2014年04月13日
C型慢性肝炎の治療
春の学会行脚が始まりました。
今朝までは東京国際フォーラムで日本内科学会総会、明日からは京都で日本呼吸器内視鏡学会総会です。
内科学会は守備範囲が大きすぎて、いつも何を勉強していいのかわからないうちに終わってしまうのですが、今回は慢性C型肝炎の講演を聴いてきました。
演者は虎の門病院の熊田博光先生です。
なんだか自分が学生のころに比べるとやたらと治療が進歩しているようで、目からうろこが落ちました。
感動が新鮮なうちに、自分のための備忘録として記載します。
慢性C型肝炎は、放置すると肝硬変に進展し、肝細胞癌の発生母地となります。
C型肝炎ウイルス(HCV)は1989年にウイルスそのものではなくウイルス塩基配列が最初に発見されたそうです。
学生のころ、確か感染制御学講座(ぼくらはウイルス学講座と言ってましたが)の原田先生が、
「米国のカイロン社がHCVを見つけた。」
「カイロン社は、検査キットの開発に目鼻がつくまで、HCVを見つけたことを公表しなかった。」
とかなんとかおっしゃっていたような気がしますが、そうすると、HCVの塩基配列を見つけたのはカイロン社、ということになるのでしょうか。
それまで、B型肝炎ウイルス(HBV)にはインターフェロン(IFN)が有効であったため、HCVに対してもIFN療法が行われることになりました。
その後のHCV治療の変遷は、概ね以下のとおりです。
1992年 IFN単独療法(α,β)の24週間投与
2003年 PegINFα(週1回投与)の48週間投与
2004年 PegINF+リバビリン(Riba)併用48週間投与:治癒率49.2%
2011年 PegIFN+Riba+第1世代プロテアーゼ阻害剤(テラプレビル)併用12週間→PegINF+Riba併用12週間:治癒率73%
2013年 PegIFN+Riba+第2世代プロテアーゼ阻害剤(シメプレビル)併用12週間→PegIFN+Riba併用12週間:治癒率88.6-91.7%
2010年以降に承認された治療で、急速に治癒率が向上していることがわかります。
そしてついに、セリンプロテアーゼ2剤併用療法が登場します。
うつ病や高齢のためにIFN投与の適応外とされていた患者さんにも道が開けたようです。
ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法により、PegIFN+Riba無効例において80.5%、PegINF使用不能例では87.4%の治癒率を達成しました。
現在も、IFNを含む治療、含まない治療いずれも開発が進んでいるようですが、HCVの治療がIFNなしで=内服のみで行えるようになる日は、それほど遠くはなさそうです。
今朝までは東京国際フォーラムで日本内科学会総会、明日からは京都で日本呼吸器内視鏡学会総会です。
内科学会は守備範囲が大きすぎて、いつも何を勉強していいのかわからないうちに終わってしまうのですが、今回は慢性C型肝炎の講演を聴いてきました。
演者は虎の門病院の熊田博光先生です。
なんだか自分が学生のころに比べるとやたらと治療が進歩しているようで、目からうろこが落ちました。
感動が新鮮なうちに、自分のための備忘録として記載します。
慢性C型肝炎は、放置すると肝硬変に進展し、肝細胞癌の発生母地となります。
C型肝炎ウイルス(HCV)は1989年にウイルスそのものではなくウイルス塩基配列が最初に発見されたそうです。
学生のころ、確か感染制御学講座(ぼくらはウイルス学講座と言ってましたが)の原田先生が、
「米国のカイロン社がHCVを見つけた。」
「カイロン社は、検査キットの開発に目鼻がつくまで、HCVを見つけたことを公表しなかった。」
とかなんとかおっしゃっていたような気がしますが、そうすると、HCVの塩基配列を見つけたのはカイロン社、ということになるのでしょうか。
それまで、B型肝炎ウイルス(HBV)にはインターフェロン(IFN)が有効であったため、HCVに対してもIFN療法が行われることになりました。
その後のHCV治療の変遷は、概ね以下のとおりです。
1992年 IFN単独療法(α,β)の24週間投与
2003年 PegINFα(週1回投与)の48週間投与
2004年 PegINF+リバビリン(Riba)併用48週間投与:治癒率49.2%
2011年 PegIFN+Riba+第1世代プロテアーゼ阻害剤(テラプレビル)併用12週間→PegINF+Riba併用12週間:治癒率73%
2013年 PegIFN+Riba+第2世代プロテアーゼ阻害剤(シメプレビル)併用12週間→PegIFN+Riba併用12週間:治癒率88.6-91.7%
2010年以降に承認された治療で、急速に治癒率が向上していることがわかります。
そしてついに、セリンプロテアーゼ2剤併用療法が登場します。
うつ病や高齢のためにIFN投与の適応外とされていた患者さんにも道が開けたようです。
ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法により、PegIFN+Riba無効例において80.5%、PegINF使用不能例では87.4%の治癒率を達成しました。
現在も、IFNを含む治療、含まない治療いずれも開発が進んでいるようですが、HCVの治療がIFNなしで=内服のみで行えるようになる日は、それほど遠くはなさそうです。
2022年01月06日の記事より・・・各種マスクによる新型コロナウイルス拡散予防効果
2022年01月02日の記事より・・・新年を迎える幸せ
お引越しします
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
2022年01月02日の記事より・・・新年を迎える幸せ
お引越しします
追憶
肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か
そろりと面会制限の限定解除
新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方
新型コロナワクチン感染症が治った人は、ワクチンを接種すべきか
抗がん薬治療における刺身・鮨との付き合い方
広い意味でのチーム医療
病院内におけるワクチン格差のリスク
順序
2015年度のデータベースから
2014年度のデータベースから
2013年度のデータベースから
2012年度のデータベースから
2011年度のデータベースから
2010年度のデータベースから
2009年度のデータベースから
2008年度のデータベースから
Posted by tak at 23:49│Comments(0)
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