2011年01月31日
医療費と治療効果のバランス
最近は、非常に高価な薬が増えてきて、" cost - effectiveness balance "といった言葉が聞かれるようになりました。
肺癌領域で言えば、分子標的薬であるイレッサは1錠7000円、タルセバは1錠10000円します。
頻用される白金系抗癌薬であるカルボプラチンは50mgバイアルで3727円(当院採用のジェネリック薬で計算しました)。
新しい抗癌薬であるアリムタは500mg1バイアルが240300円。
血管成長因子に対する抗体医薬のアバスチンは、100mgバイアルが50291円、400mgのバイアルが191299円。
ここで国内臨床試験のひとつを紹介します。
今後、標準治療となることを目指して開発中の治療です。
進行原発性肺腺癌に対して、カルボプラチン+アリムタ+アバスチン併用療法を6コース、その後病勢が進行するまで延々とアリムタ+アバスチンを継続する(これを維持療法といいます)治療法です。
年齢70歳、身長165cm、体重60kg、体表面積1.659㎡、正常腎機能の男性がこの治療を受けるとします。
維持療法を6コース受けられたとしましょう。
カルボプラチンの使用量は650mg=48451円/回
アリムタは500mg/㎡=830mg=480600円/回
アバスチンは15mg/kg=900mg=50291+191299×2=432889円/回
したがって、これらの薬品の薬価だけで前半6コースは(48451+480600+432889)×6=5771640円
維持療法6コースで(480600+432889)×6=5480934円
総計11252574円です。
3週間1コースですから、これだけのお金が36週間=9か月で消えていきます。
1か月あたりの薬価にすれば、約1250000円です。
繰り返しますが、有望な治療効果が期待できるとして、国内で真面目に運営が議論されている臨床試験です。
結果がよければ、標準治療として位置づけられます。
そうなったとして、皆さんは治療を受け入れられますか?
日本には国民皆保険制度や自己負担金の上限が設定されています。
しかし、そうであるが故に、他国より医療経済が崩壊する速度は速くなるのではないでしょうか。
少なくとも喫煙経験のある肺癌患者の医療費は、受益者負担とするべきではないでしょうか。
肺癌領域で言えば、分子標的薬であるイレッサは1錠7000円、タルセバは1錠10000円します。
頻用される白金系抗癌薬であるカルボプラチンは50mgバイアルで3727円(当院採用のジェネリック薬で計算しました)。
新しい抗癌薬であるアリムタは500mg1バイアルが240300円。
血管成長因子に対する抗体医薬のアバスチンは、100mgバイアルが50291円、400mgのバイアルが191299円。
ここで国内臨床試験のひとつを紹介します。
今後、標準治療となることを目指して開発中の治療です。
進行原発性肺腺癌に対して、カルボプラチン+アリムタ+アバスチン併用療法を6コース、その後病勢が進行するまで延々とアリムタ+アバスチンを継続する(これを維持療法といいます)治療法です。
年齢70歳、身長165cm、体重60kg、体表面積1.659㎡、正常腎機能の男性がこの治療を受けるとします。
維持療法を6コース受けられたとしましょう。
カルボプラチンの使用量は650mg=48451円/回
アリムタは500mg/㎡=830mg=480600円/回
アバスチンは15mg/kg=900mg=50291+191299×2=432889円/回
したがって、これらの薬品の薬価だけで前半6コースは(48451+480600+432889)×6=5771640円
維持療法6コースで(480600+432889)×6=5480934円
総計11252574円です。
3週間1コースですから、これだけのお金が36週間=9か月で消えていきます。
1か月あたりの薬価にすれば、約1250000円です。
繰り返しますが、有望な治療効果が期待できるとして、国内で真面目に運営が議論されている臨床試験です。
結果がよければ、標準治療として位置づけられます。
そうなったとして、皆さんは治療を受け入れられますか?
日本には国民皆保険制度や自己負担金の上限が設定されています。
しかし、そうであるが故に、他国より医療経済が崩壊する速度は速くなるのではないでしょうか。
少なくとも喫煙経験のある肺癌患者の医療費は、受益者負担とするべきではないでしょうか。
医師とカネ
ADAURA試験サブグループ解析・・・術後補助化学療法の有無、病期別の解析結果
進展型小細胞肺がんにおけるIMpower133レジメンとCASPIANレジメン
原料価格よりも安い値段で薬を販売する!?
CheckMate153試験再び・・・こちらはやめられません
Sintilimab
KEYNOTE-604試験・・・統計学的にはほぼ優位だが、臨床的メリットがあると言えるのか
免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブ)、いよいよ肺小細胞癌の領域へ
治療1回5000万円・・・、ホンマかいな・・・。
オシメルチニブ、いよいよ一次治療として承認へ
肺癌治療の費用対効果
経済・財政と国民医療
医療経済から見た適正な肺がん診療
ガイドラインの内容は企業献金で左右される?
オプジーボ、適正使用と価格改定の議論開始
高額なニボルマブ、ついにNHKのクローズアップ現代で取り上げられました。
ニボルマブと経済
肺癌新治療の費用対効果
日本の借金
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Posted by tak at 22:07│Comments(0)
│医療経済