2015年07月01日
Boehringer Ingelheim Lung Cancer Conference 2015(その4)
標記の内容としては、最後の備忘録です。
<非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性、ALK遺伝子転座陰性)に対する治療戦略>
国立がん研究センター中央病院呼吸器内科 後藤 悌先生
・化学療法、小分子化合物、免疫チェックポイント阻害薬の他に、抗VEGF療法がある。
・従来非小細胞肺癌領域ではBevacizumabが使用されてきたが、抗VEGF-R2抗体としてramcirumabが開発された。
・ramcirumabについては、ASCO2014で有効性が報告されている(REVEL study)。
・非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌いずれも含む)の二次治療において、標準治療であるdocetaxel単剤療法と比較して、docetaxel+ramcirumab療法が有意に全生存期間、無増悪生存期間を延長し、奏効割合も有意に高かった。
→http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e738312.html
・ASCO2015において、REVEL studyにおける非扁平上皮癌のサブセット解析が報告された(abst. #8055)
・全体の73%(n=912)を占めた非扁平上皮癌のうち、腺癌は79%(n=725)だった。
・生存に関する結果は下表のとおりで、全体の結果とあまり変わりはなかった。
・REVEL studyでは、docetaxelの日本国内承認用量を超える75mg/㎡が使用されたため、60mg/㎡の承認用量での国内ランダム化第II相試験が行われ、ASCO2015で都立駒込病院の細見幸生先生が発表した。
・生存に関する結果は以下の通りで、REVEL studyと遜色ない結果だった。
・がん抗原研究についての文献紹介 - Schumacher / Rizvi, Science 2015
・アブスコパル効果(放射線治療を行った際に、照射野外に腫瘍縮小効果が認められること→腫瘍免疫を考える上で興味深い現象)
→Golden et al, Lancet Oncol 2015
<パネルディスカッション>
・69歳男性、腺癌、IV期、副腎転移あり、EGFR遺伝子変異陰性、ALK再構成陰性。
一次治療:シスプラチン+ペメトレキセド→ペメトレキセド維持療法→病勢進行で治療終了。
喫煙歴は1日20本×20年間。
腫瘍およびその周囲のPD-L1発現状態は未知。
さて、以下のどの治療がよいか、会場全体でアンケート・・・。
1) Nivolumab:44%
2) docetaxel+ramcirumab :13%
3) docetaxel単剤:23%
4) nab-paclitaxel単剤:3%
5) Erlotinib:2%
6) Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumab:13%
7) その他:2%
・非扁平上皮癌、IV期、EGFR遺伝子変異陰性、ALK再構成陰性の患者さんに二次治療を開始する予定。
Nivolumabを使おうと考える際の根拠は・・・?会場全体でアンケート。
1) 特になし(全ての患者さんで使う):33%
2) 75歳以下、もしくはPS良好ならOK:10%
3) 喫煙者:4%
4) PD-L1陽性(強度は問わない):32%
5) PD-L1強陽性:19%
6) その他:2%
<今後期待される治療法>
・ROS1陽性肺癌に対するCrizotinibなどの分子標的薬
・RET陽性肺癌に対するCabozantinib、Vandetanibなど
・BRAF陽性肺癌に対するDabrafenib+Trametinib
・KRAS陽性肺癌に対する治療Selumetinib+docetaxel: Lancet Oncol 2013
・VEGFを標的とした治療
・免疫チェックポイント阻害薬
→効果が高い腫瘍の条件は・・・
免疫原性の高い抗原を有する腫瘍
腫瘍の生存が免疫チェックポイント経路に依存している(Immuno-checkpoint pathway addiction)
T細胞が活動しており、その活動性が可逆的である
・ミスマッチ修復遺伝子との関連:pembrolizumabの効果予測にミスマッチ修復遺伝子の有無が有効という論文がありますが、これはまた改めて。
やっと終わった。
あー疲れた。
・・・今週末はBest of ASCO Japan 2015があるから、またこの調子かな・・・。
<非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性、ALK遺伝子転座陰性)に対する治療戦略>
国立がん研究センター中央病院呼吸器内科 後藤 悌先生
・化学療法、小分子化合物、免疫チェックポイント阻害薬の他に、抗VEGF療法がある。
・従来非小細胞肺癌領域ではBevacizumabが使用されてきたが、抗VEGF-R2抗体としてramcirumabが開発された。
・ramcirumabについては、ASCO2014で有効性が報告されている(REVEL study)。
・非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌いずれも含む)の二次治療において、標準治療であるdocetaxel単剤療法と比較して、docetaxel+ramcirumab療法が有意に全生存期間、無増悪生存期間を延長し、奏効割合も有意に高かった。
→http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e738312.html
・ASCO2015において、REVEL studyにおける非扁平上皮癌のサブセット解析が報告された(abst. #8055)
・全体の73%(n=912)を占めた非扁平上皮癌のうち、腺癌は79%(n=725)だった。
・生存に関する結果は下表のとおりで、全体の結果とあまり変わりはなかった。
・REVEL studyでは、docetaxelの日本国内承認用量を超える75mg/㎡が使用されたため、60mg/㎡の承認用量での国内ランダム化第II相試験が行われ、ASCO2015で都立駒込病院の細見幸生先生が発表した。
・生存に関する結果は以下の通りで、REVEL studyと遜色ない結果だった。
・がん抗原研究についての文献紹介 - Schumacher / Rizvi, Science 2015
・アブスコパル効果(放射線治療を行った際に、照射野外に腫瘍縮小効果が認められること→腫瘍免疫を考える上で興味深い現象)
→Golden et al, Lancet Oncol 2015
<パネルディスカッション>
・69歳男性、腺癌、IV期、副腎転移あり、EGFR遺伝子変異陰性、ALK再構成陰性。
一次治療:シスプラチン+ペメトレキセド→ペメトレキセド維持療法→病勢進行で治療終了。
喫煙歴は1日20本×20年間。
腫瘍およびその周囲のPD-L1発現状態は未知。
さて、以下のどの治療がよいか、会場全体でアンケート・・・。
1) Nivolumab:44%
2) docetaxel+ramcirumab :13%
3) docetaxel単剤:23%
4) nab-paclitaxel単剤:3%
5) Erlotinib:2%
6) Carboplatin+Paclitaxel+Bevacizumab:13%
7) その他:2%
・非扁平上皮癌、IV期、EGFR遺伝子変異陰性、ALK再構成陰性の患者さんに二次治療を開始する予定。
Nivolumabを使おうと考える際の根拠は・・・?会場全体でアンケート。
1) 特になし(全ての患者さんで使う):33%
2) 75歳以下、もしくはPS良好ならOK:10%
3) 喫煙者:4%
4) PD-L1陽性(強度は問わない):32%
5) PD-L1強陽性:19%
6) その他:2%
<今後期待される治療法>
・ROS1陽性肺癌に対するCrizotinibなどの分子標的薬
・RET陽性肺癌に対するCabozantinib、Vandetanibなど
・BRAF陽性肺癌に対するDabrafenib+Trametinib
・KRAS陽性肺癌に対する治療Selumetinib+docetaxel: Lancet Oncol 2013
・VEGFを標的とした治療
・免疫チェックポイント阻害薬
→効果が高い腫瘍の条件は・・・
免疫原性の高い抗原を有する腫瘍
腫瘍の生存が免疫チェックポイント経路に依存している(Immuno-checkpoint pathway addiction)
T細胞が活動しており、その活動性が可逆的である
・ミスマッチ修復遺伝子との関連:pembrolizumabの効果予測にミスマッチ修復遺伝子の有無が有効という論文がありますが、これはまた改めて。
やっと終わった。
あー疲れた。
・・・今週末はBest of ASCO Japan 2015があるから、またこの調子かな・・・。
お引越しします
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
がんと新型コロナウイルスワクチン
進行肝細胞がんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
がんと新型コロナウイルスワクチン
進行肝細胞がんに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法
Posted by tak at 18:13│Comments(0)
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