2011年06月05日
高齢者非小細胞肺癌の国内臨床試験の最新報告
これまで正式発表はされていませんでしたが、現在開催中の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で下記試験結果が公表されるようです。
http://abstract.asco.org/AbstView_102_77479.html
70歳以上の切除不能非小細胞肺癌の患者さんを対象に
DP群(試験治療):シスプラチン(体表面積あたり25mg)+ドセタキセル(体表面積あたり20mg)を1日目、8日目、15日目に投与して、4週ごとに反復。
D群(標準治療):ドセタキセル(体表面積あたり60mg)を1日目に投与して、3週毎に反復
の治療効果を比較する試験です。
本臨床試験は、新潟大学の塚田先生が非常に苦労して遂行された前試験を引き継ぐ形で行われました。
ヨーロッパでカルボプラチン+パクリタキセル+維持療法erlotinibが有望と報告されたため、本試験結果にも期待した方が多かったかもしれません。
しかし、中間解析の段階で、DP群13.3ヶ月、D群17.3ヶ月と生存期間中央値に大きく差がつき、今後試験を継続してもDP群がD群を上回る可能性は0.996%しかないということで、試験中止となりました。
中等度以上の毒性に関しては、DP群/D群で好中球減少が11%/88%、貧血が16/3%、食欲不振が10/1%、発熱性好中球減少が0/17%、薬剤性肺炎が2/3%で、おしなべてDP群の方が軽微だったようですが、一方で治療関連死がDP群に3例発生しました。
生活の質に関するアンケート結果も、D群の方が優れていたようです。
結論として、DP治療は標準治療であるD治療に対して、いかなる点においても優越性は証明できなかったとされています。
中間解析で終了となった試験は、その後の解析で結果が変わることもあるので注意が必要です。
本試験も、最終解析を行ったら差はなかった、という可能性は十分あると思います。
ただし、DP治療がD治療の成績に並ぶ可能性はあっても、凌ぐ可能性は上記の通り1%以下です。
治療の簡便性、治療関連死、患者さんの生活の質を考えると、DP治療を行う意義はありません。
私共の関連施設ではみなで相談して、大分県における肺癌高齢者を75歳以上と定義しています。
75歳以上の方の標準治療としては、これまでどおりドセタキセル単剤治療をお勧めしていこうと思います。
http://abstract.asco.org/AbstView_102_77479.html
70歳以上の切除不能非小細胞肺癌の患者さんを対象に
DP群(試験治療):シスプラチン(体表面積あたり25mg)+ドセタキセル(体表面積あたり20mg)を1日目、8日目、15日目に投与して、4週ごとに反復。
D群(標準治療):ドセタキセル(体表面積あたり60mg)を1日目に投与して、3週毎に反復
の治療効果を比較する試験です。
本臨床試験は、新潟大学の塚田先生が非常に苦労して遂行された前試験を引き継ぐ形で行われました。
ヨーロッパでカルボプラチン+パクリタキセル+維持療法erlotinibが有望と報告されたため、本試験結果にも期待した方が多かったかもしれません。
しかし、中間解析の段階で、DP群13.3ヶ月、D群17.3ヶ月と生存期間中央値に大きく差がつき、今後試験を継続してもDP群がD群を上回る可能性は0.996%しかないということで、試験中止となりました。
中等度以上の毒性に関しては、DP群/D群で好中球減少が11%/88%、貧血が16/3%、食欲不振が10/1%、発熱性好中球減少が0/17%、薬剤性肺炎が2/3%で、おしなべてDP群の方が軽微だったようですが、一方で治療関連死がDP群に3例発生しました。
生活の質に関するアンケート結果も、D群の方が優れていたようです。
結論として、DP治療は標準治療であるD治療に対して、いかなる点においても優越性は証明できなかったとされています。
中間解析で終了となった試験は、その後の解析で結果が変わることもあるので注意が必要です。
本試験も、最終解析を行ったら差はなかった、という可能性は十分あると思います。
ただし、DP治療がD治療の成績に並ぶ可能性はあっても、凌ぐ可能性は上記の通り1%以下です。
治療の簡便性、治療関連死、患者さんの生活の質を考えると、DP治療を行う意義はありません。
私共の関連施設ではみなで相談して、大分県における肺癌高齢者を75歳以上と定義しています。
75歳以上の方の標準治療としては、これまでどおりドセタキセル単剤治療をお勧めしていこうと思います。
尿路上皮がんと術後補助ニボルマブ療法
日本人の高齢進展型小細胞肺がんの標準治療
第III相CAPITAL試験:70歳以上の高齢者進行肺扁平上皮癌で、CBDCA+nabPTXが新たな標準治療へ
スタッフが流す涙
高齢進行非小細胞肺癌の治療に関する、セカンドオピニオン・・・?
2019年 第59回日本呼吸器学会備忘録その6 お年寄りへの免疫チェックポイント阻害薬
高齢者進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対する初回治療、カルボプラチン+ペメトレキセドも可?
免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブ)、いよいよ肺小細胞癌の領域へ
高齢非小細胞・非扁平上皮癌の化学療法
間質性肺炎を合併した高齢者進行扁平上皮癌
高齢者局所進行非小細胞肺癌
患者さんの自己決定は、”権利”か”義務”か!?
地域高齢化社会
始めてみました。
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始めてみました。
Posted by tak at 08:22│Comments(0)
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