2015年04月24日

ドライバー遺伝子変異検索 / LC-scrum Japan

 最近になって病勢進行と判定してしまった患者さんがいて、二次治療をどうしようか悩んでいます。
 壮年の女性、IV期の原発性肺腺癌で、シスプラチン+ペメトレキセド併用化学療法から、ペメトレキセド維持療法に進んでいました。
 維持療法③コースを終えたところで、多発肺内転移、副腎転移が新たに見つかってしまいました。

 非喫煙者の、比較的若年の女性でありながら、EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子再構成もなく、どうも釈然としません。
 このまま標準二次治療のドセタキセルに進むのが普通の流れですが、LC-scrum Japanの枠組みで遺伝子変異を網羅的に調べるように画策しています。
 なんらかの分子標的薬の適応があれば、治療効果もQoLも格段に違ってきます。

 LC-scrum Japanは、希少なドライバー遺伝子変異を次世代遺伝子シーケンサー等で検出する臨床研究です。もともとはRET遺伝子再構成陽性患者さんを見つけて、RET阻害活性のあるバンデタニブの臨床試験参加を目指す目的だったのですが、その他ROS1、BRAF,ERBB2,KRAS,NRAS,PIK3CA等々、網羅的に検索することになっているようです。
 EGFR遺伝子変異陰性が確認された非小細胞肺癌患者さんが対象で、がん病巣の生検検体もしくは手術標本を凍結して国立がん研究センター東病院に送って検索していただく流れになっています。
 http://www.47news.jp/feature/medical/2014/12/post-1212.html

 幸いこの患者さんは原発巣、縦隔リンパ節いずれからも生検が可能な状態なため、遺伝子変異スクリーニングを目指すことにしました。
 


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