2017年07月07日
J-ALEX and ALEX
J-ALEXとALEX。
ASCO 2016と2017で相次いで発表されたこれら2試験の結果から、ALK融合遺伝子陽性肺癌初回治療としてのAlectinibの位置づけは定まったといっていいだろう。
とりあえず、無増悪生存期間についてはAlectinib群に軍配があがっているようだ、ということはわかるのだが、じゃあAlectinib群での無増悪生存期間や全生存期間はどのくらいなのかというと、まだまだわからない。
そもそも、第I相試験であるAF-001JP試験ですら、無増悪生存期間の中央値が判明していないのだ。
Alectinib versus Crizotinib in patients with ALK-positive non-small-cell lung cancer (J-ALEX): an open-label, randomized phase 3 trial
Hida, Nokihara, et al.
Lancet 2017
・ALK阻害薬治療歴のない(化学療法歴は1レジメンまでOK)ALK融合遺伝子陽性の日本人進行非小細胞肺癌患者を対象とした
・Alectinib群は300mg/回を1日2回、Crizotinib群は250mg/回を1日2回服用した
・主要評価項目は無増悪生存期間とした
・207人の患者が登録され、Alectinib群に103人、Crizotinib群に104人が割り付けられた
・プロトコール治療終了後のクロスオーバーは許容されていた
・まず、Crizotinib群に対するAlectinib群の非劣勢を証明し、その後にAlectinib群の優越性を検証するというデザインだった
・当初は2回の中間解析を予定していたが、プロトコール改訂により3回に増やした
・2回目の中間解析の段階でAlectinib群の優越性が示された
・患者背景は両治療群間でほぼバランスが取れていたが、Alectinib群(14%)に比べてCrizotinib群(28%)では脳転移を有する患者が多かった
・無増悪生存期間中央値は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は20.3ヶ月以上)、Crizotinib群で10.2ヶ月(95%信頼区間は8.2から12.0ヶ月)で、ハザード比は0.34(95%信頼区間は0.17-0.71)、p<0.0001
・治療歴のない患者での無増悪生存期間は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は17.5ヶ月以上)、Crizotinib群で10.2ヶ月(95%信頼区間は8.3-13.9ヶ月)で、ハザード比は0.31(95%信頼区間は0.17-0.57)
・化学療法歴のある患者での無増悪生存期間は、Alectinib群で20.3ヶ月(95%信頼区間は20.3ヶ月以上)、Crizotinib群で8.2ヶ月(95%信頼区間は6.4-15.7ヶ月)、ハザード比は0.40(95%信頼区間は0.19-0.87)
・両群ともに、ほとんどの患者で治療開始後1ヶ月以内に腫瘍縮小が認められた
・奏効割合は、Alectinib群で85%(95%信頼区間は78.6-92.3%)、Crizotinib群で70%(61.4-79.0%)
・論文発表時点で、全生存期間はまだ評価できる段階にない(ほとんどの人が生存している)
Alectinib versus Crizotinib in untreated ALK-positive non-small-cell lung cancer
Peters, Camidge, Shaw, et al.
N Engl J Med 2017
・過去に治療歴のないALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌患者を対象とした
・Alectinib群は600mg/回を1日2回、Crizotinib群は250mg/回を1日2回服用した
・主要評価項目は無増悪生存期間とした
・303人の患者が登録され、Alectinib群に152人、Crizotinib群に151人が割り付けられた
・プロトコール治療中のクロスオーバーは許容されていなかったが、Crizotinib群で病勢が進行した後にAlectinibを使用するのは可とされていた
・患者背景は両治療群間でほぼバランスが取れていた
・無増悪生存期間中央値は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は17.7ヶ月以上)、Crizotinib群で11.1ヶ月(95%信頼区間は9.1から13.1ヶ月), ハザード比は0.47(95%信頼区間は0.34-0.65), p<0.001
ASCO 2016と2017で相次いで発表されたこれら2試験の結果から、ALK融合遺伝子陽性肺癌初回治療としてのAlectinibの位置づけは定まったといっていいだろう。
とりあえず、無増悪生存期間についてはAlectinib群に軍配があがっているようだ、ということはわかるのだが、じゃあAlectinib群での無増悪生存期間や全生存期間はどのくらいなのかというと、まだまだわからない。
そもそも、第I相試験であるAF-001JP試験ですら、無増悪生存期間の中央値が判明していないのだ。
Alectinib versus Crizotinib in patients with ALK-positive non-small-cell lung cancer (J-ALEX): an open-label, randomized phase 3 trial
Hida, Nokihara, et al.
Lancet 2017
・ALK阻害薬治療歴のない(化学療法歴は1レジメンまでOK)ALK融合遺伝子陽性の日本人進行非小細胞肺癌患者を対象とした
・Alectinib群は300mg/回を1日2回、Crizotinib群は250mg/回を1日2回服用した
・主要評価項目は無増悪生存期間とした
・207人の患者が登録され、Alectinib群に103人、Crizotinib群に104人が割り付けられた
・プロトコール治療終了後のクロスオーバーは許容されていた
・まず、Crizotinib群に対するAlectinib群の非劣勢を証明し、その後にAlectinib群の優越性を検証するというデザインだった
・当初は2回の中間解析を予定していたが、プロトコール改訂により3回に増やした
・2回目の中間解析の段階でAlectinib群の優越性が示された
・患者背景は両治療群間でほぼバランスが取れていたが、Alectinib群(14%)に比べてCrizotinib群(28%)では脳転移を有する患者が多かった
・無増悪生存期間中央値は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は20.3ヶ月以上)、Crizotinib群で10.2ヶ月(95%信頼区間は8.2から12.0ヶ月)で、ハザード比は0.34(95%信頼区間は0.17-0.71)、p<0.0001
・治療歴のない患者での無増悪生存期間は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は17.5ヶ月以上)、Crizotinib群で10.2ヶ月(95%信頼区間は8.3-13.9ヶ月)で、ハザード比は0.31(95%信頼区間は0.17-0.57)
・化学療法歴のある患者での無増悪生存期間は、Alectinib群で20.3ヶ月(95%信頼区間は20.3ヶ月以上)、Crizotinib群で8.2ヶ月(95%信頼区間は6.4-15.7ヶ月)、ハザード比は0.40(95%信頼区間は0.19-0.87)
・両群ともに、ほとんどの患者で治療開始後1ヶ月以内に腫瘍縮小が認められた
・奏効割合は、Alectinib群で85%(95%信頼区間は78.6-92.3%)、Crizotinib群で70%(61.4-79.0%)
・論文発表時点で、全生存期間はまだ評価できる段階にない(ほとんどの人が生存している)
Alectinib versus Crizotinib in untreated ALK-positive non-small-cell lung cancer
Peters, Camidge, Shaw, et al.
N Engl J Med 2017
・過去に治療歴のないALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌患者を対象とした
・Alectinib群は600mg/回を1日2回、Crizotinib群は250mg/回を1日2回服用した
・主要評価項目は無増悪生存期間とした
・303人の患者が登録され、Alectinib群に152人、Crizotinib群に151人が割り付けられた
・プロトコール治療中のクロスオーバーは許容されていなかったが、Crizotinib群で病勢が進行した後にAlectinibを使用するのは可とされていた
・患者背景は両治療群間でほぼバランスが取れていた
・無増悪生存期間中央値は、Alectinib群で未到達(95%信頼区間は17.7ヶ月以上)、Crizotinib群で11.1ヶ月(95%信頼区間は9.1から13.1ヶ月), ハザード比は0.47(95%信頼区間は0.34-0.65), p<0.001
セルペルカチニブ、上市
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セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
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Posted by tak at 23:56│Comments(0)
│分子標的薬・抗体医薬