2019年03月26日
FLAURA試験、AURA3試験における耐性機序
今回簡単に取り上げた以下の2報からわかること。
オシメルチニブの初回治療と二次治療では、どちらも耐性機序の多数派を占めるのはMET増幅とC797X獲得変異のようだが、前者ではT790M変異が全く認められず、後者では約半数にT790M変異が残っている様子。
・オシメルチニブ初回治療後のC797X出現頻度は7%、オシメルチニブ二次治療後のC797X発現頻度は3%程度
・オシメルチニブ二次治療後のC797X発現例では、その半数はT790Mと相乗りし、C797XとT790Mはcisの位置に存在
これらのことと以下の記事を合わせると、オシメルチニブで初回治療を始めた場合には、
初回治療オシメルチニブ→病勢進行後は第1世代のEGFR阻害薬→7%は効果が期待できて、93%は効果が得られずに化学療法へ移行
となりそう。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e884383.html
・第3世代EGFR阻害薬に対する耐性化の問題
T790MとC797Sがtransに存在すれば第1世代と第3世代のEGFR阻害薬の併用で対応:Neiderst et al, Clin Cancer Res 3924-3933, 2015
T790MとC797Sがcisに存在する場合はEAI-045とcetuximabの併用で対応可?:Jia et al, Nature 129-132, 2016
一方、初回治療を第1世代のEGFR-TKIで始めた場合には、T790Mが出ればオシメルチニブを使って二次治療を行い、それでも病勢進行に至ったら化学療法となる。
初回治療でオシメルチニブを開始して、病勢進行後にEGFR阻害薬が効く可能性が7%。
初回治療で第1世代のEGFR阻害薬を使って、病勢進行後にオシメルチニブが使える(≒効く)可能性は今回のLBA 50の報告からは47%。
果たして、どっちがいいんだろう。
それから、ALK阻害薬としてよく知られているBrigatinibと抗EGFR抗体を併用してT790M / C797X 耐性を克服する、なんて研究成果も報告されているようだ。
https://www.amed.go.jp/news/release_20170313.html
LBA 50: Mechanisms of aquired resistance to first-line osimertinib: preliminary data from the phase III FLAURA study
Ramalingam SS, et al., ESMO 2018
目的:
FLAURA試験において、病勢進行に至った患者の耐性機序を調べる
方法:
オシメルチニブ群、ゲフィチニブ/エルロチニブ群のそれぞれにおいて、各患者の治療開始時点と病勢進行時点の血液サンプルを採取し、次世代シーケンサー(Guardant 360、Guardant OMNI)を用いて解析した。
結果:
オシメルチニブ群で見つかった耐性機序で頻度の高かったのは、
・MET増幅:15%
・EGFR C797S変異:7%
で、T790Mは検出されなかった。
ゲフィチニブ/エルロチニブ群で見つかった耐性機序で頻度の高かったのは、
・T790M:47%
・MET増幅:4%
・HER2増幅:2%
だった。
LBA 51: Analysis of resistance mechanisms to osimertinib in patients with EGFR T790M advanced NSCLC from AURA3 study
Papadimitrakopoulou et al, ESMO 2018
目的:
AURA3試験において、病勢進行に至った患者の耐性機序を調べる
方法:
オシメルチニブ群、化学療法群のそれぞれにおいて、各患者の治療開始時点と病勢進行時点の血液サンプルを採取し、次世代シーケンサー(Guardant 360)を用いて解析した。
結果:
・49%の患者で、T790Mが消失していた
・新たなEGFR耐性変異は21%に認められ、C797S変異が14%を占めていた
・MET増幅:19%
・細胞周期制御に関わる遺伝子異常:12%
・HER2増幅:5%
・PIK3CA増幅/変異:5%
・新規の融合遺伝子異常:4%
・BRAF V600E変異:3%
・T790M変異と同時に発生したC797変異は、全てDNA二本鎖の同一側に共存(シス配置)していた
オシメルチニブの初回治療と二次治療では、どちらも耐性機序の多数派を占めるのはMET増幅とC797X獲得変異のようだが、前者ではT790M変異が全く認められず、後者では約半数にT790M変異が残っている様子。
・オシメルチニブ初回治療後のC797X出現頻度は7%、オシメルチニブ二次治療後のC797X発現頻度は3%程度
・オシメルチニブ二次治療後のC797X発現例では、その半数はT790Mと相乗りし、C797XとT790Mはcisの位置に存在
これらのことと以下の記事を合わせると、オシメルチニブで初回治療を始めた場合には、
初回治療オシメルチニブ→病勢進行後は第1世代のEGFR阻害薬→7%は効果が期待できて、93%は効果が得られずに化学療法へ移行
となりそう。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e884383.html
・第3世代EGFR阻害薬に対する耐性化の問題
T790MとC797Sがtransに存在すれば第1世代と第3世代のEGFR阻害薬の併用で対応:Neiderst et al, Clin Cancer Res 3924-3933, 2015
T790MとC797Sがcisに存在する場合はEAI-045とcetuximabの併用で対応可?:Jia et al, Nature 129-132, 2016
一方、初回治療を第1世代のEGFR-TKIで始めた場合には、T790Mが出ればオシメルチニブを使って二次治療を行い、それでも病勢進行に至ったら化学療法となる。
初回治療でオシメルチニブを開始して、病勢進行後にEGFR阻害薬が効く可能性が7%。
初回治療で第1世代のEGFR阻害薬を使って、病勢進行後にオシメルチニブが使える(≒効く)可能性は今回のLBA 50の報告からは47%。
果たして、どっちがいいんだろう。
それから、ALK阻害薬としてよく知られているBrigatinibと抗EGFR抗体を併用してT790M / C797X 耐性を克服する、なんて研究成果も報告されているようだ。
https://www.amed.go.jp/news/release_20170313.html
LBA 50: Mechanisms of aquired resistance to first-line osimertinib: preliminary data from the phase III FLAURA study
Ramalingam SS, et al., ESMO 2018
目的:
FLAURA試験において、病勢進行に至った患者の耐性機序を調べる
方法:
オシメルチニブ群、ゲフィチニブ/エルロチニブ群のそれぞれにおいて、各患者の治療開始時点と病勢進行時点の血液サンプルを採取し、次世代シーケンサー(Guardant 360、Guardant OMNI)を用いて解析した。
結果:
オシメルチニブ群で見つかった耐性機序で頻度の高かったのは、
・MET増幅:15%
・EGFR C797S変異:7%
で、T790Mは検出されなかった。
ゲフィチニブ/エルロチニブ群で見つかった耐性機序で頻度の高かったのは、
・T790M:47%
・MET増幅:4%
・HER2増幅:2%
だった。
LBA 51: Analysis of resistance mechanisms to osimertinib in patients with EGFR T790M advanced NSCLC from AURA3 study
Papadimitrakopoulou et al, ESMO 2018
目的:
AURA3試験において、病勢進行に至った患者の耐性機序を調べる
方法:
オシメルチニブ群、化学療法群のそれぞれにおいて、各患者の治療開始時点と病勢進行時点の血液サンプルを採取し、次世代シーケンサー(Guardant 360)を用いて解析した。
結果:
・49%の患者で、T790Mが消失していた
・新たなEGFR耐性変異は21%に認められ、C797S変異が14%を占めていた
・MET増幅:19%
・細胞周期制御に関わる遺伝子異常:12%
・HER2増幅:5%
・PIK3CA増幅/変異:5%
・新規の融合遺伝子異常:4%
・BRAF V600E変異:3%
・T790M変異と同時に発生したC797変異は、全てDNA二本鎖の同一側に共存(シス配置)していた
2019年03月26日
NEJ009試験の後治療
先だって、NEJ009試験における後治療について、読者の方から情報を頂いた。
ESMO 2018で発表されていたとのこと。
ちなみに、NEJ009試験の概要は以下を参照のこと。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e935374.html
解析時点で、GCP群で29人、G群で37人が、オシメルチニブによる後治療を受けていた。
初回治療GCP、二次治療オシメルチニブの患者群では、生存期間中央値は未到達。
初回治療G、二次治療オシメルチニブの患者群では、生存期間中央値は75ヶ月。
・・・初回治療G、二次治療オシメルチニブの患者群でも、生存期間中央値は6年を超えている。
もはや、悪性リンパ腫の臨床試験結果を眺めているようだ。
NEJ009試験とFLAURA試験の長期追跡結果が出たとき、比較検討するのが楽しみだ。
ESMO 2018で発表されていたとのこと。
ちなみに、NEJ009試験の概要は以下を参照のこと。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e935374.html
解析時点で、GCP群で29人、G群で37人が、オシメルチニブによる後治療を受けていた。
初回治療GCP、二次治療オシメルチニブの患者群では、生存期間中央値は未到達。
初回治療G、二次治療オシメルチニブの患者群では、生存期間中央値は75ヶ月。
・・・初回治療G、二次治療オシメルチニブの患者群でも、生存期間中央値は6年を超えている。
もはや、悪性リンパ腫の臨床試験結果を眺めているようだ。
NEJ009試験とFLAURA試験の長期追跡結果が出たとき、比較検討するのが楽しみだ。