2017年02月15日

日本肺癌学会のアンケート調査

 日本肺癌学会から、2017年2月13日付で以下のようなアンケートが来た。

 アンケートに答えながら、設問を見て、本ブログを続けるべきかやめるべきか真剣に悩んでいる。
 本ブログは広告目的はなく、(私見は織り込んでいるかもしれないが)故意にゆがめた情報もない。
 しかし、後から見直して不正確だった(記録を残したのちに見解が覆された)内容はないかと言われれば、否定できない。
 講演会やセミナーの内容は、例え公的な学会で報告されたものでも演者の私見などの不確定要素が含まれるため、一時期から演者を記載しないようにした(そもそも、企業主催の講演会・セミナーで発表される内容はバイアスがかかっていることが多いため、最近では出席を控え、ブログでは取り扱わなくなった)。
 
 そうはいっても、インターネットでのe-ラーニングですら、ほとんどの場合製薬企業などがスポンサーについている。
 あらゆる学会が、スポンサー抜きでは運営すらままならない。
 医療費高騰の問題を考えるに、医療界の大きな自己矛盾を感じる。
 
 

肺癌学会会員各位


 この度、「がん診療に従事する医師から、患者に向けたインターネット情報の提供について」というアンケートを企画し、
肺癌学会会員各位を対象として本アンケートを行う事となりました。

 回答にかかる時間は5~10分程度です。

 がんに対する国民の関心は高く、インターネットを利用して情報を集める患者・家族は多くなっていると思われます。
簡便に広く情報収集できる利便性は無視できませんが、一方でインターネット上に溢れる情報には広告を含め、
不正確なばかりか故意にゆがめられた情報があるのも否めないと思われます。

 初期的なアンケートではありますが、インターネットによる情報提供の現状把握をするとともに、
そのより効果的な活用法の普及に向けて課題を抽出することを目的としています。
得られた結果は2017年10月に開催される第58回日本肺癌学会学術集会で報告し、
会員の皆様のご議論を賜りたいと考えております。

お忙しいとは思いますが、何卒よろしくお願いいたします。




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Posted by tak at 19:40│Comments(9)その他
この記事へのコメント
tak先生、いつも最新かつ患者にも分かる丁寧な記事をありがとうございます。肺癌学会は、患者会と共同で新薬の早期承認を厚労省に申し入れたり学会に患者を招いたりしており、患者に理解のある学会と思っております。
さて、こうしたインタネットの情報を否定する医師側からの声は、肺癌学会に限らず日々高まる一方ですが、その本意は、効果のいかがわしい一部医療機器の広告行為に警鐘を鳴らすものと理解していますが、事を余りに短略的に捉え過ぎている様に思います。
まず第1に、身内がこの病気になって初めて分かりますが、癌は患者側にも猛烈に勉強する事を強いる病気だということです。多くの患者は、癌の告知と同時に、治療方法の選択を医師から求められるという、経験したことの無い、厳しい状況に立たされます。私も大きなショックを受けながら、書籍とインターネットで出来る限りの情報を集めました。
第2に、今や情報の入手経路としてインターネットを否定することは非現実的だということです。患者にも、様々な専門家やアカデミシャンが少なく無いと思いますが、メディア、専門誌、論文、リサーチ情報の全てがインターネット化されている今日、業務上インターネットでの情報収集を否定することは現実的ではありません。それは治療に関する情報でも同じことでは無いでしょうか。
第3に、医師と患者の間での情報の非対称性があります。治療の選択を求めるのであれば、医師と同等の情報を患者も利用出来ることが望ましいのですが、多くの医療に関する情報ソースは、利用者を医療関係者に限定しています。tak先生のブログを含め、理解のある医師の一部の良質で分かりやすい情報は、患者にとって非常に大切な情報源となっています。
第4に、患者のレベルも様々ということです。残念ながら、一部に追い詰められて、いかがわしい医療に騙される患者もいるのでしょうが、続々開発される新薬や新たな症状への対応のため、情報収集するため積極的に患者会主催のセミナーや学会に出席する患者も少なく無いと思います。後者の患者にとって、いかがわしい医療は問題外で、そうした医療者を締め出すためのインターネット情報悪者論の大合唱には辟易します。患者のリテラシーを余りに馬鹿にした、一方的な議論であると感じます。
肺癌学会のアンケートの件は、患者会でも問題提議したいと思いますが、ぜひtak先生のブログの継続を検討頂けますと幸いです。
Posted by あさかぜ at 2017年02月16日 00:10
いつも先生のブログを拝見していた者です。感謝の気持ちを込めコメントだけさせて頂きます。


私はこの2月4日に45歳の妻を肺がん L858R変異で亡くしたばかりの者です。ずっと病気や治療の正確で現実的な情報を知りたく、ネットをさまよって来ました。

私は主治医の先生にも大変恵まれ、情報にも恵まれました。
その中でも先生のブログを拝見し、学んだ事は本当に役に立ちました。(タグリッソで無理をしましたがお陰で1年の時間を頂きました。)

先生がそんな人間に向けて情報発信されておられる訳では無いと思いますが、まずは励まされた、助けられた人間が居る事をお伝えしたくコメント致します。

正確に、冷静なコメントで書かれていたブログは本当に参考になりました。
ただこのご時世 歪んだり聞こえの良い話が異様にもてはやされる事も多いのでご判断に悩まれるかとも思うのですが…

先生のブログは意味の分かる人間にきちんと伝わっていると思います。個人的にはご継続をお願いしたいと思います。

とは言え、本当に冷静に、自己責任を自覚して情報を探す人も少ないのでは?とも思う社会です。
先生の御負担を考えると辞めるのも1つの選択肢かとも思います。ご無理の無い様にご判断下さい。

当方 まだ冷静さを欠いており、支離滅裂ですみません。感謝とこれまでのご活動の支持をお伝えしたくコメント致します。
本当にありがとうございました。
Posted by ケロ at 2017年02月16日 01:07
tak先生、ブログやめないでください。
私のような頭の悪い者でも、広告や宣伝に誘導する悪質な医療系のブログは分かります。
先生のブログは私達肺ガン患者にとって無くてはならない数少ない貴重なものです。
コメントを残さない大多数の人もきっと同じ気持ちです。
先生のブログが無くなってしまえば何処で勉強したら良いか分からないです。
お願いです、是非続けて下さい、やめないで❗️
Posted by ギンジママ at 2017年02月16日 16:52
追記ですが、学会のアンケートとは別に、ケロさんと同じく、tak先生の御負担は案じております。大晦日と元旦ぐらいは、お休み頂きます様お願い致します。又、上に書かせて頂いた様な、患者を取り巻く課題は、tak先生の様な慈善にのみ期待する様なものでは無いことは、理解しております。
Posted by あさかぜ at 2017年02月16日 18:12
あさかぜさんへ
 コメントありがとうございます。
 
第一に・・・
 いわゆる抗がん薬の開発は年々下火になる一方ですが、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬はまさに日進月歩で開発が進んでいます。治療効果を予測するすべも増えて、ごく近い将来にはドライバー遺伝子変異の網羅的解析すら通常の診療でできるようになりそうです。患者さんも、家族も、医療従事者も、そして社会全体も学ぶことが多々あります。興味を持って情報収集していてすら、ついていくのは大変です。そして、他のさまざまな分野と同様に、情報には常に偏りが伴います。それを見極めて取捨選択するのは、さらに難儀な作業です。

第二に・・・
 インターネットが情報収集の媒介として優れているのは、いまさら言うまでもありません。しかし、これも困ったことに、情報収集・検索をする段階で、その人の主観が入ってしまいます。そして、本当に重要な情報は、意外と公共の場には流通していないものです。

第三に・・・
 医療の情報ソースのほとんどは、利用者を医療関係者に限定しているというのは正しいです。しかし、医療関係者限定サイトに、医療関係者に成りすまして入り込むことも可能かもしれません。

第四に・・・
 患者さん・ご家族のレベルは確かに様々です。医療関係者も様々です。おのずと、情報収集の能力には個人差が出ます。患者さん・ご家族と医療関係者の間の温度差も、これまた様々で、ミスマッチがしばしば起こります。

 誤解のないように申し上げますが、肺癌学会のアンケート自体を問題視しているわけではありません。アンケートを回収して、こうした議論をするのは大切です。
 ただ、アンケートに上げられていた設問を見て、「私の視点」という大きな偏りが入った情報をこのまま垂れ流し続けていいのかどうか、と悩んでいます。
 ブログはあくまでも「私的な日記」ですので、日記を公に晒し続けるべきなのか、自分のパソコンの中だけにとどめておくべきなのか、と悩んでいるわけです。
 「私的な日記」のために人に迷惑をかけることがあっては忍びない、と思うのです。
 
Posted by taktak at 2017年02月17日 00:42
ケロさんへ
 
 コメントありがとうございます。
 45歳の愛する奥さまを看取られたとのこと、心中お察しします。
 同世代の方が肺がんで亡くなられたなんて、胸が締め付けられるようです。
 今日も、大学では30代前半の方が肺腺癌と診断されていました。
 重い自己免疫疾患も合併しておられる方で、神様は不公平だと感じます。
 
 ケロさんと奥さまに少しでもお役に立てていればいいのですが。
 そもそも、人の役に立つように、というつもりでは書いていないので、ちょっと自信がありません。
 更新も、選択する話題も、全くの独断と偏見で決めていますから。

 ブログというのは、自分の知識の整理には便利なものです。
 ノートに書いても、パソコンに自分用のファイルを残しても、時がたてば埋もれていきます。
 面白いことに、ブログという形でネットにupしておくと、必要になったときには検索エンジンで検索して、自分のブログから過去の記事を引っ張り出すことが出来ます。
 
 もはやケロさんには役に立たないブログになってしまいましたが、応援のコメント、ありがとうございました。
 
Posted by taktak at 2017年02月17日 00:52
ギンジママさんへ

 コメントありがとうございます。

 私のブログ、あまり分かりやすくはないかもしれません。
 ときどき、記事を自分で振り返って思うのですが、学会の内容をまとめた記事なんて、それはそれはひどいものです。
 論文の内容を紹介する記事のときは、限定したひとつのテーマを掘り下げるのでいいのですが、学会発表の内容をまとめるとなると、ひとつの発表で何十という論文発表の内容が扱われることもしばしばなので、裏を取るのが大変です。
 ですから、学会発表の内容をまとめるときは、聞き書きしたことをそのまま記事にして(英文のものは英文のままで)、内容やキーワードに興味を持った人が自分なりに掘り下げて調べられるように、と配慮しています。
 それはそれはひどい、というのは、ときに記事が英単語の羅列で終わってしまうことがあるからです。

 昨年の夏、ちょっとした出来事があって、ブログの運営について悩むようになりました。今回のアンケートを見て、その頃をまた思い出してしまいました。
 いまは肺がん診療の大きな転換期で、肺癌取り扱い規約や学会ガイドラインですら混乱している感があります。人の考え方に流されずに自分の知識や考え方を整理するためにブログは必要なのですが、人に迷惑をかけているかもしれない、と思うと、二の足を踏んでしまいます。
Posted by taktak at 2017年02月17日 01:04
初めまして。
私は都内の病院で勤務しているもので、今回のアンケートの発案者でもあります。元々は小さな母集団を対象に考え始めたのですが、色々あって、いきなり肺癌学会会員全員を対象とすることになりました。
私自身は患者さんがネットから情報を取得することは有益だし、これからは絶対に欠かせないツールだと考えています。
元々の発想は「ネットには誤った情報が溢れてるって言うんだったら、医者から患者さんに有益なインターネットの情報をすすめちゃえば良いのに。なぜ勧めないの?」です。勧めない先生方にはそれなりの理由があるので、それを抽出して、自信を持って勧められる情報源を作る際に役立てたいのです。
決して、ネットに対するネガティブキャンペーンではなく、ポジティブなものを作り上げたいんです。ただアンケートにそこまでのことは書けないので、今回のメールの文章だけだとネガキャンに捉える方もいるかもしれせんね…。
恐らく私が発表することになるのですが、今から議論が紛糾するのではと不安になってきました。
私も先生のブログの愛読者です。アンケートがキッカケで先生がブログを辞めてしまったら悔やんでも悔やみきれません。
何かの機会に先生とお話ができれば良いのですが。
Posted by ひで at 2017年02月20日 22:58
ひでさんへ
 コメントありがとうございます。
 2010年に本ブログの運営を始めました。スポンサーもなにもない、まったくの個人的趣味・興味で続けています。自分の趣味・興味で書く日記くらいは、誰の干渉も受けずに自由に書きたいというのが本音です。それが役立つ情報なのかどうかは本来私が関知することではありません。例えば、自分の日記に「○○駅前で宝くじを買ったら10万円当たった。ラッキー!」と書いたとき、ほかの人がその日記を見て、同じように○○駅で宝くじを買った外れたからと言って、外れた責任は持てません。日記に書いていることのエビデンスレベルを、読む人がどう受け取るかの問題です。
 ただ、これまで日記を書いてきて、いろんなことを学びました。個人的な日記とは言え公の場に残るものですから、内容には配慮が必要です。学会主催・企業主催を問わず、講演やセミナーの内容を記載するときにはできる限り発表者や内容の背景となった研究・論文の裏を取って記録に残すようにしていましたが、これがもとでトラブルになったことがあります。苦労して記録したものを数か月分の単位で大幅に削除することを余儀なくされ、大変つらい思いをしました。アマチュアの私ですらそうですから、プロとして物書きをしている方が同じ目にあったらどうするのだろう、と感じました。ただ、あくまで個人的な趣味で続けているブログですから、人様が迷惑に思ったり、不快に感じるようなことがあるならむしろやめた方がいいと考えています。
 こうしたことがあってから、講演・セミナーの内容をまとめる際には発表者の名前は出さないことにしました。企業主催の講演会・セミナーに出ることは、自分が運営に関わっているものを除いては全て自粛しています。内容も、人に提供するというよりは、純粋に自分の知識の整理を目的とした書きぶりにしました。それでも次に何かのトラブルに見舞われるようなら、ブログをたたむつもりです。今回のアンケートは、そうしたトラブルにつながるかも知れない(学会の場で、私のようなブログ運営者が糾弾される可能性がある)と感じました。しかし、建設的な議論になるなら、有意義な取り組みだと思います。
 あとは、病気の当事者たる患者さんが、こうした学会の取り組みを理解してくださるかどうかだと思います。これまでのところ、患者の情報収集の自由、情報リテラシーを尊重してほしいというご意見が多いようです。
Posted by tak at 2017年02月21日 09:02
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