2021年05月04日
2008年度のデータベースから
連休中にふと思い立って、データベースの整理を始めた。
国立がん研究センターが公表した以下のプレスリリースに触発された。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0427_3/index.html
2008年度の内容をまとめてみた。
統計解析にはEZRを用いた。
1)患者背景

この時期に確定診断した患者の総数は38人。
年齢中央値は72歳、最高齢は88歳。

50代後半以降の患者ばかりで、若い患者はいなかった。
男性が24人で、全体の63%を占めている。
組織型別にみると、半数強が腺がんで、扁平上皮がんと小細胞がんが1/6ずつとそれほど多くない。
その他は大細胞神経内分泌がん1人、多型がん1人、大細胞がん1人、同定不能3人だった。
臨床病期別にみると、IA期とIV期に二極化していた。

2)全体の生命予後
38人全員を対象とした生存曲線はこの通り。
全ての年齢層、組織型、臨床病期の患者を含むので、乱暴な解析と言われればそれまでだが、患者数が少ないから仕方がない。

5年生存割合は37%、95%信頼区間は22%-52%。
10年生存割合は26%、95%信頼区間は13%-41%。
生存期間中央値は2.0年。
3)性別ごとの生命予後
こういう解析はあまりされないが、見事に有意差がついた。


背景として、女性はほぼ全員が腺がんで小細胞がんは1人しかおらず、その分男性に小細胞がんと扁平上皮がんが多い(p=0.012)ということが関わっていそうだ。
4)組織型ごとの生命予後
どうみても腺がんがよい(p<0.001)。


腺がんの患者に早期診断、根治切除の患者が多かったのかと思いきや、少なくとも扁平上皮がんとの比較ではそうでもない(I-II期の患者は、腺がんで20人中11人、対して扁平上皮がんでは6人中4人)。
5)臨床病期ごとの生命予後

IA期、IB期の患者の生命予後が悪いのが目につく。
IA期の5年生存割合は64%(95%信頼区間30-85%)、IB期は50%(95%信頼区間11-80%)に過ぎない。
IV期の5年生存割合は8.3%(95%信頼区間0.5-31%)、生存期間中央値は0.62年と、今の水準からすると惨憺たる内容だ。
6)IV期腺がんの生命予後


2008年度診断のIV期腺がん患者でも、5年生存割合が17%に達しているのは誇らしい。
この時期の患者には、ドライバー遺伝子変異陽性の患者がいなかったのだから。
国立がん研究センターが公表した以下のプレスリリースに触発された。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0427_3/index.html
2008年度の内容をまとめてみた。
統計解析にはEZRを用いた。
1)患者背景

この時期に確定診断した患者の総数は38人。
年齢中央値は72歳、最高齢は88歳。

50代後半以降の患者ばかりで、若い患者はいなかった。
男性が24人で、全体の63%を占めている。
組織型別にみると、半数強が腺がんで、扁平上皮がんと小細胞がんが1/6ずつとそれほど多くない。
その他は大細胞神経内分泌がん1人、多型がん1人、大細胞がん1人、同定不能3人だった。
臨床病期別にみると、IA期とIV期に二極化していた。

2)全体の生命予後
38人全員を対象とした生存曲線はこの通り。
全ての年齢層、組織型、臨床病期の患者を含むので、乱暴な解析と言われればそれまでだが、患者数が少ないから仕方がない。

5年生存割合は37%、95%信頼区間は22%-52%。
10年生存割合は26%、95%信頼区間は13%-41%。
生存期間中央値は2.0年。
3)性別ごとの生命予後
こういう解析はあまりされないが、見事に有意差がついた。


背景として、女性はほぼ全員が腺がんで小細胞がんは1人しかおらず、その分男性に小細胞がんと扁平上皮がんが多い(p=0.012)ということが関わっていそうだ。
4)組織型ごとの生命予後
どうみても腺がんがよい(p<0.001)。


腺がんの患者に早期診断、根治切除の患者が多かったのかと思いきや、少なくとも扁平上皮がんとの比較ではそうでもない(I-II期の患者は、腺がんで20人中11人、対して扁平上皮がんでは6人中4人)。
5)臨床病期ごとの生命予後

IA期、IB期の患者の生命予後が悪いのが目につく。
IA期の5年生存割合は64%(95%信頼区間30-85%)、IB期は50%(95%信頼区間11-80%)に過ぎない。
IV期の5年生存割合は8.3%(95%信頼区間0.5-31%)、生存期間中央値は0.62年と、今の水準からすると惨憺たる内容だ。
6)IV期腺がんの生命予後


2008年度診断のIV期腺がん患者でも、5年生存割合が17%に達しているのは誇らしい。
この時期の患者には、ドライバー遺伝子変異陽性の患者がいなかったのだから。
2022年01月06日の記事より・・・各種マスクによる新型コロナウイルス拡散予防効果
2022年01月02日の記事より・・・新年を迎える幸せ
お引越しします
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
がんと新型コロナウイルスワクチン
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広い意味でのチーム医療
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順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
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2010年度のデータベースから
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がんと新型コロナウイルスワクチン
Posted by tak at 18:57│Comments(0)
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