2020年01月03日
"uncommon / マイナー"なEGFR遺伝子変異陽性肺がんに対するオシメルチニブの効果
オシメルチニブは他のEGFR阻害薬と比較して、野生型EGFRへの親和性が低く、変異型EGFRへの親和性が高い(一言でいえば、変異型EGFRへの選択性が高い)ことから、Exon 19やExon 21、T790M以外の変異タイプ(いわゆるuncommon mutation、言い換えればマイナーな遺伝子変異)にも有効なのではないか、場合によっては、むしろuncommon mutationの方がよい治療対象になるのではないかといわれていた。
今回の論文は、そこに一定の解を与えるものである。
無増悪生存期間中央値は8.2ヶ月とcommon mutationに対するオシメルチニブの成績を考えるとやや低い気もするが、これは致し方ないところだろう。
全生存期間中央値がいまだ未到達というのは頼もしい。
Osimertinib for Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring Uncommon EGFR Mutations: A Multicenter, Open-Label, Phase II Trial (KCSG-LU15-09)
Jang Ho Cho et al., DOI: 10.1200/JCO.19.00931 Journal of Clinical Oncology
Published online December 11, 2019.
目的:
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者の約10%は、いわゆる"uncommon"な遺伝子変異を有している。今回は、こうした"uncommon"なEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの患者を対象に、オシメルチニブ療法の有効性と安全性を検討した。
患者と方法:
多施設共同、単アーム、オープンラベル、第II相臨床試験として韓国国内で本試験を行った。患者は組織学的に診断された進行もしくは術後再発のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者とした。EGFR遺伝子変異としてはExon 19欠失変異、L858R一塩基置換変異、T790M一塩基置換変異、Exon 20挿入変異は除外した。主要評価項目は奏効割合とし、RECIST1.1基準を用いて6週間ごとに評価した。副次的評価項目は無増悪生存期間、奏効持続期間、安全性とした
結果:
2016年03月から2017年10月にかけて、37人の患者が登録された。治療開始後に臨床試験参加の同意を取り下げた1人を除くすべての患者が効果判定対象となった。年齢中央値は60歳で、22人(61%)は男性だった。61%の患者は初回治療としてオシメルチニブを使用した。検出されたEGFR遺伝子変異の内訳は、G719X(19人、53%)、L861Q(9人、25%)、S768I(8人、22%)、その他(4人、11%)だった。奏効割合は50%(36人中18人、95%信頼区間は33-67%)だった。無増悪生存期間中央値は8.2ヶ月(95%信頼区間は5.9-10.5ヶ月)で、生存期間中央値は未到達だった。奏効持続期間中央値は11.2ヶ月(95%信頼区間は7.7-14.7ヶ月)だった。有害事象は発疹(11人、31%)、掻痒(9人、25%)、食欲不振(9人、25%)、下痢(8人、22%)、呼吸困難(8人、22%)だった。
結論:
オシメルチニブは"uncommon"なEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者において、良好な治療効果と忍容(対応)可能な毒性を示した。
今回の論文は、そこに一定の解を与えるものである。
無増悪生存期間中央値は8.2ヶ月とcommon mutationに対するオシメルチニブの成績を考えるとやや低い気もするが、これは致し方ないところだろう。
全生存期間中央値がいまだ未到達というのは頼もしい。
Osimertinib for Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring Uncommon EGFR Mutations: A Multicenter, Open-Label, Phase II Trial (KCSG-LU15-09)
Jang Ho Cho et al., DOI: 10.1200/JCO.19.00931 Journal of Clinical Oncology
Published online December 11, 2019.
目的:
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者の約10%は、いわゆる"uncommon"な遺伝子変異を有している。今回は、こうした"uncommon"なEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの患者を対象に、オシメルチニブ療法の有効性と安全性を検討した。
患者と方法:
多施設共同、単アーム、オープンラベル、第II相臨床試験として韓国国内で本試験を行った。患者は組織学的に診断された進行もしくは術後再発のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者とした。EGFR遺伝子変異としてはExon 19欠失変異、L858R一塩基置換変異、T790M一塩基置換変異、Exon 20挿入変異は除外した。主要評価項目は奏効割合とし、RECIST1.1基準を用いて6週間ごとに評価した。副次的評価項目は無増悪生存期間、奏効持続期間、安全性とした
結果:
2016年03月から2017年10月にかけて、37人の患者が登録された。治療開始後に臨床試験参加の同意を取り下げた1人を除くすべての患者が効果判定対象となった。年齢中央値は60歳で、22人(61%)は男性だった。61%の患者は初回治療としてオシメルチニブを使用した。検出されたEGFR遺伝子変異の内訳は、G719X(19人、53%)、L861Q(9人、25%)、S768I(8人、22%)、その他(4人、11%)だった。奏効割合は50%(36人中18人、95%信頼区間は33-67%)だった。無増悪生存期間中央値は8.2ヶ月(95%信頼区間は5.9-10.5ヶ月)で、生存期間中央値は未到達だった。奏効持続期間中央値は11.2ヶ月(95%信頼区間は7.7-14.7ヶ月)だった。有害事象は発疹(11人、31%)、掻痒(9人、25%)、食欲不振(9人、25%)、下痢(8人、22%)、呼吸困難(8人、22%)だった。
結論:
オシメルチニブは"uncommon"なEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者において、良好な治療効果と忍容(対応)可能な毒性を示した。
セルペルカチニブ、上市
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか