2012年01月04日

ROS1 rearrangements

2012年1月3日付けのJournal of Clinical OncologyにROS1 rearrangementsについての論文が掲載されていました。
ROS1というのは、insulin receptor familyに属するとあります。

ROS1 Rearrangements Define a Unique Molecular Class of Lung Cancers
http://jco.ascopubs.org/content/early/2012/01/03/JCO.2011.38.3224.abstract

【目的】ROS1受容体チロシンキナーゼ遺伝子を含む染色体転座は、最近になって非小細胞肺癌の一部で認められると報告された。ROS1転座が関連する腫瘍についてはあまり知られておらず、今回はROS1染色体転座を有する非小細胞肺癌患者の臨床的特徴と治療反応性を調査することを目的とした。
【方法】ROS1-FISH assayを用いて、1073人の非小細胞肺癌患者をスクリーニングし、ROS1染色体転座と臨床的特徴、全生存期間、さらいはもし可能ならばALK染色体転座との関連性を調査した。In vitroの研究ではROS1染色体転座を有する細胞株のcrizotinibに対する反応性を調べた。ROS1染色体転座を有する非小細胞肺癌患者1人について、第Ⅰ相試験の延長としてcrizotinibに対する治療反応性を調べた。
【結果】1073人の患者をスクリーニングし、18人(1.7%)でROS1染色体転座をFISHで確認し、31人(2.9%)においてALK染色体転座を確認した。ROS1陰性グループと比較して、陽性グループでは有意に若年者、非喫煙者が多かった。全てのROS1陽性患者は腺癌であり、組織学的グレードが高い傾向が認められた。ROS1陽性および陰性のグループにおける全生存期間に差は見られなかった。ROS1転座を有するHCC78細胞株と、CD74-ROS1が導入された293個の細胞では、crizotinibに対する感受性が認められた。crizotinibで治療された患者では腫瘍縮小が認められ、ほぼ完全奏効するまでに至った。
【結論】ROS1染色体転座陽性非小細胞肺癌は、ALK染色体転座を有する非小細胞肺癌で認められたのと同様に際立った臨床的特徴を有する一群である。crizotinibはin vitroでも、臨床的にもROS1染色体転座を有する非小細胞肺癌に対して有効であった。

ALK転座とROS1転座をあわせると非小細胞肺癌全体の約5%になります。
この5%を見つけ出すために、全ての患者さんにALK転座とROS1転座の検査を行うのか。
近い将来議論になりそうです。


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