2019年10月17日
FLAURA全生存期間解析・・・初回治療オシメルチニブ、アジア人とExon21変異では全生存期間を延長せず
EGFR阻害薬は、どちらかというとアジア人の方が有効なイメージを持っていた。
オシメルチニブではどうもそうではなさそうだ。




先般開催された2019年欧州臨床腫瘍学会年次総会で、FLAURA試験の追跡調査結果が発表された。
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対し、ゲフィチニブ、エルロチニブに対してオシメルチニブが無増悪生存期間、全生存期間を延長しているのは紛れもない事実。
ただ、問題はforest plotに示されたサブグループ解析の結果である。
アジア人、Exon 21変異の患者群では、両治療群間に全生存期間の有意差はついていない。
本試験全体の結論を左右するものではないにせよ、我が国で診療している立場としては問題である。
日本人サブグループではどんな結論が出るのか、見てみたいところ。
オシメルチニブではどうもそうではなさそうだ。




先般開催された2019年欧州臨床腫瘍学会年次総会で、FLAURA試験の追跡調査結果が発表された。
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対し、ゲフィチニブ、エルロチニブに対してオシメルチニブが無増悪生存期間、全生存期間を延長しているのは紛れもない事実。
ただ、問題はforest plotに示されたサブグループ解析の結果である。
アジア人、Exon 21変異の患者群では、両治療群間に全生存期間の有意差はついていない。
本試験全体の結論を左右するものではないにせよ、我が国で診療している立場としては問題である。
日本人サブグループではどんな結論が出るのか、見てみたいところ。
セルペルカチニブ、上市
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
この記事へのコメント
いつも勉強させて頂いております。
今回の結果では、Osimertinib PD後の治療割合、治療内容です。
2次治療に進めていない症例が想定以上でした。
P3の臨床試験に入るということは、ある程度2次治療への移行も担保できる症例が入るものと考えていましたが、実際には違うのでしょうか?
御意見を伺いたいです。
数年前に、EGFR遺伝子変異患者には、TKIを引っ張りすぎずに殺細胞性抗がん剤も投与すべき、という講演が相次ぎましたが、それが頭をよぎりました。
今回の結果では、Osimertinib PD後の治療割合、治療内容です。
2次治療に進めていない症例が想定以上でした。
P3の臨床試験に入るということは、ある程度2次治療への移行も担保できる症例が入るものと考えていましたが、実際には違うのでしょうか?
御意見を伺いたいです。
数年前に、EGFR遺伝子変異患者には、TKIを引っ張りすぎずに殺細胞性抗がん剤も投与すべき、という講演が相次ぎましたが、それが頭をよぎりました。
Posted by a00m099 at 2019年11月19日 10:20
a00m099さんへ
コメントありがとうございます。タイミングよく、FLAURA OS analysisの論文がNew England Journal of Medicineに掲載されたので読んでみました。
file:///C:/Users/itofa/Desktop/to%20read%20papers/FLAURA%20OS%20Ramalingam%20NEJM%202019.pdf
オシメルチニブ群のうち、「病勢進行後に二次治療に進まず、しかも亡くなった人」は22%いるようですね。ちなみに、「病勢進行後に二次治療に進まず、まだ生きている人」は9%、「まだ病勢進行していない人」は22%います。後二者の合計31%は、これから二次治療に移行する可能性がまだありますね。
一方、オシメルチニブ群で病勢進行後に二次治療に進んだ人のうち、オシメルチニブ以外のEGFR阻害薬を使用した人が29%いる、というのはとても興味深い内容です。さらに、オシメルチニブ群で病勢進行後、二次治療でも病勢進行した人のうち35%は、やはりオシメルチニブを含むEGFR阻害薬を使用しています。
結局のところ、従来の抗がん薬(殺細胞性抗腫瘍薬)は使いたくない、と考えている人(患者も家族も医師も)が多いということでしょうね。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が台頭して、相対的に殺細胞性抗腫瘍薬のプレゼンスが低下しています。しかし、ドライバー遺伝子変異がある人でもない人でも等しく使うことができるという意味で、やはり殺細胞性抗腫瘍薬はkey treatmentであり続けており、以前よりも遥かに毒性管理がしやすくなった、患者さんが楽に治療を受けられるようになったということを、我々はきちんと患者さんに伝えていかねばなりません。
コメントありがとうございます。タイミングよく、FLAURA OS analysisの論文がNew England Journal of Medicineに掲載されたので読んでみました。
file:///C:/Users/itofa/Desktop/to%20read%20papers/FLAURA%20OS%20Ramalingam%20NEJM%202019.pdf
オシメルチニブ群のうち、「病勢進行後に二次治療に進まず、しかも亡くなった人」は22%いるようですね。ちなみに、「病勢進行後に二次治療に進まず、まだ生きている人」は9%、「まだ病勢進行していない人」は22%います。後二者の合計31%は、これから二次治療に移行する可能性がまだありますね。
一方、オシメルチニブ群で病勢進行後に二次治療に進んだ人のうち、オシメルチニブ以外のEGFR阻害薬を使用した人が29%いる、というのはとても興味深い内容です。さらに、オシメルチニブ群で病勢進行後、二次治療でも病勢進行した人のうち35%は、やはりオシメルチニブを含むEGFR阻害薬を使用しています。
結局のところ、従来の抗がん薬(殺細胞性抗腫瘍薬)は使いたくない、と考えている人(患者も家族も医師も)が多いということでしょうね。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が台頭して、相対的に殺細胞性抗腫瘍薬のプレゼンスが低下しています。しかし、ドライバー遺伝子変異がある人でもない人でも等しく使うことができるという意味で、やはり殺細胞性抗腫瘍薬はkey treatmentであり続けており、以前よりも遥かに毒性管理がしやすくなった、患者さんが楽に治療を受けられるようになったということを、我々はきちんと患者さんに伝えていかねばなりません。
Posted by tak
at 2019年11月23日 01:37
