2018年11月28日

がん薬物療法専門医資格更新試験

 2018/11/23、今年度のがん薬物療法専門医資格更新試験が、東京は御茶ノ水のソラシティ・カンファレンスセンターで行われた。
 私の場合、本来は来年度が資格更新年次だが、制度上は更新年次の1年前から試験を受けられることになっている。
 今年度は子供も高校受験を受けることになっていて、少しでも試験勉強の辛酸を分かち合おうと、総合内科専門医資格更新のためのセルフトレーニング問題とともに、本試験にも取り組んだ。
 実際のところ、どんな風に勉強したかというと、がん診療レジデントマニュアルを流し読んで過去の記憶を掘り起こし、日本臨床腫瘍学会がオンラインで会員に提供している教育セミナーAセッション、Bセッションを閲覧し(オンラインとは言え、結構な長丁場)、まじめにノートをとって試験直前に復習した。

 資格更新試験は今回が2回目の受験だが、様式は前回と同様だった。
 10時に会場に集合、10時30分に試験開始、30分経過後は途中退席可、50分経過後は途中退席不可、60分経過の11時30分には試験終了。
 問題数は50問で、一律に5択の選択肢から1択の回答を選び、マークシートで回答する形式。
 試験問題は持ち帰り不可、試験問題を口外してはならない、ネットに乗せてもいけない、とのことだったので、印象だけ書き残しておく。
 大雑把に言って、全体の2/10はがん薬物療法の一般的な設問で、統計や緩和医療に関する設問は少なかった。
 この副作用が起こる可能性があるのはこの薬、という感じの設問が多かった印象。
 とくに、分子標的薬・抗体医薬の副作用については整理しておいた方がよさそうだった。
 全体の7/10程度は血液がん、消化器がん、肺がん、乳がんの設問が均等に出題されていた感じ。
 それぞれの2/3程度は一般問題、1/3程度は臨床問題。
 他の領域はともかくとして、肺がん領域に関して所感を述べると、不適切問題が一部含まれているような感じだった。
 進展型小細胞癌の初回治療についての設問は、肺癌を専門に取り扱っている者からするととても違和感が残った。
 一方で、知識偏重では解けないような良問(画像診断の所見から治療選択)もあった。
 残る1/10はその他の領域からの出題。
 設問数の振り分けが、そのまま日本臨床腫瘍学会が重視している領域を反映している気がした。

 長考して、閃いて、答えにたどり着く、という感じの設問ではなく、ほとんどは知ってるか知らないかが全てのような問題だった。
 解答を選択するだけなら30分程度で終わってしまう。
 長々考え続けても仕方がなさそうだったし、制限時間満了とともに一斉退席となると込み合いそうだったので、途中退席した。
 あとはまっすぐ帰路についた。
 都内でムンク展をやっていて、有名な「叫び」を鑑賞して帰りたかったが、時間がないので諦めた。

 具体的な試験問題を口外しているわけではないのでこのくらいは許してもらえると思うのだが、学会からクレームがついたらまた考える。
 不惑を過ぎて試験を受けるのは辛かったが、周りを見渡すともっと年配の先生方も多数参加しておられたので、まだまだ頑張んなきゃな、と気が引き締まった。
 
 


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Posted by tak at 18:10│Comments(4)その他
この記事へのコメント
初めまして。
お話の内容とは違うのですが、がんの薬の専門資格をお持ちのようで、お聞きしたいと思いました。
家族がタグリッソを飲んでいます。
肝臓の数値が上がって、赤血球、ヘモグロビン、白血球、血小板全て低いです。
デノタスを飲み始めてから、胃がムカムカしてひどいようです。
ウルソや咳止め、胃薬も飲んでいますが、どれが原因かわからないです。
何か食べると少しはおさまるみたいですが、食欲が落ちてきてかわいそうです。
対処法はありませんでしょうか?
病院の先生にはお聞きしたのですが、副作用は多少は我慢するしかないと言われてしまって。
Posted by のぞむ at 2018年12月17日 10:38
のぞむさんへ

 タグリッソはしばしば血液中の細胞を減らしたり、肝機能障害を起こしたりすることがあります。
 タグリッソ、デノタス、いずれも胃のムカムカと関連している可能性があります。
 いったん中止して経過観察できないか、担当の先生に相談して見られてはいかがでしょうか。
 よほど深刻な病状でなければ、1-2週間程度休薬しても、病状に大きな影響は出ないと思われます。
 症状が落ち着いてから、タグリッソをまず再開して、問題なければデノタスを試してみるといいでしょう。
 デノタスを服用されているということは、骨転移があってランマークを月に1回皮下注射されているということかと思います。
 ランマークをゾレドロン酸の点滴に切り替えれば、デノタスを定期服用する必要がなくなりますので、こちらも検討してください。

 なお、プロフィール欄に記載してありますように、本ブログでは個別の診療相談はお引き受けしないことにしています。
 個別相談をお引き受けできるような仕組みを現在考えているところですが、まだ準備が整っていません。
 現時点で引き続きお手伝いが必要であれば、難しいかもしれませんがオフラインで私と個人的にやり取りする手立てを探してみてください。
Posted by tak at 2018年12月27日 12:02
お返事のお礼が遅れました。
申し訳ありません。
ムカつきは未だ続いています。
主治医の先生に相談したのですが、吐き気止めを出すか?と聞かれたので断りました。
本人が薬ばかり出す、と怒ってしまいましたので。
個別の回答はされていないとのこと、失礼を重ねてお詫び致します。
他の一般の方とのやり取りがされているようでしたので、書き込んでしまいました。
ところでオフラインで、と言うのは、どのような方法なのでしょうか?
直接メールのやり取りをして頂ける方法があるのでしょうか?
それとも直接診察に、と言うことでしょうか?
大分まではとても遠くて無理なので、前者であれば是非ともお願いしたいのですが。
私の解釈が常識外れでしたらお許し下さい。
Posted by のぞむ at 2019年01月04日 13:46
のぞむさんへ

 お返事が遅くなり申し訳ありません。
 今のところ、郵便書簡を通してならご相談を受け付けるようにしています。
 本ブログ内の情報から、根気よく取り組めば私や勤務先を特定できると思います。
 私の勤務先に電話、FAX、郵便書簡でご連絡をいただければ、以後は個人的に郵便書簡でやりとりします。 
 謎かけのようで申し訳ありませんが、ご検討ください。
Posted by tak at 2019年01月09日 13:11
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