2014年04月11日
Motesanib(MONET1 study)のアジア人サブグループ解析
血管内皮増殖因子(VEGF)阻害抗体のBevacizumabがCarboplatin+Paclitaxel併用化学療法に上乗せすることによって生存期間を延長することはよく知られており、非小細胞・非扁平上皮癌の一般臨床で広く用いられています。
一方、いわゆる小分子化合物の分子標的薬にも血管増殖過程を阻害するものがありますが、Motesanibはその中に含まれます。
Motesanibは経口投与の分子標的薬で、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)-1,2,3、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、Kitを阻害します。
MotesanibをCarboplatin+Paclitaxel併用化学療法に上乗せすることの効果を検証する第III相臨床試験(MONET1 study)の結果が2012年に論文化されていますが、残念ながら生存期間延長効果は認められませんでした。
International, Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Phase III Study of Motesanib Plus
Carboplatin/Paclitaxel in Patients With Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer: MONET1
Giorgio V. Scagliotti, Ihor Vynnychenko, Keunchil Park, Yukito Ichinose, Kaoru Kubota, Fiona Blackhall,
Robert Pirker, Rinat Galiulin, Tudor-Eliade Ciuleanu, Oleksandr Sydorenko, Mircea Dediu,
Zsolt Papai-Szekely, Natividad Martinez Banaclocha, Sheryl McCoy, Bin Yao, Yong-jiang Hei,
Francesco Galimi, and David R. Spigel
J Clin Oncol 30:2829-2836, 2012
そのMONET1 studyのアジア人サブグループ解析が論文化されています。
Phase III study (MONET1) of motesanib plus carboplatin/paclitaxel in patients with advanced nonsquamous
nonsmall-cell lung cancer (NSCLC): Asian subgroupanalysis
K. Kubota, Y. Ichinose, G. Scagliotti, D. Spigel, J. H. Kim, T. Shinkai, K. Takeda, S.-W. Kim,
T.-C. Hsia, R. K. Li, B. J. Tiangco, S. Yau,W.-T. Lim, B. Yao, Y.-J. Hei & K. Park
Annals of Oncology 25: 529–536, 2014
<背景>今回、非小細胞非扁平上皮癌患者に対するCarboplatin+Paclitaxel+motesanib併用療法がCarboplatin+Paclitaxel併用療法に対して全生存期間を改善するかどうかを検証する第III相試験、MONET1 studyにおいて、事前に計画されていたアジア人サブグループ解析を行った。
<対象と方法>stage IIIB/IVもしくは術後再発の非小細胞・非扁平上皮肺がんで、薬物療法歴のない患者を対象とした。Carboplatin(6AUC)+Paclitaxel(200mg/㎡)を3週毎、最大6コース行う群と、これにmotesanibを上乗せする群を比較した。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、奏効割合、安全性とした。
<結果>227人のアジア人患者が本試験に参加し、解析対象となった。生存期間中央値はmotesanib併用群で20.9ヶ月、非併用群で14.5ヶ月だった(p=0.0223)。無増悪生存期間中央値はそれぞれ7.0ヶ月、5.3ヶ月だった(p=0.0004)。奏効割合はそれぞれ62%、27%だった(p<0.0001)。Grade 3以上の有害事象はmotesanib併用群で有意に高頻度(79% vs 61%)であった。<<結論>今回行ったMONET 1 studyのアジア人サブグループ解析では、motesanib併用により有意に全生存期間、無増悪生存期間、奏効割合が改善した。




このデータ、Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumabに関する国内ランダム化第II相試験(JO19907試験)の結果を彷彿とさせます。
上記併用群の全生存期間中央値は22.8ヶ月、無増悪生存期間中央値は6.9ヶ月、奏効割合は60.7%でした。
ただ、Bevacizumabに関しては、海外第III相試験と国内第II相試験までで検証は終了しており、これがエビデンスとしては少し弱い理由なのだと思いますが、motesanibについては、アジア人患者を対象として、改めて第III相試験が行われているようです。
一方、いわゆる小分子化合物の分子標的薬にも血管増殖過程を阻害するものがありますが、Motesanibはその中に含まれます。
Motesanibは経口投与の分子標的薬で、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)-1,2,3、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、Kitを阻害します。
MotesanibをCarboplatin+Paclitaxel併用化学療法に上乗せすることの効果を検証する第III相臨床試験(MONET1 study)の結果が2012年に論文化されていますが、残念ながら生存期間延長効果は認められませんでした。
International, Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Phase III Study of Motesanib Plus
Carboplatin/Paclitaxel in Patients With Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer: MONET1
Giorgio V. Scagliotti, Ihor Vynnychenko, Keunchil Park, Yukito Ichinose, Kaoru Kubota, Fiona Blackhall,
Robert Pirker, Rinat Galiulin, Tudor-Eliade Ciuleanu, Oleksandr Sydorenko, Mircea Dediu,
Zsolt Papai-Szekely, Natividad Martinez Banaclocha, Sheryl McCoy, Bin Yao, Yong-jiang Hei,
Francesco Galimi, and David R. Spigel
J Clin Oncol 30:2829-2836, 2012
そのMONET1 studyのアジア人サブグループ解析が論文化されています。
Phase III study (MONET1) of motesanib plus carboplatin/paclitaxel in patients with advanced nonsquamous
nonsmall-cell lung cancer (NSCLC): Asian subgroupanalysis
K. Kubota, Y. Ichinose, G. Scagliotti, D. Spigel, J. H. Kim, T. Shinkai, K. Takeda, S.-W. Kim,
T.-C. Hsia, R. K. Li, B. J. Tiangco, S. Yau,W.-T. Lim, B. Yao, Y.-J. Hei & K. Park
Annals of Oncology 25: 529–536, 2014
<背景>今回、非小細胞非扁平上皮癌患者に対するCarboplatin+Paclitaxel+motesanib併用療法がCarboplatin+Paclitaxel併用療法に対して全生存期間を改善するかどうかを検証する第III相試験、MONET1 studyにおいて、事前に計画されていたアジア人サブグループ解析を行った。
<対象と方法>stage IIIB/IVもしくは術後再発の非小細胞・非扁平上皮肺がんで、薬物療法歴のない患者を対象とした。Carboplatin(6AUC)+Paclitaxel(200mg/㎡)を3週毎、最大6コース行う群と、これにmotesanibを上乗せする群を比較した。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、奏効割合、安全性とした。
<結果>227人のアジア人患者が本試験に参加し、解析対象となった。生存期間中央値はmotesanib併用群で20.9ヶ月、非併用群で14.5ヶ月だった(p=0.0223)。無増悪生存期間中央値はそれぞれ7.0ヶ月、5.3ヶ月だった(p=0.0004)。奏効割合はそれぞれ62%、27%だった(p<0.0001)。Grade 3以上の有害事象はmotesanib併用群で有意に高頻度(79% vs 61%)であった。<<結論>今回行ったMONET 1 studyのアジア人サブグループ解析では、motesanib併用により有意に全生存期間、無増悪生存期間、奏効割合が改善した。




このデータ、Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumabに関する国内ランダム化第II相試験(JO19907試験)の結果を彷彿とさせます。
上記併用群の全生存期間中央値は22.8ヶ月、無増悪生存期間中央値は6.9ヶ月、奏効割合は60.7%でした。
ただ、Bevacizumabに関しては、海外第III相試験と国内第II相試験までで検証は終了しており、これがエビデンスとしては少し弱い理由なのだと思いますが、motesanibについては、アジア人患者を対象として、改めて第III相試験が行われているようです。
・Reiwa研究から・・・オシメルチニブ初回治療後、その他のEGFR-TKIでrechallenge治療をしたら
・Osi-risk TORG-TG2101試験・・・オシメルチニブ投与中止後のEGFR-TKI再投与とその安全性について
セルペルカチニブ、上市
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
セルペルカチニブと過敏症
血液脳関門とがん薬物療法
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
脳転移を有する患者集団に対しても、免疫チェックポイント阻害薬は有効なのか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
・Osi-risk TORG-TG2101試験・・・オシメルチニブ投与中止後のEGFR-TKI再投与とその安全性について
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RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
Posted by tak at 19:43│Comments(0)
│分子標的薬・抗体医薬