2017年11月17日
CheckMate-153試験:ニボルマブは途中でやめられない?
非小細胞肺がんの薬物療法にかかる費用が高騰しているのは、次々に出てくる高額な薬のせいだ、とよく言われる。
確かにその通り。
あちこちで論じられているので、いまさら言うまでもない。
また、薬の単価だけではなくて、治療期間も長くなる傾向にある。
治療期間が長くなるのは、その分患者さんが長生きしていることをも意味しているので悪いことではない。
ただし、薬の単価×治療期間=薬による総治療費用である以上は、治療期間が長くなることは、経済的毒性を高めることであるのは自明だ。
古典的なプラチナ併用化学療法は、3から6コースが適正で、それ以上はやってもあまり意味がないとされている。
しかし、二次治療以降のドセタキセルやペメトレキセド、S-1については、治療期間に上限はない。
ペメトレキセドやベバシツマブといった高額な薬は、維持投与と非維持投与(一旦治療を中止し、増悪してから治療を再開する)のきちんとした比較試験が行われていないにも拘らず、なし崩し的に維持投与が標準治療になっている。
分子標的薬も、治療期間に上限はない。
殺細胞性抗がん薬に比べると毒性が比較的軽微なため、ときには明らかな病勢進行があっても継続投与される。
はっきりとした病勢進行があっても、なんらかの症状が出てきても、薬を変更するよりは可能な局所治療や支持療法を加えながらそのままの薬を使いたい、という患者さんは、結構いる。
経済的毒性の問題を除けば、臨床試験計画に治療期間の上限を設けることは、もはや意味がないのではないかと思える。
そうはいっても、実地臨床での活用が前提である以上は、今後の臨床試験は経済的毒性を切り離して考えるべきではない。
臨床試験先進国である米国でも、治療適応の進行期非小細胞肺癌と診断されていながら、治療を受けられない患者が増えているという。
Increasing Rates of No Treatment in Advanced-Stage Non-Small Cell Lung Cancer Patients: A Propensity-Matched Analysis.
J Thorac Oncol. 2017 Mar;12(3):437-445.
David EA et al.
なんと皮肉な話だろう。
人とひととをつなぐ役割を果たすスマホやSNSが普及したために、友人や祖父母にあっても相手の顔を見ずにスマホばかりを見ていて、社会性を失ってしまった現代っ子のようだ。
そして、今回のESMO2017で発表された、ニボルマブを途中でやめるか継続するかの臨床試験の結果を見る。
もともとは途中でやめたら毒性が軽減できるんじゃないかということで、毒性が主要評価項目となっていた。
しかし、誰もが注目するのは無増悪生存期間の結果である。
主要評価項目ではないとはいえ、誰がどう見ても継続投与の方が有望である。
なかなかお目にかかれない、コックス比例ハザードモデルにきれいに乗っかりそうな生存曲線だ。
無増悪生存期間を延長しなくても全生存期間を延長する現象がしばしば見られる免疫チェックポイント阻害薬において、無増悪生存期間が延長した以上、全生存期間も間違いなく延長するだろう。
途中でやめた方が間違いなく経済的毒性は軽減しているはずだが、さすがに経済的毒性を主要評価項目、生存関連エンドポイントを副次評価項目にすえるのは、倫理的に許されないだろう。
・・・多分。
確かにその通り。
あちこちで論じられているので、いまさら言うまでもない。
また、薬の単価だけではなくて、治療期間も長くなる傾向にある。
治療期間が長くなるのは、その分患者さんが長生きしていることをも意味しているので悪いことではない。
ただし、薬の単価×治療期間=薬による総治療費用である以上は、治療期間が長くなることは、経済的毒性を高めることであるのは自明だ。
古典的なプラチナ併用化学療法は、3から6コースが適正で、それ以上はやってもあまり意味がないとされている。
しかし、二次治療以降のドセタキセルやペメトレキセド、S-1については、治療期間に上限はない。
ペメトレキセドやベバシツマブといった高額な薬は、維持投与と非維持投与(一旦治療を中止し、増悪してから治療を再開する)のきちんとした比較試験が行われていないにも拘らず、なし崩し的に維持投与が標準治療になっている。
分子標的薬も、治療期間に上限はない。
殺細胞性抗がん薬に比べると毒性が比較的軽微なため、ときには明らかな病勢進行があっても継続投与される。
はっきりとした病勢進行があっても、なんらかの症状が出てきても、薬を変更するよりは可能な局所治療や支持療法を加えながらそのままの薬を使いたい、という患者さんは、結構いる。
経済的毒性の問題を除けば、臨床試験計画に治療期間の上限を設けることは、もはや意味がないのではないかと思える。
そうはいっても、実地臨床での活用が前提である以上は、今後の臨床試験は経済的毒性を切り離して考えるべきではない。
臨床試験先進国である米国でも、治療適応の進行期非小細胞肺癌と診断されていながら、治療を受けられない患者が増えているという。
Increasing Rates of No Treatment in Advanced-Stage Non-Small Cell Lung Cancer Patients: A Propensity-Matched Analysis.
J Thorac Oncol. 2017 Mar;12(3):437-445.
David EA et al.
なんと皮肉な話だろう。
人とひととをつなぐ役割を果たすスマホやSNSが普及したために、友人や祖父母にあっても相手の顔を見ずにスマホばかりを見ていて、社会性を失ってしまった現代っ子のようだ。
そして、今回のESMO2017で発表された、ニボルマブを途中でやめるか継続するかの臨床試験の結果を見る。
もともとは途中でやめたら毒性が軽減できるんじゃないかということで、毒性が主要評価項目となっていた。
しかし、誰もが注目するのは無増悪生存期間の結果である。
主要評価項目ではないとはいえ、誰がどう見ても継続投与の方が有望である。
なかなかお目にかかれない、コックス比例ハザードモデルにきれいに乗っかりそうな生存曲線だ。
無増悪生存期間を延長しなくても全生存期間を延長する現象がしばしば見られる免疫チェックポイント阻害薬において、無増悪生存期間が延長した以上、全生存期間も間違いなく延長するだろう。
途中でやめた方が間違いなく経済的毒性は軽減しているはずだが、さすがに経済的毒性を主要評価項目、生存関連エンドポイントを副次評価項目にすえるのは、倫理的に許されないだろう。
・・・多分。
第III相CONFIRM、第II相MERITほか・・・中皮腫再燃に対するニボルマブ単剤療法
免疫チェックポイント阻害薬と自己免疫疾患発症
血液脳関門とがん薬物療法
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
CheckMate-227試験 4年追跡後
放射線治療を前処置とした免疫チェックポイント阻害薬
悪性胸膜中皮腫とニボルマブ+イピリムマブ併用療法
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析
第III相POSEIDON試験
病勢進行後の治療をどう考えるか
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
免疫チェックポイント阻害薬と抑うつ反応
有害事象による治療中止と、その後の治療再開
尿路上皮がんと術後補助ニボルマブ療法
姑息的放射線照射による遠隔腫瘍縮小(アブスコパル)効果と免疫チェックポイント阻害薬 その2
姑息的放射線照射による遠隔腫瘍縮小(アブスコパル)効果と免疫チェックポイント阻害薬 その1
進行肺扁平上皮がんでは、二次治療以降でニボルマブにイピリムマブを上乗せする意義はない
免疫チェックポイント阻害薬と自己免疫疾患発症
血液脳関門とがん薬物療法
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
CheckMate-227試験 4年追跡後
放射線治療を前処置とした免疫チェックポイント阻害薬
悪性胸膜中皮腫とニボルマブ+イピリムマブ併用療法
ドライバー遺伝子変異陽性患者におけるPACIFICレジメンの有効性
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
CheckMate9LA試験 脳転移の有無でサブグループ解析
第III相POSEIDON試験
病勢進行後の治療をどう考えるか
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
非小細胞肺がんの周術期治療をどのように考えるか
免疫チェックポイント阻害薬と抑うつ反応
有害事象による治療中止と、その後の治療再開
尿路上皮がんと術後補助ニボルマブ療法
姑息的放射線照射による遠隔腫瘍縮小(アブスコパル)効果と免疫チェックポイント阻害薬 その2
姑息的放射線照射による遠隔腫瘍縮小(アブスコパル)効果と免疫チェックポイント阻害薬 その1
進行肺扁平上皮がんでは、二次治療以降でニボルマブにイピリムマブを上乗せする意義はない
Posted by tak at 21:40│Comments(0)
│免疫チェックポイント阻害薬