2017年02月25日

進展型小細胞肺癌とベバシツマブ

 進展型小細胞がんに対するシスプラチン+エトポシド+ベバシズマブ併用療法の是非。
 ベバシズマブ維持療法までこぎつけたら有意に予後改善・・・つまり、治療期間中に悪化しなければ予後改善・・・そりゃそうでしょ。

Italian Trial Adds Bevacizumab to Cisplatin/Etoposide in Extensive-Disease Small Cell Lung Cancer

By Matthew Stenger
Posted: 2/8/2017 9:35:44 AM
Last Updated: 2/8/2017 9:35:44 AM

 Journal of Clinical Oncology誌に掲載された、イタリアで行われた第III相臨床試験で、進展型小細胞肺がんに対する初回治療においてシスプラチン+エトポシド併用療法にベバシズマブを上乗せしても、生存期間が延長しないことが示された。

 今回のオープンラベル試験では、イタリアの29施設より204人の未治療進展型小細胞肺がん患者が集積された。期間は2009年11月から2015年10月で、シスプラチン+エトポシド+ベバシズマブ併用療法群(PEB群)に101人、シスプラチン+エトポシド併用療法群(PE群)に104人が割り付けられた。シスプラチンは25mg/㎡を1-3日目に、エトポシドは100mg/㎡を1-3日目に3週ごとに最大6コースまで投与した。PEB群ではさらに、ベバシズマブ7.5mg/kgを1日目に、3週ごとに投与した。PEB群において、病勢進行がない限りはベバシズマブの維持療法を最大18コースまで継続した。

 主要評価項目はITT解析における全生存期間とした。PEB群のうち5人、PE群のうち1人はプロトコール治療開始前に試験に参加しないことになった。

 観察期間中央値は34.9ヶ月だった。生存期間中央値はPEB群で9.9ヶ月、PE群で8.9ヶ月だった(ハザード比0.78、p=0.113)。1年生存割合はPEB群で37%、PE群で25%だった。PEB群のうち、ベバシズマブ維持療法までこぎつけた患者では、有意に生存期間が延長していた(ハザード比0.60、p=0.011)
 
 無増悪生存期間中央値はPEB群で6.7ヶ月、PE群で5.7ヶ月だった(ハザード比0.72、p=0.030)。奏効割合はPEB群で58.4%、PE群で55.3%だった(オッズ比1.13、p=0.657)。

 Grade 3-4の血液毒性は以下の通りだった(PEB群, PE群)。好中球減少(46%, 46%)、白血球減少(15%, 14%)、血小板減少(4%, 11%)、貧血(3%, 10%)。Grade 3-4の非血液毒性は、高血圧(6%, 1%)、血栓症(5%, 3%)、倦怠感(8%, 15%)、嘔気(1%, 5%)。



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