2017年06月28日

Alectinib関連の備忘録

2017年度日本呼吸器内視鏡学会総会第1日 2017年6月9日(金)

ランチョンセミナー3
<ALK陽性非小細胞肺癌の治療戦略とその実際>
・進行非小細胞肺癌の診断がついたら、次にするべきはEGFR、ALK、ROS1、PD-L1の確認
→全て陰性なら、Bevacizumabが使えるかどうかを判断するため、扁平上皮癌か非扁平上皮癌の鑑別をする
・2007年にALK融合遺伝子が発見された
 EML4-ALKはリガンド非依存的に二量体を形成する
 検索する手段は免疫染色、FISH、PCR
・ALK検査の手引き
 ALK陽性の頻度が高い組織像ならば、免疫染色陰性でもFISHをしておきたい
・Park et al., PLoS ONE 2016
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27518729
 Lymphadenopathy, extranodal invasionがALK陽性肺癌で高頻度
・Yoshida et al., J Clin Oncol 2016
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27354483
 Crizotinibの効果とALK variantの関係
・Gainor et al., Clin Cancer Res, 4585-4593, 2016
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27225694
 EGFRやALKが陽性の場合、抗PD-1抗体が効きにくいが、その理由に言及
・EGFR遺伝子変異陽性ならCD73が高発現、そのため抗PD-1抗体の効果が出にくい
 ASCO 2017 abst.#11505
 http://abstracts.asco.org/199/AbstView_199_194449.html
・J-ALEX study, Hida et al., Lancet 2017
 1レジメンまでの化学療法歴は可とした
 ALK検索の手法として、IHC、FISH、PCRいずれも可とした
 PSは0-2
 1st line / 2nd lineでのサブグループ解析→Alectinib優位
 IIIB, IV期 / 術後再発でのサブグループ解析→Alectinib優位
・Alectinibのcompoundとしての初回報告
 Sakamoto et al., Cancer cell 679-690, 2011
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21575866
・ALEX study, Peters et al., N Engl J Med 2017, Shaw et al., ASCO 2017 abst #LBA9008
 Grobal study
 未治療ALK陽性進行肺癌患者のみが対象
 PSは0-2
 層別化因子は人種、脳転移の有無、ALK検出法
 無増悪生存期間中央値はAlectinibで未到達、Crizotinibで11.1ヶ月
 ハザード比0.47(95%信頼区間は0.34-0.65)
 P<0.0001
 ASCO 2017における筆頭演者のコメントは、
 “The large magnitude of benefit suggest that first line alectinib may be superior to sequential treatment with crizotinib and alectinib ( crizotinib followed by alectinib).”
 “First line alectinib for ALK+ advanced NSCLC is ESTABLISHED.”
 →「(J-ALEX studyの結果が明らかになってからというもの、Alectinibを1st lineで使用することと、Crizotinibを1st lineで使用したのちにAlectinibを使用することと、どちらがより全体としての治療成績を改善するのかという議論があるが)今回のALEX studyにおける、1st line Alectinibの優れた治療効果を目の当たりにすると、仮に逐次療法との比較を考えたとしても、1st line Alectinibが優れているだろうと考えざるを得ない」
  「1st line Alectinibはもはや"確立された"治療といってよい」
・Tamura et al., J Clin Oncol 2017
 AF-001JP試験の3年追跡結果
 3年無増悪生存割合:62%(95%信頼区間は45-75%)
 3年生存割合:78%(95%信頼区間は63-88%)
 奏効割合:93.5%
 奏効までの期間:0.7ヶ月(95%信頼区間は0.6-7.1ヶ月)
・Kodama et al., Cancer Chemother Pharmacol 1023-1025 2014
 Alectinibは脳内への移行性良好
・Gadgeel et al., J Clin Oncol 2016
 Pooled analysis of CNS response to alectinib
・PS不良患者に対するAlectinib:Iwama et al., J Thorac Oncol 2017
 奏効割合 72.2%
 PS改善割合 83.3%
 無増悪生存期間中央値 10.1ヶ月
・ALK阻害薬耐性の機序は多彩
 Gainor et al., Cancer Discov 1118-1133, 2016
・Ou et al., ASCO 2017 abst.#9010
 Foundation Core Databaseを利用してALK陽性肺癌患者634人を解析
 Variant 1とVariant 3の患者が多かった
 Variant 3では二次変異が多発し、有効な治療薬が乏しいG1202R変異を生じやすい
・肺癌診療ガイドライン2016ではAlectinib Grade A, Crizotinib Grade B, 化学療法 Grade C1


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