2017年10月28日
PACIFIC試験、日本人サブグループ解析
III期は治癒を目指すべき患者集団である以上、今後、長期生存患者がどの程度出てくるかが注目点。
<Stage III肺がんdurvalumab維持療法の日本人解析(PACIFIC)> 2017年日本肺癌学会
PACIFIC試験は、プラチナ・ベースの放射線化学療法後に病勢進行に至っていない切除不能局所進行Stage III NSCLCを対象に、抗PD-L1抗体durvalumabの維持療法をプラセボ群と比較した無作為化第III相試験である。
2017年ESMOで報告された中間解析によれば、全集団の無増悪生存期間(PFS)中央値はdurvalumab群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月で、durvalumab群で有意に延長していた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。
日本人集団におけるPFS中央値はdurvalumab群未到達、プラセボ群7.2ヵ月だった(HR:0.49、95%CI:0.26〜0.89、p=0.020)。
奏効割合は、全集団ではdurvalumab群28.4%、プラセボ群16.0%であり、日本人解析ではdurvalumab群31.8%、プラセボ群22.9%だった。
Grade3 / 4の有害事象発生率は、全集団ではdurvalumab群29.9%、プラセボ26.1%であり、日本人集団ではdurvalumab群23.6%、プラセボ群12.5%であった。日本人集団の安全性のプロファイルは全集団と同様であった。Grade3/4の免疫関連有害事象の発生率は、全集団ではdurvalumab群24.2%、プラセボ群8.1%であり、日本人集団ではdurvalumab群25.0%、プラセボ群10.0%であった。
<Stage III肺がんdurvalumab維持療法の日本人解析(PACIFIC)> 2017年日本肺癌学会
PACIFIC試験は、プラチナ・ベースの放射線化学療法後に病勢進行に至っていない切除不能局所進行Stage III NSCLCを対象に、抗PD-L1抗体durvalumabの維持療法をプラセボ群と比較した無作為化第III相試験である。
2017年ESMOで報告された中間解析によれば、全集団の無増悪生存期間(PFS)中央値はdurvalumab群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月で、durvalumab群で有意に延長していた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。
日本人集団におけるPFS中央値はdurvalumab群未到達、プラセボ群7.2ヵ月だった(HR:0.49、95%CI:0.26〜0.89、p=0.020)。
奏効割合は、全集団ではdurvalumab群28.4%、プラセボ群16.0%であり、日本人解析ではdurvalumab群31.8%、プラセボ群22.9%だった。
Grade3 / 4の有害事象発生率は、全集団ではdurvalumab群29.9%、プラセボ26.1%であり、日本人集団ではdurvalumab群23.6%、プラセボ群12.5%であった。日本人集団の安全性のプロファイルは全集団と同様であった。Grade3/4の免疫関連有害事象の発生率は、全集団ではdurvalumab群24.2%、プラセボ群8.1%であり、日本人集団ではdurvalumab群25.0%、プラセボ群10.0%であった。
2017年10月28日
OAK試験の日本人サブグループ解析
抗PD-L1抗体、Atezolizumabを二次治療で使用して、ドセタキセルと比較した第III相試験、OAK試験の日本人サブグループ解析結果が2017年日本肺癌学会で公表された模様。
Atezolizumabの効果もさることながら、標準治療のドセタキセル群ですら生存期間中央値が17ヶ月(約1年半)得られているというのも、個人的には結構驚き。
我々の知らないところで、生存期間延長につながる何か他の因子(支持療法の効果)が働いているのかもしれない。
<非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析> 日本肺癌学会2017
OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は奏効割合(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などだった。全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87)、良好な安全性が示されている。
日本人集団(OS解析対象の64例)のOS中央値はatezolizumab群で21.3ヵ月、ドセタキセル群で17.0ヵ月、ハザード比は0.80(95%CI:0.41~1.57)であり、全集団同様PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab群で改善が認められた。
有害事象については日本人101例を対象に解析され、Grade 3 以上の有害事象の発現率はatezolizumab群が26.8%、ドセタキセル群が91.1%とatezolizumab群で低かったが、免疫関連有害事象を含む投与中止に至った有害事象についてはatezolizumab群で多かった(17.9% vs.6.7%)。外国人集団との比較においては、Grade 3 以上の有害事象は日本人集団で少なかった(26.8% vs.40.1%)。日本人集団で多くみられたのは発熱(35.7%)、鼻咽頭炎(19.6%)などであった。
Atezolizumabの効果もさることながら、標準治療のドセタキセル群ですら生存期間中央値が17ヶ月(約1年半)得られているというのも、個人的には結構驚き。
我々の知らないところで、生存期間延長につながる何か他の因子(支持療法の効果)が働いているのかもしれない。
<非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析> 日本肺癌学会2017
OAK試験は、プラチナ製剤を含む化学療法中または後に増悪した局所進行・転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者1,225例を対象に、抗PD-L1抗体atezolizumabの有効性と安全性をドセタキセルと比較検討したオープンラベル無作為化試験。主要評価項目は、全患者およびPD-L1で選別されたサブグループ患者の全生存期間(OS)、副次評価項目は奏効割合(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性などだった。全集団における解析では、ドセタキセル群と比較してOSを4.2ヵ月延長し(OS中央値:13.8ヵ月 vs.9.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87)、良好な安全性が示されている。
日本人集団(OS解析対象の64例)のOS中央値はatezolizumab群で21.3ヵ月、ドセタキセル群で17.0ヵ月、ハザード比は0.80(95%CI:0.41~1.57)であり、全集団同様PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab群で改善が認められた。
有害事象については日本人101例を対象に解析され、Grade 3 以上の有害事象の発現率はatezolizumab群が26.8%、ドセタキセル群が91.1%とatezolizumab群で低かったが、免疫関連有害事象を含む投与中止に至った有害事象についてはatezolizumab群で多かった(17.9% vs.6.7%)。外国人集団との比較においては、Grade 3 以上の有害事象は日本人集団で少なかった(26.8% vs.40.1%)。日本人集団で多くみられたのは発熱(35.7%)、鼻咽頭炎(19.6%)などであった。
2017年10月28日
FLAURA試験のまとめ
遅ればせながら、FLAURA試験結果のまとめ。
標準治療と比べて、効果は高く、有害事象の頻度は低い。
試験デザイン上、除外規定が少なく、実臨床に即座に反映できる内容である。
有望な治療であることは間違いないし、現時点でEGFR陽性肺癌の一次治療として適応追加承認されても全く問題ない結果を残していると思われる。
あとはコストと後治療をどのように考えるかである。
<EGFR変異陽性非小細胞癌の1次治療でオシメルチニブは第1世代EGFR-TKIよりもPFSを大きく延長> 2017年 ESMO
第III相FLAURA試験の結果、EGFR変異陽性非小細胞癌に対する1次治療として、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブは、第1世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した。増悪または死亡のリスクを54%低減させた。
FLAURA試験は、29ヶ国で556人の患者を対象に行われた。EGFR遺伝子変異(Exon 19 deletion / Exon 21 L858R)を有する18歳以上でEGFR-TKIの投与を受けたことのない進行NSCLC患者を、オシメルチニブ群(279人、1日1回80mg投与)と標準療法群(277人、1日1回ゲフィチニブ250mg投与か1日1回エルロチニブ150mgを投与)に1対1に割り付けた。脳転移があっても臨床症状が安定している患者は参加可能とした。
試験開始当初は病勢進行後のクロスオーバーは認められていなかったが、2015年4月13日付けで行われたプロトコール改定により、標準療法群で増悪となり「中央判定でT790Mが同定された場合」にはオシメルチニブへのクロスオーバーが認められた。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。
副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、奏効期間、疾患制御率、安全性、QOLなどとした。
変異がExon 19 deletionかExon 21 L858Rか、アジア人か非アジア人かで層別化されていた。
主要評価項目に関する期待ハザード比を0.71とし、90%の検出力、両側検定の閾値を5%としたところ、530人を集積し、解析時点で359イベントが必要と見積もられた。
患者の背景は両群で大きな差はなかった。女性がオシメルチニブ群64%、標準療法群62%、アジア人がオシメルチニブ群62%、標準療法群62%、del19がオシメルチニブ群57%、標準療法群56%、L858Rがオシメルチニブ群35%、標準療法群32%、脳転移があったのは、オシメルチニブ群19%、標準療法群23%だった。
data cut off dateは2017年6月12日で、この時点でオシメルチニブ群に136イベント(49%)、標準治療群に206イベント(74%)が発生していた。
RECIST基準上病勢進行と判定されたものの、その後もプロトコール治療を継続された(beyond PD)患者はオシメルチニブ群で67%、標準治療群で70%だった。
RECIST基準上病勢進行と判定され、二次治療を受けた患者は、オシメルチニブ群で82人、標準治療群で129人いた。そして、標準治療群129人のうち、55人(クロスオーバーで治療を受けたのが48人、プロトコール治療終了後の二次治療でオシメルチニブを使用したのが7人)が二次治療以降でオシメルチニブを使用した。
PFS中央値は、オシメルチニブ群が18.9カ月(95%信頼区間:15.2-21.4)、標準療法群が10.2カ月(95%信頼区間:9.6-11.1)、ハザード比が0.46(95%信頼区間:0.37-0.57)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
生存曲線は早期から離れ、だんだん差が大きくなっていた。
OS中央値はどちらも未到達(イベントはオシメルチニブ群の21%、標準療法群の30%で発生)だったが、ハザード比は0.63(95%信頼区間:0.45-0.88)、p=0.007だった。現時点での成熟度で統計学的に有意であるためにはp値0.0015が必要だったため、統計学的に有意な結果ではないが、オシメルチニブ群が良い傾向だった。
生存曲線は早期から離れ、だんだん差が大きくなっていた。
脳転移を有する患者(116人)の場合、PFS中央値は、オシメルチニブ群が15.2カ月(95%信頼区間:12.1-21.4)、標準療法群が9.6カ月(95%信頼区間:7.0-12.4)で、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.30-0.74)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
脳転移を有しない患者の場合、PFS中央値は、オシメルチニブ群が19.1カ月(95%信頼区間:15.2-23.5)、標準療法群が10.9カ月(95%信頼区間:9.6-12.3)で、ハザード比0.46(95%信頼区間:0.36-0.59)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
奏効割合はオシメルチニブ群が80%(95%信頼区間:75-85)、標準療法群が76%(95%信頼区間:70-81)で、オッズ比は1.27(95%信頼区間は0.85-0.90, p=0.24)と両群に有意差を認めなかった。奏効期間(DoR)中央値は、オシメルチニブ群が17.2カ月(13.8-22.0)、標準療法群が8.5カ月(7.3-9.8)だった。
安全性プロファイルは両群で同等だったが、オシメルチニブ群でグレード3以上の副作用の発現率が低く、中止率も低かった。
グレード3以上の有害事象に至ったのは、オシメルチニブ群で34%、標準治療群で45%だった。
高頻度の有害事象は、発疹・挫創(オシメルチニブ群で58%、標準治療群で78%)、下痢(58% vs 57%)、乾燥肌(36% vs 36%)だった。
QT延長の頻度は、オシメルチニブ群で29人(10%)で、内訳はグレード1 11人(4%)、グレード2 12人(4%)、グレード3 5人(2%)、グレード4 1人(<1%)、標準治療群で13人(5%)で、内訳はグレード1 11人(4%)、グレード2 6人(2%)、グレード3 3人(1%)、グレード4 2人(1%)だった。致死的なTorsades des Pointes不整脈を発症した患者は皆無だった。
間質性肺炎はオシメルチニブ群で11人(4%)、標準治療群で6人(2%)に認めた。間質性肺炎により死亡した患者は皆無だった。
致死的な有害事象はオシメルチニブ群で6人(2%、肺炎1人、気道感染1人、脳梗塞1人、心筋梗塞1人、肺血栓塞栓症1人、腸管虚血1人)、標準治療群で10人(4%、敗血症2人、肺炎1人、心内膜炎1人、見等識障害および肺炎1人、呼吸困難1人、喀血1人、末梢動脈血栓症1人、下痢・消化管出血・呼吸不全・循環不全合併1人、原因不明1人)だった。







LUX Lung7(アファチニブ vs ゲフィチニブ)試験、dacomitinibのARCHER1050(dacomitinib vs ゲフィチニブ)試験と比較した。
2年PFS率がFLAURAのオシメルチニブ35.8%に対して、LUX Lung7のアファチニブ18%、ARCHER1050のdacomitinib30.6%だった。
ARCHER1050では脳転移を有する患者が除外されている(≒より長期生存が期待できる患者に絞られている)ことには留意しなければならない。
他の薬に比べて、押しなべてオシメルチニブが副作用が少なかった。
<FLAURA試験の日本人サブグループ解析> 2017年 日本肺癌学会
FLAURA試験における日本人患者120人を対象としたサブグループ解析では、PFS中央値はオシメルチニブ群で19.1ヶ月(95%信頼区間は12.6ヶ月から23.5ヶ月)、標準治療群(日本人は全てゲフィチニブ)で13.8ヶ月(95%信頼区間は8.3ヶ月から16.6ヶ月)、ハザード比0.61(95%信頼区間:0.38から0.99、p=0.0456)とオシメルチニブ群でPFSが有意に延長していた。
奏効割合はオシメルチニブ群が75%、標準治療群が76%(オッズ比:0.98)であった。DOR中央値はオシメルチニブ群18.4ヵ月、標準治療群9.5ヵ月と、オシメルチニブ群で約2倍近く延長している。また、オシメルチニブ群2例で完全奏効(CR)がみられている。OSについては、イベント発現割合がオシメルチニブ群で14%、標準治療群で18%とまだ十分なイベントが発現しておらず、今後の解析が待たれる。
主なグレード 3 以上の有害事象の発現率は、オシメルチニブ群が28%、標準治療群が49%とオシメルチニブ群で低かったが、間質性肺疾患(オシメルチニブ群で12%)およびQT延長(オシメルチニブ群で22%)については、オシメルチニブ群で多く発現している。また全体での結果と比較すると、日本人サブグループで両群の毒性が強い傾向がみられた。
標準治療と比べて、効果は高く、有害事象の頻度は低い。
試験デザイン上、除外規定が少なく、実臨床に即座に反映できる内容である。
有望な治療であることは間違いないし、現時点でEGFR陽性肺癌の一次治療として適応追加承認されても全く問題ない結果を残していると思われる。
あとはコストと後治療をどのように考えるかである。
<EGFR変異陽性非小細胞癌の1次治療でオシメルチニブは第1世代EGFR-TKIよりもPFSを大きく延長> 2017年 ESMO
第III相FLAURA試験の結果、EGFR変異陽性非小細胞癌に対する1次治療として、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブは、第1世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した。増悪または死亡のリスクを54%低減させた。
FLAURA試験は、29ヶ国で556人の患者を対象に行われた。EGFR遺伝子変異(Exon 19 deletion / Exon 21 L858R)を有する18歳以上でEGFR-TKIの投与を受けたことのない進行NSCLC患者を、オシメルチニブ群(279人、1日1回80mg投与)と標準療法群(277人、1日1回ゲフィチニブ250mg投与か1日1回エルロチニブ150mgを投与)に1対1に割り付けた。脳転移があっても臨床症状が安定している患者は参加可能とした。
試験開始当初は病勢進行後のクロスオーバーは認められていなかったが、2015年4月13日付けで行われたプロトコール改定により、標準療法群で増悪となり「中央判定でT790Mが同定された場合」にはオシメルチニブへのクロスオーバーが認められた。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。
副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、奏効期間、疾患制御率、安全性、QOLなどとした。
変異がExon 19 deletionかExon 21 L858Rか、アジア人か非アジア人かで層別化されていた。
主要評価項目に関する期待ハザード比を0.71とし、90%の検出力、両側検定の閾値を5%としたところ、530人を集積し、解析時点で359イベントが必要と見積もられた。
患者の背景は両群で大きな差はなかった。女性がオシメルチニブ群64%、標準療法群62%、アジア人がオシメルチニブ群62%、標準療法群62%、del19がオシメルチニブ群57%、標準療法群56%、L858Rがオシメルチニブ群35%、標準療法群32%、脳転移があったのは、オシメルチニブ群19%、標準療法群23%だった。
data cut off dateは2017年6月12日で、この時点でオシメルチニブ群に136イベント(49%)、標準治療群に206イベント(74%)が発生していた。
RECIST基準上病勢進行と判定されたものの、その後もプロトコール治療を継続された(beyond PD)患者はオシメルチニブ群で67%、標準治療群で70%だった。
RECIST基準上病勢進行と判定され、二次治療を受けた患者は、オシメルチニブ群で82人、標準治療群で129人いた。そして、標準治療群129人のうち、55人(クロスオーバーで治療を受けたのが48人、プロトコール治療終了後の二次治療でオシメルチニブを使用したのが7人)が二次治療以降でオシメルチニブを使用した。
PFS中央値は、オシメルチニブ群が18.9カ月(95%信頼区間:15.2-21.4)、標準療法群が10.2カ月(95%信頼区間:9.6-11.1)、ハザード比が0.46(95%信頼区間:0.37-0.57)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
生存曲線は早期から離れ、だんだん差が大きくなっていた。
OS中央値はどちらも未到達(イベントはオシメルチニブ群の21%、標準療法群の30%で発生)だったが、ハザード比は0.63(95%信頼区間:0.45-0.88)、p=0.007だった。現時点での成熟度で統計学的に有意であるためにはp値0.0015が必要だったため、統計学的に有意な結果ではないが、オシメルチニブ群が良い傾向だった。
生存曲線は早期から離れ、だんだん差が大きくなっていた。
脳転移を有する患者(116人)の場合、PFS中央値は、オシメルチニブ群が15.2カ月(95%信頼区間:12.1-21.4)、標準療法群が9.6カ月(95%信頼区間:7.0-12.4)で、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.30-0.74)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
脳転移を有しない患者の場合、PFS中央値は、オシメルチニブ群が19.1カ月(95%信頼区間:15.2-23.5)、標準療法群が10.9カ月(95%信頼区間:9.6-12.3)で、ハザード比0.46(95%信頼区間:0.36-0.59)、p<0.001で有意にオシメルチニブ群が良い結果だった。
奏効割合はオシメルチニブ群が80%(95%信頼区間:75-85)、標準療法群が76%(95%信頼区間:70-81)で、オッズ比は1.27(95%信頼区間は0.85-0.90, p=0.24)と両群に有意差を認めなかった。奏効期間(DoR)中央値は、オシメルチニブ群が17.2カ月(13.8-22.0)、標準療法群が8.5カ月(7.3-9.8)だった。
安全性プロファイルは両群で同等だったが、オシメルチニブ群でグレード3以上の副作用の発現率が低く、中止率も低かった。
グレード3以上の有害事象に至ったのは、オシメルチニブ群で34%、標準治療群で45%だった。
高頻度の有害事象は、発疹・挫創(オシメルチニブ群で58%、標準治療群で78%)、下痢(58% vs 57%)、乾燥肌(36% vs 36%)だった。
QT延長の頻度は、オシメルチニブ群で29人(10%)で、内訳はグレード1 11人(4%)、グレード2 12人(4%)、グレード3 5人(2%)、グレード4 1人(<1%)、標準治療群で13人(5%)で、内訳はグレード1 11人(4%)、グレード2 6人(2%)、グレード3 3人(1%)、グレード4 2人(1%)だった。致死的なTorsades des Pointes不整脈を発症した患者は皆無だった。
間質性肺炎はオシメルチニブ群で11人(4%)、標準治療群で6人(2%)に認めた。間質性肺炎により死亡した患者は皆無だった。
致死的な有害事象はオシメルチニブ群で6人(2%、肺炎1人、気道感染1人、脳梗塞1人、心筋梗塞1人、肺血栓塞栓症1人、腸管虚血1人)、標準治療群で10人(4%、敗血症2人、肺炎1人、心内膜炎1人、見等識障害および肺炎1人、呼吸困難1人、喀血1人、末梢動脈血栓症1人、下痢・消化管出血・呼吸不全・循環不全合併1人、原因不明1人)だった。







LUX Lung7(アファチニブ vs ゲフィチニブ)試験、dacomitinibのARCHER1050(dacomitinib vs ゲフィチニブ)試験と比較した。
2年PFS率がFLAURAのオシメルチニブ35.8%に対して、LUX Lung7のアファチニブ18%、ARCHER1050のdacomitinib30.6%だった。
ARCHER1050では脳転移を有する患者が除外されている(≒より長期生存が期待できる患者に絞られている)ことには留意しなければならない。
他の薬に比べて、押しなべてオシメルチニブが副作用が少なかった。
<FLAURA試験の日本人サブグループ解析> 2017年 日本肺癌学会
FLAURA試験における日本人患者120人を対象としたサブグループ解析では、PFS中央値はオシメルチニブ群で19.1ヶ月(95%信頼区間は12.6ヶ月から23.5ヶ月)、標準治療群(日本人は全てゲフィチニブ)で13.8ヶ月(95%信頼区間は8.3ヶ月から16.6ヶ月)、ハザード比0.61(95%信頼区間:0.38から0.99、p=0.0456)とオシメルチニブ群でPFSが有意に延長していた。
奏効割合はオシメルチニブ群が75%、標準治療群が76%(オッズ比:0.98)であった。DOR中央値はオシメルチニブ群18.4ヵ月、標準治療群9.5ヵ月と、オシメルチニブ群で約2倍近く延長している。また、オシメルチニブ群2例で完全奏効(CR)がみられている。OSについては、イベント発現割合がオシメルチニブ群で14%、標準治療群で18%とまだ十分なイベントが発現しておらず、今後の解析が待たれる。
主なグレード 3 以上の有害事象の発現率は、オシメルチニブ群が28%、標準治療群が49%とオシメルチニブ群で低かったが、間質性肺疾患(オシメルチニブ群で12%)およびQT延長(オシメルチニブ群で22%)については、オシメルチニブ群で多く発現している。また全体での結果と比較すると、日本人サブグループで両群の毒性が強い傾向がみられた。
2017年10月28日
AF-001JP試験、まだ無増悪生存期間、全生存期間ともに中央値未到達
アレクチニブの位置づけは、J-ALEX試験、ALEX試験でほぼ固まった。
国粋主義者とのそしりを受けるかもしれないが、日本人が発見したドライバー遺伝子異常に対して、日本の製薬会社が開発した薬を、世界に先んじて日本で第III相臨床試験で効果を明らかにし、米国の追試でその効果が確認された、という一連の出来事は、日本人として快哉を叫ぶべき出来事である。
臨床の現場では、アレクチニブ投与開始後すでに病勢進行に至った患者さんがいらっしゃるものの、おしなべてALK陽性肺癌に対するALK阻害薬の効果持続期間は長い。
ALK陽性進行肺癌に対するアレクチニブの第I / II相試験、93.5%というもはや異次元奏効割合を残した臨床試験だが、4年無増悪生存割合が52%、4年生存割合は70%と、無増悪生存期間、全生存期間のいずれも、いまだ中央値に至っていない。
どこまで行ってしまうのか。
<アレクチニブのALK転座陽性NSCLC対象国内フェーズ2試験の4年PFS率は52%、4年生存割合は70%> 2017年世界肺癌会議
ALK転座陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対して国内で行われたアレクチニブの第I / II相試験、AF-001JPの第II相部分の最終結果が明らかとなった。
4年無増悪生存(PFS)率は52%、4年生存割合は70%だった。
AF-001JP試験の第II相部分は、化学療法歴があるがALK阻害薬未治療のALK転座陽性のIIIB期 / IV期または再発NSCLC患者を対象に、アレクチニブを1日2回300mg投与した。主要評価項目は奏効割合で、副次評価項目は、PFS、全生存期間(OS)、安全性だった。
試験には2010年9月10日から2012年4月18日まで46人が登録された。2016年12月の試験終了時点で46人中20人で投薬が継続されていた。投薬期間の中央値は46.1ヶ月(1-62)だった。患者の年齢中央値は48歳(26-75)。化学療法歴数が3レジメン以上だったのは32.6%だった。
PFS中央値は未到達。
2年PFS割合は76%(95信頼区間:60-87)、3年PFS割合は62%(95%信頼区間:45-75)、4年PFS割合は52%(95%信頼区間:36-66)だった。
4年非中枢神経系増悪割合は29.1%、4年中枢神経系増悪割合は9.5%だった。ベースラインで脳転移があった患者(14人)のPFS中央値は38.0カ月、なかった患者(32人)のPFS中央値は未到達だった。
OS中央値は未到達で、4年OS割合は70%(95%信頼区間:54-81)だった。
グレード4/5の治療関連副作用はなかった。
国粋主義者とのそしりを受けるかもしれないが、日本人が発見したドライバー遺伝子異常に対して、日本の製薬会社が開発した薬を、世界に先んじて日本で第III相臨床試験で効果を明らかにし、米国の追試でその効果が確認された、という一連の出来事は、日本人として快哉を叫ぶべき出来事である。
臨床の現場では、アレクチニブ投与開始後すでに病勢進行に至った患者さんがいらっしゃるものの、おしなべてALK陽性肺癌に対するALK阻害薬の効果持続期間は長い。
ALK陽性進行肺癌に対するアレクチニブの第I / II相試験、93.5%というもはや異次元奏効割合を残した臨床試験だが、4年無増悪生存割合が52%、4年生存割合は70%と、無増悪生存期間、全生存期間のいずれも、いまだ中央値に至っていない。
どこまで行ってしまうのか。
<アレクチニブのALK転座陽性NSCLC対象国内フェーズ2試験の4年PFS率は52%、4年生存割合は70%> 2017年世界肺癌会議
ALK転座陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対して国内で行われたアレクチニブの第I / II相試験、AF-001JPの第II相部分の最終結果が明らかとなった。
4年無増悪生存(PFS)率は52%、4年生存割合は70%だった。
AF-001JP試験の第II相部分は、化学療法歴があるがALK阻害薬未治療のALK転座陽性のIIIB期 / IV期または再発NSCLC患者を対象に、アレクチニブを1日2回300mg投与した。主要評価項目は奏効割合で、副次評価項目は、PFS、全生存期間(OS)、安全性だった。
試験には2010年9月10日から2012年4月18日まで46人が登録された。2016年12月の試験終了時点で46人中20人で投薬が継続されていた。投薬期間の中央値は46.1ヶ月(1-62)だった。患者の年齢中央値は48歳(26-75)。化学療法歴数が3レジメン以上だったのは32.6%だった。
PFS中央値は未到達。
2年PFS割合は76%(95信頼区間:60-87)、3年PFS割合は62%(95%信頼区間:45-75)、4年PFS割合は52%(95%信頼区間:36-66)だった。
4年非中枢神経系増悪割合は29.1%、4年中枢神経系増悪割合は9.5%だった。ベースラインで脳転移があった患者(14人)のPFS中央値は38.0カ月、なかった患者(32人)のPFS中央値は未到達だった。
OS中央値は未到達で、4年OS割合は70%(95%信頼区間:54-81)だった。
グレード4/5の治療関連副作用はなかった。
2017年10月28日
ARCHER 1050のEGFR変異別サブグループ解析と日本人サブグループ解析
先般行われた世界肺癌会議で、DacomitinibのEGFR変異種別サブグループ解析、日本人サブグループ解析の結果が相次いで発表された様子。
アファチニブと同様に、Exon 19変異の患者の方が、PFSが長い傾向にあるようだ。
また、日本人サブグループ解析では、PFS中央値が18.3ヶ月と、標準治療群ゲフィチニブに対してダブルスコアを記録している。
薬価や毒性の問題、オシメルチニブとの使い分けの問題もあるかもしれないが、注目すべきデータだろう。
<EGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療としてのdacomitinibは変異の種類に関わらず有効> 2017年世界肺癌会議
第III相ARCHER1050試験のサブグループ解析の結果、第2世代EGFR-TKIであるdacomitinibは、EGFR変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する1次治療として、Exon 19欠失患者とExon 21点突然変異の患者のどちらにも有効であることが明らかとなった。
ARCHER 1050試験は、未治療、IIIB期 / IV期のNSCLC患者または術後再発NSCLCでEGFR変異を持つ(Exon 19欠失か Exon 21 L858R変異)患者で、中枢神経系に転移がない患者を対象に行われた。2013年5月から2015年3月までに7カ国、71施設で452人が、dacomitinib群(45mgを1日1回経口投与)とゲフィチニブ群(250mgを1日1回経口投与)に1対1で無作為割り付けされた。層別化因子は人種(アジア人か非アジア人が)、EGFR変異の種類(Exon 19かExon 21か)だった。
ARCHER 1050試験の全体のPFSについては、ASCO2017で発表された。
PFS中央値は、dacomitinib群が14.7カ月(95%信頼区間:11.1-16.6)、ゲフィチニブ群が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比が0.59(95%信頼区間:0.47-0.74)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
今回発表されたのは、変異の種類別PFSである。
Exon 19変異の患者において、PFS中央値はdacomitinib群(134人)が16.5カ月(95%信頼区間:11.3-18.4)、ゲフィチニブ群(133人)が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比が0.55(95%信頼区間0.41-0.75)、片側p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
Exon 21変異の患者において、PFS中央値は、dacomitinib群(93人)が12.3カ月(95%信頼区間:9.2-16.0)、ゲフィチニブ群(92人)が9.8カ月(95%信頼区間:7.6-11.1)で、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.44-0.88)、片側p=0.0034で有意にdacomitinib群が長かった。
奏効率は、Exon 19変異の患者においてdacomitinib群が76.1%(95%信頼区間:68.0-83.1)、ゲフィチニブ群が69.9%(95%信頼区間:61.4-77.6)、p=0.1271で差がなかった。Exon 21変異の患者においてdacomitinib群が73.1%(95%信頼区間:62.9-81.8)、ゲフィチニブ群が73.9%(95%信頼区間:63.7-82.5)、p=0.5487で差がなかった。
DOR中央値は、Exon19変異の患者においてdacomitinib群が15.6カ月(95%信頼区間:13.1-19.6)、ゲフィチニブ群が8.3カ月(95%信頼区間:7.9-10.1)で、ハザード比0.454(95%信頼区間:0.319-0.645)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。Exon 21変異の患者においてdacomitinib群が13.7カ月(95%信頼区間:9.2-17.4)、ゲフィチニブ群が7.5カ月(95%信頼区間:6.5-10.2)で、ハザード比0.403(95%信頼区間:0.267-0.607)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
<日本人のEGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療でのdacomitinibのPFS中央値は18.3カ月> 2017年世界肺癌会議
第III相ARCHER 1050試験の、日本人データが発表され、日本人患者のdacomitinib群のPFS中央値は18.3ヶ月だった。
日本人はdacomitinib群に40人、ゲフィチニブ群に41人が含まれていた。日本人患者におけるdacomitinib群とゲフィチニブ群の間には、年齢、男女比、全身状態、喫煙歴に差が少しあった。dacomitinib群の方が65歳未満、女性、PS 0、過去に喫煙歴がある患者が多く、ゲフィチニブ群には喫煙歴のない患者が多かった。
患者全体のPFS中央値は、ASCO2017で発表され、dacomitinib群が14.7カ月(95%信頼区間:11.1-16.6)、ゲフィチニブ群が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.47-0.74)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
日本人におけるPFS中央値は、dacomitinib群が18.2カ月(95%信頼区間:11.0-31.3)、ゲフィチニブ群が9.3カ月(95%信頼区間:7.4-14.7)で、ハザード比0.540(95%信頼区間:0.308-0.946)、p=0.0141でdacomitinib群が長かった。
日本人患者の奏効率は、dacomitinib群が75.0%(95%信頼区間:58.8-87.3)、ゲフィチニブ群が75.6%(95%信頼区間:59.7-87.6)、p=0.5254で差がなかった。
日本人患者のDOR中央値は、dacomitinib群が17.5カ月(95%信頼区間:10.2-34.3)、ゲフィチニブ群が8.3カ月(95%信頼区間:5.6-12.9)、p=0.0056でdacomitinib群が長く、患者全体よりも長かった。
dacomitinib群の日本人患者で多く認められたグレード3の副作用はざ瘡様皮疹(27.5%)で、患者全体と比べても日本人で多く発現していた。dacomitinib群の日本人患者の85%で減量が行われた。
アファチニブと同様に、Exon 19変異の患者の方が、PFSが長い傾向にあるようだ。
また、日本人サブグループ解析では、PFS中央値が18.3ヶ月と、標準治療群ゲフィチニブに対してダブルスコアを記録している。
薬価や毒性の問題、オシメルチニブとの使い分けの問題もあるかもしれないが、注目すべきデータだろう。
<EGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療としてのdacomitinibは変異の種類に関わらず有効> 2017年世界肺癌会議
第III相ARCHER1050試験のサブグループ解析の結果、第2世代EGFR-TKIであるdacomitinibは、EGFR変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する1次治療として、Exon 19欠失患者とExon 21点突然変異の患者のどちらにも有効であることが明らかとなった。
ARCHER 1050試験は、未治療、IIIB期 / IV期のNSCLC患者または術後再発NSCLCでEGFR変異を持つ(Exon 19欠失か Exon 21 L858R変異)患者で、中枢神経系に転移がない患者を対象に行われた。2013年5月から2015年3月までに7カ国、71施設で452人が、dacomitinib群(45mgを1日1回経口投与)とゲフィチニブ群(250mgを1日1回経口投与)に1対1で無作為割り付けされた。層別化因子は人種(アジア人か非アジア人が)、EGFR変異の種類(Exon 19かExon 21か)だった。
ARCHER 1050試験の全体のPFSについては、ASCO2017で発表された。
PFS中央値は、dacomitinib群が14.7カ月(95%信頼区間:11.1-16.6)、ゲフィチニブ群が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比が0.59(95%信頼区間:0.47-0.74)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
今回発表されたのは、変異の種類別PFSである。
Exon 19変異の患者において、PFS中央値はdacomitinib群(134人)が16.5カ月(95%信頼区間:11.3-18.4)、ゲフィチニブ群(133人)が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比が0.55(95%信頼区間0.41-0.75)、片側p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
Exon 21変異の患者において、PFS中央値は、dacomitinib群(93人)が12.3カ月(95%信頼区間:9.2-16.0)、ゲフィチニブ群(92人)が9.8カ月(95%信頼区間:7.6-11.1)で、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.44-0.88)、片側p=0.0034で有意にdacomitinib群が長かった。
奏効率は、Exon 19変異の患者においてdacomitinib群が76.1%(95%信頼区間:68.0-83.1)、ゲフィチニブ群が69.9%(95%信頼区間:61.4-77.6)、p=0.1271で差がなかった。Exon 21変異の患者においてdacomitinib群が73.1%(95%信頼区間:62.9-81.8)、ゲフィチニブ群が73.9%(95%信頼区間:63.7-82.5)、p=0.5487で差がなかった。
DOR中央値は、Exon19変異の患者においてdacomitinib群が15.6カ月(95%信頼区間:13.1-19.6)、ゲフィチニブ群が8.3カ月(95%信頼区間:7.9-10.1)で、ハザード比0.454(95%信頼区間:0.319-0.645)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。Exon 21変異の患者においてdacomitinib群が13.7カ月(95%信頼区間:9.2-17.4)、ゲフィチニブ群が7.5カ月(95%信頼区間:6.5-10.2)で、ハザード比0.403(95%信頼区間:0.267-0.607)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
<日本人のEGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療でのdacomitinibのPFS中央値は18.3カ月> 2017年世界肺癌会議
第III相ARCHER 1050試験の、日本人データが発表され、日本人患者のdacomitinib群のPFS中央値は18.3ヶ月だった。
日本人はdacomitinib群に40人、ゲフィチニブ群に41人が含まれていた。日本人患者におけるdacomitinib群とゲフィチニブ群の間には、年齢、男女比、全身状態、喫煙歴に差が少しあった。dacomitinib群の方が65歳未満、女性、PS 0、過去に喫煙歴がある患者が多く、ゲフィチニブ群には喫煙歴のない患者が多かった。
患者全体のPFS中央値は、ASCO2017で発表され、dacomitinib群が14.7カ月(95%信頼区間:11.1-16.6)、ゲフィチニブ群が9.2カ月(95%信頼区間:9.1-11.0)で、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.47-0.74)、p<0.0001で有意にdacomitinib群が長かった。
日本人におけるPFS中央値は、dacomitinib群が18.2カ月(95%信頼区間:11.0-31.3)、ゲフィチニブ群が9.3カ月(95%信頼区間:7.4-14.7)で、ハザード比0.540(95%信頼区間:0.308-0.946)、p=0.0141でdacomitinib群が長かった。
日本人患者の奏効率は、dacomitinib群が75.0%(95%信頼区間:58.8-87.3)、ゲフィチニブ群が75.6%(95%信頼区間:59.7-87.6)、p=0.5254で差がなかった。
日本人患者のDOR中央値は、dacomitinib群が17.5カ月(95%信頼区間:10.2-34.3)、ゲフィチニブ群が8.3カ月(95%信頼区間:5.6-12.9)、p=0.0056でdacomitinib群が長く、患者全体よりも長かった。
dacomitinib群の日本人患者で多く認められたグレード3の副作用はざ瘡様皮疹(27.5%)で、患者全体と比べても日本人で多く発現していた。dacomitinib群の日本人患者の85%で減量が行われた。