2021年03月16日

KEYNOTE-024試験 日本人における5年生存割合はなんと51%!

 がん細胞のPD-L1発現が50%以上の進行非小細胞肺がん患者を対象に、ペンブロリズマブ単剤療法の有効性を検証したKEYNOTE-024試験。
 5年生存割合が31.9%であることが2020年の欧州臨床腫瘍学会で公表され、以下の記事にした。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e980235.html
KEYNOTE-024試験 日本人における5年生存割合はなんと51%!

 ドライバー遺伝子変異のない進行非小細胞肺がん患者の32%、つまり3人に1人が5年生存することに、驚きを以て記事にした。 
 本試験では、化学療法群の66%が病勢進行後にペンブロリズマブに治療変更したとされており、化学療法群でも16.3%、つまり6人に1人は5年生存するということで、一般的な感覚からすると極めて良好な成績だった。
 化学療法群の成績がこれだけ良いことに、かえって後治療のペンブロリズマブの凄みを感じる。

 先日行われた日本臨床腫瘍学会では、KEYNOTE-024試験の日本人サブグループにおける5年生存割合が公表された。
 なお、日本人サブグループでは、PD-L1発現が90%以上の患者がペンブロリズマブ群21人のうち10人(48%)を占めていたとのこと。
 以下の図表に示すように、ペンブロリズマブ群の5年生存割合は51%と、2人に1人は5年生存していることになる。 
 また、化学療法群の73.7%が病勢進行後にペンブロリズマブに治療変更したとされているが、化学療法群の5年生存割合は21%で、5人に1人は5年生存している。
KEYNOTE-024試験 日本人における5年生存割合はなんと51%!

 さらに言えば、ペンブロリズマブを既定の35コース、つまり約2年間継続できた患者はペンブロリズマブ群21人中8人(38%)にのぼり、この患者集団の5年生存割合はなんと100%である。
 ちなみに、この8人のうち、3人は治療終了後に病勢進行に至ったそうだが、ペンブロリズマブを再投与したところ2人で再度病巣が縮小したそうだ。
 見方を変えれば、8人中5人は追加治療を必要としていないということでもある。
KEYNOTE-024試験 日本人における5年生存割合はなんと51%!

 こうなると、少なくともドライバー遺伝子変異陰性、PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がん患者に対する病状説明の内容は、従来とはずいぶんと違ったものになってくる。
 進行非小細胞肺がんは治癒不能である、という病状説明の前提条件、果たしてこのままでよいだろうか。



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