2015年04月08日

ご家族もケアするということ

 今日はちょっと愚痴っちゃいます。
 
 治癒不能の悪性腫瘍と言われたら、一般の医療以外にもなにか有効なものはないかとみんな探します。
 アガリクス。
 メシマコブ。
 サメ脂。
 ノニジュース。
 ゴマエキス。
 大豆イソフラボン。
 緑茶カテキン。
 コーヒー。
 養命酒。
 一般のクリニックでされている免疫療法。
 有名大学病院でされている免疫療法。
 癌に効くという入浴療法。
 食事療法。
 漢方薬。
 神さま。
 仏さま。
 稲尾さま。
 鍼治療。
 丸山ワクチン。
 治験薬。
 どれだってみんな選択肢ですし、患者さんの自由です。

 でもね、あくまで患者さんが納得して選ぶからこそのものだと思うんです。
 患者さん本人が納得していないのに、ご家族が先走ってしまうのはどうかと思います。
 どんな治療でもそうですが、本人の意思を尊重しながら、みんなが納得して進めていかないと、いやな結果になった時に誰もが不幸になってしまいます。

 「転移巣も含めた正確な病状を本人に伝えるのはいやだ、転移のことは隠して今後の診療を続けてほしい・・・」
 転移巣に対する特異的な治療があるにもかかわらず、その説明ができていないがためにその治療機会を逸してしまう。
 それを我慢して診療を続けなければならないのは、主治医としてつらいです。

 セカンドオピニオンの紹介状を書いてほしいということで作成したら、
 「本人に渡すと開封するかもしれないので、郵送するなど、本人の手に渡らないように手配してほしい」
 開封されてはならないような内容は書いていませんし、本人が開封するなんてことは患者・医師関係からしてはなから考えません。
 ご自身で開封するのなら、それはご自身とご家族の責任でなされることであり、私としては開封されても全く構いません。
 既に開封された紹介状を受け取った医師の方では、患者さんやご家族の常識に不安を抱くかもしれませんが。
 発送しても受診予定日には先方に届かないタイミングで上記のような依頼があったため、私自身もご家族の常識を疑ってしまいました。

 本人・家族・医療スタッフが同じ情報を共有して、それに基づいて意思決定を行っていかないと、いつかはおかしな方向に向かい始めます。
 この患者さんはまさにそういった岐路に立ちつつあるところで、今度の効果判定の際に、本人・ご家族と胸襟を開いて話し合おうと思っています。


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Posted by tak at 20:19│Comments(0)その他
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