2019年07月08日

RepotrectinibとROS1肺癌

 出典不明。
 ASCO2019だったかしら。

 repotrectinibは次世代型のチロシンキナーゼ阻害薬で、ROS1、TRK、ALK各融合遺伝子に対して選択性を持つように創薬された。前臨床試験において、repotrectinibはとりわけROS1融合遺伝子耐性変異(G2032Rを含む)に対する強固な活性を示すことが分かった。ROS1 / NTRK1-3 / ALK融合遺伝子陽性、チロシンキナーゼ未治療もしくは既治療の進行固形癌の患者を対象とした、第I / II相の用量漸増試験(TRIDENT-1試験)が計画され、主要評価項目には最大耐用量、第II相試験における推奨用量、奏効割合が含まれた。参加した83人の固形癌患者のうち、ROS1陽性非小細胞肺癌患者は33人だった。全ての患者は初期用量40mg、最大で400mgの1日量を服用した。
 ROS1陽性、TKI未治療の非小細胞肺癌患者において、repotrectinibの奏効割合は82%、repotrectinib 160mg/日以上を服用した患者の奏効割合は83%だった。頭蓋内病変の奏効割合は100%だった。
 TKI既治療の患者においても、同様の有効性を認めた。少なくとも1種のTKIによる治療経験がある患者4人のうち3人でベースラインからの腫瘍縮小を認めた。既往のTKI治療が1レジメンのみの患者18人では、奏効割合は39%だった。こうした患者において、repotrectinib 160mg/日以上を服用した患者の奏効割合は55%だった。頭蓋内病変の奏効割合は75%だった。興味深いことに、クリゾチニブによる治療歴がある患者5人はみなG2032R変異を有しており、5人共にrepotrectinibによる腫瘍縮小を認めた。
 ほとんどの有害事象は対処可能で軽微(Grade 1-2)なものだった。4件の用量制限毒性(Grade 3の呼吸困難/低酸素血症、Grade 2-3のめまい)を認め、12件で治療関連有害事象による投与量減量が必要だったが、最大耐用量はいまだ明らかでない。


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