2020年01月29日

免疫チェックポイント阻害薬への失望・・・治療標的なし、個別化医療でもなし

 これも2019年の日本臨床腫瘍学会総会から。
 ユニークな視点の発表だ。
 そして、ところどころ頷ける。

・ASCO2019、Abst.#9013
 KEYNOTE-189試験におけるPFS2(無作為割付から二次治療後の病勢進行までの期間)は、PD-L1発現の多寡によらず、すべての患者においてペンブロリズマブ群がよかった。
 対照群の33.5%では、二次治療ができずに患者が亡くなった。
 PFS2の中央値は、ペンブロリズマブ群で17.0ヶ月、対照群で9.0ヶ月、ハザード比0.49(95%信頼区間は0.40-0.59)

・いつまで治療を続けるのか:CheckMate-153試験:ESMO2017
 ニボルマブを病勢進行まで続ける群と、ニボルマブを1年間続けて中断、病勢進行を確認してから再開する群を比較
 無増悪生存期間のハザード比0.42(95%信頼区間は0.33-0.71)
 全生存期間のハザード比0.63(95%信頼区間0.33-1.20)
 継続すると、無増悪生存期間は延長することがわかった

・免疫チェックポイント阻害薬使用後の長期生存例
 診断時、胸水と脳転移を合併していた患者。
 2014年1月から、ニボルマブを使用→2017年7月に脳転移、肝転移の悪化で病勢進行→ニボルマブ+イピリムマブ併用療法→2018年6月に部分奏効状態へ→その後治療中断したが、無増悪生存中

・IMpower133試験
 QoL, OS>PFS
 PETやTumor mutational burden(TMB)は治療効果判定の基準として万能ではない
 


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