2020年08月12日
Sintilimab
中国の製薬会社、Innovent Biologicsとイーライリリーが共同で開発した抗PD-1阻害薬、Sintilimabが、非扁平上皮非小細胞肺がんに対する一次治療として、プラチナ+ペメトレキセド併用化学療法への上乗せで有意に無増悪生存期間を延長したとのこと。
我が国の実地臨床への影響がどの程度あるかはわからないが、本臨床試験が中国で行われたことを考えると、中国におけるペメトレキセドとSintilimabの需要は今後増すのではないだろうか。
なんといっても人口が多いだけに、このインパクトは大きい。
こういったところが、グローバルな製薬企業はたくましいというか、したたかであると感じる。
http://www.kawamotobbp.jp/articles/1184
ORIENT-11: SINTILIMAB + PEMETREXED + PLATINUM AS FIRST-LINE THERAPY FOR LOCALLY ADVANCED OR METASTATIC NON-SQUAMOUS NSCLC
L. Zhang et al., 2020 WCLC presidential symposium, Abstract #1
背景:
抗PD-L1抗体であるSintilimabは、ペメトレキセドとプラチナ製剤に併用することで、非扁平上皮非小細胞肺がんに対して有望な治療活性を示すことが第Ib相試験において示された。今回の二重盲検第III相臨床試験(ORIENT-11試験)では、ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法にSintirimabを併用する群(S群)とプラセボを併用する群(P群)の効果と安全性を比較した。
方法:
未治療の局所進行、もしくは進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者で、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子を持たない患者を対象として、S群とP群に2:1の割合で割り付けた。ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法は4コースまでとして、それ以後はS群ではSintilimab+ペメトレキセド維持療法、P群ではプラセボ+ペメトレキセド維持療法を行った。割り付け調整因子は性別(男性 vs 女性)、併用したプラチナ製剤(シスプラチン vs カルボプラチン)、PD-L1発現状態(TPS 1%以上 vs 1%未満)とした。病勢進行後の治療クロスオーバーは、治療担当医の判断で可能とした。主要評価項目は独立画像判定委員会評価による無増悪生存期間とした。
結果:
2018年8月23日から2019年7月30日までの期間で、397人の患者を登録し、S群に266人、P群に131人を割り付けた。2群間に、患者背景の偏りはなかった。観察期間中央値は8.9ヶ月で、最終判定に必要とした263イベント中の198イベント(75.3%)が発生した。無増悪生存期間中央値はS群で有意に延長していた(S群8.9ヶ月 vs P群5.0ヶ月、ハザード比0.482、95%信頼区間0.362-0.643、p<0.00001)。生存期間はいまだ中央値に達していないが、S群で有意な改善を認めた(ハザード比0.609、95%信頼区間は0.400-0.926、p=0.01921)。無増悪生存期間に関するサブグループ解析では、TPSに関わらずS群が優位だった。奏効割合はS群で51.9%(95%信頼区間は45.7-58.0%)、P群で29.8%(95%信頼区間は22.1-38.4%)だった。Grade 3以上の有害事象は、S群の61.7%、P群の58.8%で認めた。盲検下での免疫関連有害事象は、S群で43.2%、P群で36.6%だった。安全性に関する新規の知見は特になかった。
結論:
根治的治療の対象とならない局所進行、もしくは進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対し、化学療法にSintilimabを上乗せすることにより、無増悪生存期間は改善し、毒性は許容範囲内だった。
我が国の実地臨床への影響がどの程度あるかはわからないが、本臨床試験が中国で行われたことを考えると、中国におけるペメトレキセドとSintilimabの需要は今後増すのではないだろうか。
なんといっても人口が多いだけに、このインパクトは大きい。
こういったところが、グローバルな製薬企業はたくましいというか、したたかであると感じる。
http://www.kawamotobbp.jp/articles/1184
ORIENT-11: SINTILIMAB + PEMETREXED + PLATINUM AS FIRST-LINE THERAPY FOR LOCALLY ADVANCED OR METASTATIC NON-SQUAMOUS NSCLC
L. Zhang et al., 2020 WCLC presidential symposium, Abstract #1
背景:
抗PD-L1抗体であるSintilimabは、ペメトレキセドとプラチナ製剤に併用することで、非扁平上皮非小細胞肺がんに対して有望な治療活性を示すことが第Ib相試験において示された。今回の二重盲検第III相臨床試験(ORIENT-11試験)では、ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法にSintirimabを併用する群(S群)とプラセボを併用する群(P群)の効果と安全性を比較した。
方法:
未治療の局所進行、もしくは進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者で、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子を持たない患者を対象として、S群とP群に2:1の割合で割り付けた。ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法は4コースまでとして、それ以後はS群ではSintilimab+ペメトレキセド維持療法、P群ではプラセボ+ペメトレキセド維持療法を行った。割り付け調整因子は性別(男性 vs 女性)、併用したプラチナ製剤(シスプラチン vs カルボプラチン)、PD-L1発現状態(TPS 1%以上 vs 1%未満)とした。病勢進行後の治療クロスオーバーは、治療担当医の判断で可能とした。主要評価項目は独立画像判定委員会評価による無増悪生存期間とした。
結果:
2018年8月23日から2019年7月30日までの期間で、397人の患者を登録し、S群に266人、P群に131人を割り付けた。2群間に、患者背景の偏りはなかった。観察期間中央値は8.9ヶ月で、最終判定に必要とした263イベント中の198イベント(75.3%)が発生した。無増悪生存期間中央値はS群で有意に延長していた(S群8.9ヶ月 vs P群5.0ヶ月、ハザード比0.482、95%信頼区間0.362-0.643、p<0.00001)。生存期間はいまだ中央値に達していないが、S群で有意な改善を認めた(ハザード比0.609、95%信頼区間は0.400-0.926、p=0.01921)。無増悪生存期間に関するサブグループ解析では、TPSに関わらずS群が優位だった。奏効割合はS群で51.9%(95%信頼区間は45.7-58.0%)、P群で29.8%(95%信頼区間は22.1-38.4%)だった。Grade 3以上の有害事象は、S群の61.7%、P群の58.8%で認めた。盲検下での免疫関連有害事象は、S群で43.2%、P群で36.6%だった。安全性に関する新規の知見は特になかった。
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