2019年12月02日
IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果
進展型小細胞肺癌に対するカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ併用療法の有効性を検証したIMpower133試験、日本人サブグループ解析結果が論文化されていた。
要約だけ読んでみた。
最近進展型小細胞肺癌と診断された患者には積極的に使用されており、中には劇的に効いている人がいる。
脳転移巣もかなり縮小していたのには驚いた。
限局型に使用しても、結構いい結果が得られるのではないだろうか。
というか、限局型に化学放射線療法を行う際にアテゾリズマブを絡めたら、結構いいんではないだろうか。
IMpower133試験に関する過去記事は、以下を参照のこと。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e961932.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e943506.html
Subgroup Analysis of Japanese Patients in a Phase III Study of Atezolizumab in Extensive-stage Small-cell Lung Cancer (IMpower133).
Nishio M et al, Clin Lung Cancer. 2019 Nov;20(6):469-476
背景:
アテゾリズマブは進展型小細胞肺癌患者に対して有効で忍容性に優れた治療薬だが、アジア人と白色人種では薬物療法の効果が異なることが一般に知られている。今回、IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果を報告する。
対象患者と方法:
今回の多施設共同プラセボ対照二重盲検ランダム化試験の主たる適格基準は、
・18歳以上
・組織診、細胞診で確認された進展型小細胞肺癌患者
・RECEST version 1.1に照らし合わせて、測定可能病変を有する
・ECOG-PS 0または1
・進展型小細胞肺癌に対する薬物療法歴がない
だった。患者は、カルボプラチン(5AUC)+エトポシド(100mg/m2)に加えて、アテゾリズマブ1,200mgを投与する群(A群)と、プラセボを投与する群(P群)に割り付けられた。主要評価項目は、Intention-to-treat解析における全生存期間と、担当医評価による無増悪生存期間だった。403人の患者が無作為割り付けをされたが、そのうち42人は日本人だった。
結果:
日本人サブグループにおけるIntention-to-treat解析では、A群(20人)の全生存期間中央値は14.6ヶ月(95%信頼区間は11.8-17.8ヶ月)で、P群(22人)の11.9ヶ月(95%信頼区間は8.4-15.8ヶ月)より長かった(ハザード比0.72、95%信頼区間は0.31-1.67)。無増悪生存期間中央値はA群で4.5ヶ月(95%信頼区間は4.2-8.1ヶ月)、P群で4.0ヶ月(95%信頼区間は2.9-5.6ヶ月)だった(ハザード比0.47、95%信頼区間は0.23-0.96)。アテゾリズマブは全般に忍容性良好で、治療関連死は認めなかった。
結論:
日本人進展型小細胞肺癌に対するカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ併用療法は有効かつ忍容性良好だった。今回の結果は、IMpower133試験全体の主要解析結果と符合していた。
要約だけ読んでみた。
最近進展型小細胞肺癌と診断された患者には積極的に使用されており、中には劇的に効いている人がいる。
脳転移巣もかなり縮小していたのには驚いた。
限局型に使用しても、結構いい結果が得られるのではないだろうか。
というか、限局型に化学放射線療法を行う際にアテゾリズマブを絡めたら、結構いいんではないだろうか。
IMpower133試験に関する過去記事は、以下を参照のこと。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e961932.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e943506.html
Subgroup Analysis of Japanese Patients in a Phase III Study of Atezolizumab in Extensive-stage Small-cell Lung Cancer (IMpower133).
Nishio M et al, Clin Lung Cancer. 2019 Nov;20(6):469-476
背景:
アテゾリズマブは進展型小細胞肺癌患者に対して有効で忍容性に優れた治療薬だが、アジア人と白色人種では薬物療法の効果が異なることが一般に知られている。今回、IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果を報告する。
対象患者と方法:
今回の多施設共同プラセボ対照二重盲検ランダム化試験の主たる適格基準は、
・18歳以上
・組織診、細胞診で確認された進展型小細胞肺癌患者
・RECEST version 1.1に照らし合わせて、測定可能病変を有する
・ECOG-PS 0または1
・進展型小細胞肺癌に対する薬物療法歴がない
だった。患者は、カルボプラチン(5AUC)+エトポシド(100mg/m2)に加えて、アテゾリズマブ1,200mgを投与する群(A群)と、プラセボを投与する群(P群)に割り付けられた。主要評価項目は、Intention-to-treat解析における全生存期間と、担当医評価による無増悪生存期間だった。403人の患者が無作為割り付けをされたが、そのうち42人は日本人だった。
結果:
日本人サブグループにおけるIntention-to-treat解析では、A群(20人)の全生存期間中央値は14.6ヶ月(95%信頼区間は11.8-17.8ヶ月)で、P群(22人)の11.9ヶ月(95%信頼区間は8.4-15.8ヶ月)より長かった(ハザード比0.72、95%信頼区間は0.31-1.67)。無増悪生存期間中央値はA群で4.5ヶ月(95%信頼区間は4.2-8.1ヶ月)、P群で4.0ヶ月(95%信頼区間は2.9-5.6ヶ月)だった(ハザード比0.47、95%信頼区間は0.23-0.96)。アテゾリズマブは全般に忍容性良好で、治療関連死は認めなかった。
結論:
日本人進展型小細胞肺癌に対するカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ併用療法は有効かつ忍容性良好だった。今回の結果は、IMpower133試験全体の主要解析結果と符合していた。
血液脳関門とがん薬物療法
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法と胸水・腹水貯留
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
ビノレルビンにも供給不安
進行非小細胞肺癌二次もしくは三次治療のアムルビシン単剤療法
有害事象による治療中止と、その後の治療再開
ナブパクリタキセル、まさかの供給停止
ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法再考
進行肺扁平上皮がんでは、二次治療以降でニボルマブにイピリムマブを上乗せする意義はない
ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法・・・NEJ009試験の最新データ
日本人の高齢進展型小細胞肺がんの標準治療
肺がん診療におけるステロイド薬の使い方
今更ながら第III相AVAPERL試験のおさらい
PD-L1≧50%の進行non-Sq NSCLC患者で、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法は必要かつ十分なのか
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非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
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今更ながら第III相AVAPERL試験のおさらい
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