2016年04月10日

EGFR-TKI耐性NSCLCに対する治療戦略

<EGFR-TKI耐性NSCLCに対する治療戦略>
 2016年4月8日、日本呼吸器学会総会 

・AZD9291: 1st in human studyからわずか3年で製造承認にこぎつけている
・用量は80mgを1日1回、減量時は40mgを1日1回
・AZD9291の日本人におけるデータ
AURA studyのphase II expansion cohort: 日本人は35人(35 / 201=17%)が組み入れ
AURA2 study: 日本人は46人(46 / 210=22%)が組み入れ
これらのデータを併せてPMDAに提出し、製造承認時の参考データとした。
56人(70%)がExon 19 + T790M
24人(30%)がExon 21 + T790M
ORR 63.2%, DCR 93.4%
奏効例のうち、85.4%は6週間以内にPRに、95.8%は12週以内にPRに至っている
・ORRのforest plotでは特定の患者背景で差が出なかった
 脳転移の有無、地域、Exon 19 / 21など
・mPFS 9.7M, 6M PFS 74%, 9M PFS 60%
・AZD9291はwild type EGFRに影響を与えないようにデザインされた薬だが、実際には1G, 2G同様のAEが出ている。下痢、発疹といったAEは軽減されているが、肝障害、ILD、QT延長は同様で、白血球減少を認めた症例もある。
・投与中止に至った6例中4例はILDが原因
剖検例1:CT上はDAD patternをとっていたが、sectionではDADを認めず、診断は肺癌の進行+ショック肝
剖検例2:投与7ヶ月目にDAD pattern + new lesion, 肺野はCT所見どおりDAD, new lesionはSCLC
・AZD9291に関連したILDはsteroidによく反応し、重症例が少ない→1G EGFR-TKIにより起こるILDとは印象が異なる
・日本人80人中5人(6.3%)にILDが出現し、出現時期は4週目から32週目までと幅がある
・liquid biopsyのdataもPMDAには提出されているが、今のところcompanion diagnosisとして認められているのはCobas ver2 Tissue setのみ


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