2015年04月17日
2015年度日本呼吸器学会総会 間質性肺炎と肺癌
学会で聞いたことの備忘録です。
<座長挨拶>
・間質性肺炎の死因の第一位は呼吸不全、第二位は肺癌である
<東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科 関根康雄先生>
・肺気腫合併肺線維症(CPFE)は予後不良
・2000年から2005年の間で、肺線維症合併肺癌切除患者28人のうち、術後急性肺障害を合併したのは9人(32%)だった
・術後急性肺障害を起こしたグループでは、手術対側肺の線維化が強かった
・CYFRAが急性肺障害の予測に役立ちそうだった
・2008年から2012年の間に肺癌切除を行った250人を、正常群(124人、49.6%)、肺気腫群(108人、43.2%)、肺線維症群(7人、2.8%)、CPFE群(11人、4.4%)に分類した
・CPFE群では有意に男性、扁平上皮癌患者が多かった
・5年生存率は正常群77.1%、肺気腫群66.1%、肺線維症群40%、CPFE群25%だった
・CPFE群では呼吸不全関連死が多かった
・CPFE肺がんは再発が多い
・CPFE合併肺がんでは扁平上皮癌が63.6%、肺気腫合併肺がんでは扁平上皮癌が50%、肺線維症合併肺がんでは扁平上皮癌が25%
<日本医科大学呼吸器内科学 吾妻安良太先生>
・平成26年度のびまん性肺疾患研究班による北海道スタディーでは、間質性肺炎の年間発生率は人口10万人対2.7人、有病率は人口10万人対10人
・ピルフェニドン投与中の肺癌死亡率は通常よりも低く、2%台
・間質性肺炎の肺癌合併割合は経年的に増加、全体としては20.4%、1年間では3.3%、5年間では15.4%、10年間では54.7%
・Wnt signalとCTHRC1
<京都大学呼吸器外科>
・2011年に行った呼吸器外科学会のまとめでは、手術27881人のうち在院死にいたったのは248人(0.9%)で、そのうち63人(27.3%)は間質性肺炎によるものだった
・全国から1763人の間質性肺炎合併肺癌患者を集積し、術後急性増悪を発症したものを調べると164人(9.3%)だった
・発症時期は術後10日目までがほとんどで、ピークは4日目
・周術期ウリナスタチン投与で予後改善?
・間質性肺炎合併肺癌の5年生存割合は47%
・肺葉切除に比べて、区域切除のメリットは乏しい
<千葉大学呼吸器病態外科学、吉野一郎先生>
・周術期にピルフェニドンを投与して術後30日間の急性肺障害発症割合の低減を目指したWJOG6711L試験(PEOPLE study)では、プロトコール完遂症例で急性肺障害発症割合は2.8%だった
・ピルフェニドン開始後の手術実施割合は95.3%で、周術期の忍容性は良好
<虎の門病院呼吸器センター内科 岸 一馬先生>
・イリノテカン、アムルビシン、ジェムシタビンは間質性肺炎合併肺癌では禁忌とされている
・平成24年度の厚生労働省班研究では、間質性肺炎合併肺癌の二次治療としてはドセタキセルが全体の25.9%を占め、そのうち間質性肺炎急性増悪に至ったのは15.3%、ペメトレキセドは7.6%で、そのうち間質性肺炎急性増悪に至ったのは25%
・日本医科大学の峰岸先生が間質性肺炎を合併した非小細胞肺癌、小細胞肺癌それぞれのまとめをしているが、抗がん薬治療に関連した間質性肺炎急性増悪は5.6-5.8%で、抗がん薬治療開始後の全経過中での急性増悪は29.6%だったとのこと。
→The safety and efficacy of weekly paclitaxel in combination with carboplatin for advanced non-small cell lung cancer with idiopathic interstitial pneumonias. Minegishi Y et al., Lung Cancer. 2011 Jan;71(1):70-4.
→The feasibility study of Carboplatin plus Etoposide for advanced small cell lung cancer with idiopathic interstitial pneumonias. Minegishi Y et al., J Thorac Oncol. 2011 Apr;6(4):801-7
・間質性肺炎が肺底部、背側といった低酸素、高血流の部位に好発し、正常肺と線維化肺の境界領域に肺癌病巣が発生しやすいことを踏まえると、今後は抗VEGF療法(ベバシツマブ、ニンテダニブ→今秋頃に間質性肺炎に対して適応承認される予定、ラムシルマブ→胃癌に対しては近日中に承認、肺癌に対しては来年度承認を見込んでいる)についても積極的に検討する必要があるのでは?
<座長挨拶>
・間質性肺炎の死因の第一位は呼吸不全、第二位は肺癌である
<東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科 関根康雄先生>
・肺気腫合併肺線維症(CPFE)は予後不良
・2000年から2005年の間で、肺線維症合併肺癌切除患者28人のうち、術後急性肺障害を合併したのは9人(32%)だった
・術後急性肺障害を起こしたグループでは、手術対側肺の線維化が強かった
・CYFRAが急性肺障害の予測に役立ちそうだった
・2008年から2012年の間に肺癌切除を行った250人を、正常群(124人、49.6%)、肺気腫群(108人、43.2%)、肺線維症群(7人、2.8%)、CPFE群(11人、4.4%)に分類した
・CPFE群では有意に男性、扁平上皮癌患者が多かった
・5年生存率は正常群77.1%、肺気腫群66.1%、肺線維症群40%、CPFE群25%だった
・CPFE群では呼吸不全関連死が多かった
・CPFE肺がんは再発が多い
・CPFE合併肺がんでは扁平上皮癌が63.6%、肺気腫合併肺がんでは扁平上皮癌が50%、肺線維症合併肺がんでは扁平上皮癌が25%
<日本医科大学呼吸器内科学 吾妻安良太先生>
・平成26年度のびまん性肺疾患研究班による北海道スタディーでは、間質性肺炎の年間発生率は人口10万人対2.7人、有病率は人口10万人対10人
・ピルフェニドン投与中の肺癌死亡率は通常よりも低く、2%台
・間質性肺炎の肺癌合併割合は経年的に増加、全体としては20.4%、1年間では3.3%、5年間では15.4%、10年間では54.7%
・Wnt signalとCTHRC1
<京都大学呼吸器外科>
・2011年に行った呼吸器外科学会のまとめでは、手術27881人のうち在院死にいたったのは248人(0.9%)で、そのうち63人(27.3%)は間質性肺炎によるものだった
・全国から1763人の間質性肺炎合併肺癌患者を集積し、術後急性増悪を発症したものを調べると164人(9.3%)だった
・発症時期は術後10日目までがほとんどで、ピークは4日目
・周術期ウリナスタチン投与で予後改善?
・間質性肺炎合併肺癌の5年生存割合は47%
・肺葉切除に比べて、区域切除のメリットは乏しい
<千葉大学呼吸器病態外科学、吉野一郎先生>
・周術期にピルフェニドンを投与して術後30日間の急性肺障害発症割合の低減を目指したWJOG6711L試験(PEOPLE study)では、プロトコール完遂症例で急性肺障害発症割合は2.8%だった
・ピルフェニドン開始後の手術実施割合は95.3%で、周術期の忍容性は良好
<虎の門病院呼吸器センター内科 岸 一馬先生>
・イリノテカン、アムルビシン、ジェムシタビンは間質性肺炎合併肺癌では禁忌とされている
・平成24年度の厚生労働省班研究では、間質性肺炎合併肺癌の二次治療としてはドセタキセルが全体の25.9%を占め、そのうち間質性肺炎急性増悪に至ったのは15.3%、ペメトレキセドは7.6%で、そのうち間質性肺炎急性増悪に至ったのは25%
・日本医科大学の峰岸先生が間質性肺炎を合併した非小細胞肺癌、小細胞肺癌それぞれのまとめをしているが、抗がん薬治療に関連した間質性肺炎急性増悪は5.6-5.8%で、抗がん薬治療開始後の全経過中での急性増悪は29.6%だったとのこと。
→The safety and efficacy of weekly paclitaxel in combination with carboplatin for advanced non-small cell lung cancer with idiopathic interstitial pneumonias. Minegishi Y et al., Lung Cancer. 2011 Jan;71(1):70-4.
→The feasibility study of Carboplatin plus Etoposide for advanced small cell lung cancer with idiopathic interstitial pneumonias. Minegishi Y et al., J Thorac Oncol. 2011 Apr;6(4):801-7
・間質性肺炎が肺底部、背側といった低酸素、高血流の部位に好発し、正常肺と線維化肺の境界領域に肺癌病巣が発生しやすいことを踏まえると、今後は抗VEGF療法(ベバシツマブ、ニンテダニブ→今秋頃に間質性肺炎に対して適応承認される予定、ラムシルマブ→胃癌に対しては近日中に承認、肺癌に対しては来年度承認を見込んでいる)についても積極的に検討する必要があるのでは?
セルペルカチニブ、上市
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
CLIP1-LTK融合遺伝子の発見・・・LC-SCRUM Asiaから
セルペルカチニブ、2021年12月13日発売予定
進行非小細胞肺がんオリゴ転移巣に対する定位照射のランダム化第II相比較試験
セルペルカチニブと過敏症
根治切除術直後の非小細胞肺がん患者に、バイオマーカー解析をするべきか
HER2エクソン20挿入変異陽性非小細胞肺がんに対するpoziotinib
セルペルカチニブの添付文書
第4世代ALK阻害薬・・・TPX-0131とNVL-655
セルペルカチニブ、製造販売承認
HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecan
オシメルチニブ耐性化後は、耐性機序同定や分子標的治療は意味がないのか
EGFR/ALK陽性非小細胞肺がんに対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法
ドライバー遺伝子異常検出におけるジレンマとmultiplex PCR
中国人患者におけるRET阻害薬(Selpercatinib, Pralsetinib)の有効性
オシメルチニブによる術前療法・・・NeoADAURAの前哨戦
病勢進行後の治療をどう考えるか
BRAF遺伝子変異と縁がない
RET阻害薬、セルペルカチニブがやってくる
進行が速い進行肺腺がんに遭遇したらどう振る舞うか
Posted by tak at 21:42│Comments(0)
│個別化医療