(95%信頼区間)はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんでは42%(23-63)、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんでは29%(4-71)だった。奏効持続期間は6.1ヶ月だった。腫瘍組織のPD-L1発現状態は30人の患者で確認でき、PD-L1の発現状態によらず生存期間は同等だった。治療開始前の循環血中腫瘍細胞を評価できたEGFR遺伝子変異陽性患者における中央値は4ヶ/ml(0-23)だった。生存期間中央値は、循環血中腫瘍細胞が減少した患者集団では未到達、増加した患者集団では18.5ヶ月(p=0.52)だった。頻度の高かった有害事象は、倦怠感、嘔気、骨髄抑制、咳、呼吸困難だった。頻度が高かったGrade3以上の有害事象は好中球減少、血小板減少、血栓塞栓症、AST/ALT上昇だった。薬剤性肺障害を来した患者が1人いた。
結論:
TKI治療不耐となったEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者において、カルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法は奏効割合42%、生存期間中央値22ヶ月の成績を残した。
セルペルカチニブ、上市
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
脳転移を有する患者集団に対しても、免疫チェックポイント阻害薬は有効なのか
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
ARROW試験のupdated data...RET肺がんとpralsetinib
EGFRエクソン20挿入変異に対するAmivantamab
EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対するMobocertinib(TAK-788)再び
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
脳転移を有する患者集団に対しても、免疫チェックポイント阻害薬は有効なのか
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
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HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
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オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
ARROW試験のupdated data...RET肺がんとpralsetinib
EGFRエクソン20挿入変異に対するAmivantamab
EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対するMobocertinib(TAK-788)再び