2019年04月19日
子宮頸がんとPembrolizumab
本ブログの趣旨とは異なるが、最近GOPC-ROS1融合遺伝子陽性の子宮頸部混合型小細胞癌(この病名記載が適切かどうかはわからないけれど)の患者さんから相談を受けた。
どんな治療が可能性として挙げられるか、とのこと。
小細胞癌に対する化学療法は術後補助化学療法も含めてかなりintensiveに施行済み、ROS1に対する分子標的治療も既に試みたらしい。
畑違いで、よくわからない。
殺細胞性抗腫瘍薬、分子標的薬についてはいろいろ調べて候補が挙がったが、免疫チェックポイント阻害薬については可能性があるかどうかわからなかった。
しかし、小細胞癌に対しては、米国では免疫チェックポイント阻害薬が承認されている。
そんな中、今朝のメールにこんなのが届いていたので、書き残す。
肺がんの領域になぞらえるならば、進行肺腺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法が米国食品医薬品局に承認されたときのことを思い出す。
当時も、今回の子宮頸がんと同じく、第II相臨床試験の結果を踏まえての米国食品医薬品局の決定で、私を含めて多くの人が、時期尚早ではないか、と首をひねったことだろう。
しかし、現在では我が国でも承認され、身近なところでもこの治療を受けている患者を見かけるようになった。
子宮頸がんにおいても承認の決定がなされたというのは、効果が出たら長く効く、という免疫チェックポイント特有の現象が子宮頸がんの領域でも確認されたこと、そして、ここには全く触れられていないが、もしかしたらより大規模な臨床試験においても、それなりの手ごたえが既に確認されているのかもしれない。
奏効する患者の割合は14%強と高いとは言えないが、奏効した患者の奏効持続期間のデータにはすべて”≧”の記号がついている。
全ての奏効した患者で、現在進行形で効果が続いているということだろう。
これはインパクトがある。
現在我が国でも、MSI-Highが確認されれば、子宮頸がんに対するPembrolizumab投与の道は開かれている。
以下の記事に示すように子宮頸がんにおいても3-4%程度はMSI-Highとなる可能性があるわけで、標準治療をやり切った患者さんは本検査を試みる価値があるだろう。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e949436.html
Efficacy and Safety of Pembrolizumab in Previously Treated Advanced Cervical Cancer: Results From the Phase II KEYNOTE-158 Study
Hyun Cheol Chung et al.
DOI: 10.1200/JCO.18.01265 Journal of Clinical Oncology
Published online April 03, 2019.
方法:
KEYNOTE-158試験は第II相バスケット試験で、様々な癌腫におけるペンブロリズマブの抗腫瘍効果と安全性を検証する試験である。今回は、過去に治療歴のある進行子宮頸がんの患者を対象とした中間解析の結果を報告する。
対象と方法:
参加した患者は、病勢進行・耐え難い副作用・担当医もしくは患者自身の治療中断意思のどれかに至るまで、ペンブロリズマブ200mgを3週間ごとに、最長2年にわたって使用した。効果判定は、最初の12か月間は9週間ごとに、それ以降は12週間ごとに行った。主要評価項目は奏効割合で、RECIST ver. 1.1に基づいて、独立した中央放射線診断によって行った。安全性は副次評価項目とした。
結果:
98人の患者がプロトコール治療を受けた。患者の年齢中央値は46歳(24-75歳)、全体の65.3%がPS1だった。82人(83.7%)の患者において、腫瘍組織にPD-L1の発現を認めた。77人の患者は過去に少なくとも1コース以上の化学療法を、進行・再発子宮頸がんの状態で受けていた。観察期間中央値は10.2ヶ月(0.6-22.7ヶ月)だった。奏功割合は12.2%(6.5%-20.4%)で、3人が完全奏効、9人が部分奏効に達していた。完全奏効、部分奏効に達した12人すべてでPD-L1発現は陽性だった。過去の治療歴が1レジメンの患者の奏効割合は14.6%(7.8-24.2%)、2レジメン以上の患者の奏効割合は14.3%(7.4-24.1%)だった。奏効持続期間中央値は未到達(3.7ヶ月以上-18.6ヶ月以上)だった。治療関連有害事象は全体の65.3%に認め、頻度が高かったのは甲状腺機能低下(10.2%)、食欲不振(9.2%)、疲労(9.2%)だった。Grade 3-4の治療関連有害事象は12.2%に認められた。
結論:
ペンブロリズマブ単剤治療は、進行子宮頸がんの患者に対して持続性のある抗腫瘍活性と対応可能な範囲の毒性を示した。本結果に基づき、米国食品医薬品局は化学療法既治療のPD-L1陽性進行子宮頸がん患者に対して、ペンブロリズマブ単剤治療の迅速承認の決定を下した。
どんな治療が可能性として挙げられるか、とのこと。
小細胞癌に対する化学療法は術後補助化学療法も含めてかなりintensiveに施行済み、ROS1に対する分子標的治療も既に試みたらしい。
畑違いで、よくわからない。
殺細胞性抗腫瘍薬、分子標的薬についてはいろいろ調べて候補が挙がったが、免疫チェックポイント阻害薬については可能性があるかどうかわからなかった。
しかし、小細胞癌に対しては、米国では免疫チェックポイント阻害薬が承認されている。
そんな中、今朝のメールにこんなのが届いていたので、書き残す。
肺がんの領域になぞらえるならば、進行肺腺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法が米国食品医薬品局に承認されたときのことを思い出す。
当時も、今回の子宮頸がんと同じく、第II相臨床試験の結果を踏まえての米国食品医薬品局の決定で、私を含めて多くの人が、時期尚早ではないか、と首をひねったことだろう。
しかし、現在では我が国でも承認され、身近なところでもこの治療を受けている患者を見かけるようになった。
子宮頸がんにおいても承認の決定がなされたというのは、効果が出たら長く効く、という免疫チェックポイント特有の現象が子宮頸がんの領域でも確認されたこと、そして、ここには全く触れられていないが、もしかしたらより大規模な臨床試験においても、それなりの手ごたえが既に確認されているのかもしれない。
奏効する患者の割合は14%強と高いとは言えないが、奏効した患者の奏効持続期間のデータにはすべて”≧”の記号がついている。
全ての奏効した患者で、現在進行形で効果が続いているということだろう。
これはインパクトがある。
現在我が国でも、MSI-Highが確認されれば、子宮頸がんに対するPembrolizumab投与の道は開かれている。
以下の記事に示すように子宮頸がんにおいても3-4%程度はMSI-Highとなる可能性があるわけで、標準治療をやり切った患者さんは本検査を試みる価値があるだろう。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e949436.html
Efficacy and Safety of Pembrolizumab in Previously Treated Advanced Cervical Cancer: Results From the Phase II KEYNOTE-158 Study
Hyun Cheol Chung et al.
DOI: 10.1200/JCO.18.01265 Journal of Clinical Oncology
Published online April 03, 2019.
方法:
KEYNOTE-158試験は第II相バスケット試験で、様々な癌腫におけるペンブロリズマブの抗腫瘍効果と安全性を検証する試験である。今回は、過去に治療歴のある進行子宮頸がんの患者を対象とした中間解析の結果を報告する。
対象と方法:
参加した患者は、病勢進行・耐え難い副作用・担当医もしくは患者自身の治療中断意思のどれかに至るまで、ペンブロリズマブ200mgを3週間ごとに、最長2年にわたって使用した。効果判定は、最初の12か月間は9週間ごとに、それ以降は12週間ごとに行った。主要評価項目は奏効割合で、RECIST ver. 1.1に基づいて、独立した中央放射線診断によって行った。安全性は副次評価項目とした。
結果:
98人の患者がプロトコール治療を受けた。患者の年齢中央値は46歳(24-75歳)、全体の65.3%がPS1だった。82人(83.7%)の患者において、腫瘍組織にPD-L1の発現を認めた。77人の患者は過去に少なくとも1コース以上の化学療法を、進行・再発子宮頸がんの状態で受けていた。観察期間中央値は10.2ヶ月(0.6-22.7ヶ月)だった。奏功割合は12.2%(6.5%-20.4%)で、3人が完全奏効、9人が部分奏効に達していた。完全奏効、部分奏効に達した12人すべてでPD-L1発現は陽性だった。過去の治療歴が1レジメンの患者の奏効割合は14.6%(7.8-24.2%)、2レジメン以上の患者の奏効割合は14.3%(7.4-24.1%)だった。奏効持続期間中央値は未到達(3.7ヶ月以上-18.6ヶ月以上)だった。治療関連有害事象は全体の65.3%に認め、頻度が高かったのは甲状腺機能低下(10.2%)、食欲不振(9.2%)、疲労(9.2%)だった。Grade 3-4の治療関連有害事象は12.2%に認められた。
結論:
ペンブロリズマブ単剤治療は、進行子宮頸がんの患者に対して持続性のある抗腫瘍活性と対応可能な範囲の毒性を示した。本結果に基づき、米国食品医薬品局は化学療法既治療のPD-L1陽性進行子宮頸がん患者に対して、ペンブロリズマブ単剤治療の迅速承認の決定を下した。
お引越しします
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
がんと新型コロナウイルスワクチン
進行肝細胞がんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
がんと新型コロナウイルスワクチン
進行肝細胞がんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法
Posted by tak at 09:05│Comments(0)
│その他