2017年07月10日

J-ALEX study updated data

 J-ALEX試験のupdate data。
 1st reportに比べて10ヶ月だけ観察期間が延びたということだが、無増悪生存期間中央値が具体的な数字になっていた。
 もともと脳転移がなかった患者の中枢神経病変抑制能には、大きな差がついているようだ。
 要点のみ抜粋して記載する。
 

Updated efficacy and safety of the j-alex study comparing alectinib (ALC) with crizotinib (CRZ) in ALK-inhibitor naïve ALK fusion positive non-small cell lung cancer (ALK+ NSCLC).

ASCO 2017 abst.#9064

Yuichi Takiguchi, Toyoaki Hida, Hiroshi Nokihara et al.

 2013年11月から2015年8月までの間に、207人の患者が登録された。今回の解析では、2016年9月まででデータカットオフを行った。経過観察期間の中央値は、Alectinib群で20.5ヶ月、Crizotinib群で20.4ヶ月だった。無増悪生存期間に関するハザード比は0.38(95%信頼区間は0.26-0.55、p<0.0001)だった。無増悪生存期間中央値はAlectinib群で25.9ヶ月(95%信頼区間は20.3ヶ月以上)、Crizotinib群で10.2ヶ月(95%信頼区間は8.3-10.2ヶ月)だった。登録時に脳転移のなかった患者は164人いたが、Crizotinib群に比べてAlectinib群では中枢神経病変新出による病勢進行が有意に抑制されていた(ハザード比0.19、95%信頼区間は0.07-0.53)。一方、登録時に脳転移があった患者は43人いたが、中枢神経病変進行による病勢進行に有意な差は見いだせなかった(ハザード比0.51, 95%信頼区間は0.16-1.64)。

J-ALEX study updated data
J-ALEX study updated data
J-ALEX study updated data
J-ALEX study updated data


同じカテゴリー(分子標的薬・抗体医薬)の記事画像
セルペルカチニブ、上市
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
同じカテゴリー(分子標的薬・抗体医薬)の記事
 ・Reiwa研究から・・・オシメルチニブ初回治療後、その他のEGFR-TKIでrechallenge治療をしたら (2024-12-29 16:01)
 ・Osi-risk TORG-TG2101試験・・・オシメルチニブ投与中止後のEGFR-TKI再投与とその安全性について (2024-12-26 15:25)
 セルペルカチニブ、上市 (2021-12-14 06:00)
 CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから (2021-12-01 06:00)
 セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定 (2021-11-30 06:00)
 セルペルカチニブと過敏症 (2021-11-09 06:00)
 血液脳関門とがん薬物療法 (2021-11-08 06:00)
 根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか (2021-11-03 06:00)
 脳転移を有する患者集団に対しても、免疫チェックポイント阻害薬は有効なのか (2021-10-29 06:00)
 HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib (2021-10-11 06:00)
 セルペルカチニブの添付文書 (2021-10-08 06:00)
 第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655 (2021-10-07 06:00)
 セルペルカチニブ、製造販売承認 (2021-09-28 06:00)
 HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan (2021-09-22 06:00)
 オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか (2021-09-21 06:00)
 EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法 (2021-09-20 06:00)
 中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性 (2021-09-15 06:00)
 オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦 (2021-09-14 06:00)
 病勢進行後の治療をどう考えるか (2021-09-13 06:00)
 RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる (2021-09-09 06:00)

この記事へのコメント
お久し振りです。
以前、妻の治療方針で
コメント蘭で色々と相談に乗って頂き、
お世話になりました。

ローラチニブの治験から10ヶ月…
やはり効果が落ちて来ました。
今週の定期診察で磨りガラスの増大…
肺、心臓にも若干の水を確認。
リンパも少し腫れて来ている。
標準治療になりそうです。
本人は全く元気なのですが…。
自覚症状はいつも皆無です。
アリムタ、アバスチン、カルボプラチン
今まで点滴の薬は経験が無く
かなり不安です。
とにかく、やるしかありませんが…
生検も迷いましたが、
一旦、標準を挟んでその後の治療の
時にしっかり生検しましょうと。
再度、分子標的薬に行けるかもだからと
言う作戦らしいです。
ジカディアは副作用が強いので
あまり乗る気では無いようです。
そんなこんなで不安だらけですが
頑張ります。
アレセンサ→標準治療→アレセンサで
奏功した事例などご存知でしょうか?
Posted by さくら。 at 2017年07月15日 07:31
さくら。さんへ

 コメントありがとうございます。詳細は分からないのですが、今年の米国臨床腫瘍学会でLorlatinibの発表があったようです。要約だけでも近いうちに記載したいと思います。
 ALK陽性肺癌は治療耐性の機序が多彩で、したがってアプローチも様々です。ただ、実地臨床はそこまで追いついていません。これまでの一般的な流れは、crizotinib→病勢進行→alectinibもしくはceritinib→病勢進行→化学療法(pemetrexedを含む治療法)といったところだと思います。ALK陽性は胃癌にはpemetrexedが有効であるとされていますし、治療過程で一度は試みるべきでしょう。
 参考になるかどうかは分かりませんが、関連した記事をまとめて、ブログ本体に載せておきます。
Posted by tak at 2017年07月16日 09:09
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。