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2016年06月04日

FDAがliquid biopsyを承認

 T790M検出との関連でしばしば話題に上るliquid biopsyですが、米国食品医薬品局がEGFR遺伝子変異検査に関するcobas法version 2を承認したようです。
 しかし、実臨床で使えるようになると、"liquid biopsy"という名称はちょっと違和感があるな、と個人的には思います。
 本来"biopsy(生検)"という言葉は、「組織生検」「生検組織」といった例に見られるように、「組織」≒「肉片」を採取し、それを顕微鏡を用いて診断する、という意味合いが強いです。
 血液サンプルを用いた遺伝子変異検査は、そもそも組織採取をしませんし、ましてや顕微鏡を用いた診断も関わりません。
 "liquid mutation assay"など、他の適切な名称を検討したほうがよさそうな気がします。

 それから、今回の承認は、Erlotinibのコンパニオン診断としての承認に限定されています。
 cobas法の開発はRoche社、Erlotinibの開発もRoche社、ということで、他の製薬会社の製品は承認対象としていないところに製薬会社としてのしたたかさがにじみ出ており、実地医療に携わる身としてはちょっと不快な印象を受けます。

 以下、The ASCO Postの関連記事から。

FDA Approves EGFR Mutation–Detecting Blood Test for Non–Small Cell Lung Cancer

By The ASCO Post
Posted: 6/2/2016 11:06:31 AM
Last Updated: 6/2/2016 11:06:31 AM

 米国食品医薬品局は、2016年6月2日付けで、Erlotinibのコンパニオン診断として血液サンプルを用いたcobas EGFR遺伝子変異検索キットの使用を承認した。非小細胞肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異を、血液サンプルを用いて検出する手法としては、FDA初の承認となる。この種の遺伝子変異は、非小細胞肺癌の10-20%に認められる。

 非小細胞肺癌の病巣はそのDNAを患者循環血中に漏出させることがあり、そのため特定の遺伝子変異を血液サンプルから検出できることがある。血液サンプルを用いた腫瘍DNAの解析はliquid biopsyとも呼ばれる。

 「liquid biopsy testは高度な個別化医療を実現する」
 「liquid biopsyはまた、特定の遺伝子変異を有するがん患者を同定するに当たり、検査の侵襲を最小限に抑えることができる」
とFDAのAlberto Gutierrezはコメントしている。

Cobas EGFR Mutation Test v2

 cobas EGFR遺伝子変異検索キットversion 2で非小細胞肺癌の特定の遺伝子変異(EGFR exon 19欠失変異もしくはexon 21 L858R一塩基置換変異)を血液サンプルから検出することで、erlotinibによる治療効果が期待できる患者を抽出することができる。しかし、血液サンプルからこれらの遺伝子変異が検出されなかったとしても、腫瘍病巣が遺伝子変異を有するかどうかは腫瘍生検組織で再確認すべきである。病状の悪化により、もしくは生検が困難な何らかの理由により、生検組織を用いた遺伝子変異検索ができない患者では、血液サンプルによる遺伝子変異検査が陽性となったらErlotinibによる治療が可能になる。

 血液サンプルを用いたcobas EGFR遺伝子変異検索キットversion 2の有効性は、cobas EGFR遺伝子変異検索キットversion 1によりexon 19欠失変異もしくはexon 21一塩基置換変異がすでに確認された臨床試験参加患者のサンプルを用いて検証済みである。

Erlotinib

 Erlotinibは、少なくとも1レジメンの化学療法後に病勢進行に至った局所進行もしくは進行非小細胞肺癌に対する治療として2004年に米国食品医薬品局の認可を受け、さらに2013年には、所定の検査法を用いてEGFR遺伝子変異陽性と確認された進行非小細胞肺癌に対する一次治療としても拡大承認された。頻度の高い有害事象として発疹、下痢、食欲不振、疲労、呼吸困難、咳、嘔気、嘔吐が知られている。Erlotinibはプラチナ併用化学療法との併用やexon 19もしくは21以外のEGFR遺伝子変異を有する患者に対する使用は推奨されていない。

 cobas EGFR遺伝子変異検索キットversion 2はRoche Molecular Systemsにより生産されている。


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Posted by tak at 01:46│Comments(0)検査法
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