2021年08月27日
尿路上皮がんと術後補助ニボルマブ療法
6月に紹介した腎盂がんの患者さんの手術がまだ実現していない。
いろいろな要素が絡み、やむを得ず約3ヶ月の待機期間が発生したのだが、それにしても長い。
約1か月前からがん性疼痛が悪化し、外来で麻薬による疼痛コントロールをして凌いできたが、いよいよPSが悪化してきたため入院させた。
大変がっかりしたことに、きちんと内服が出来ておらず、入院時持参薬には大量の麻薬が含まれていた。
こちらが指示した薬を、患者がきちんと服用しているとは限らない。
それが分かっただけでも、入院してもらってよかった。
PS低下のために手術適応がなくなった、と言われてはあまりにも切ないので、泌尿器科担当医にお願いし、何とか術前早期に引き継いでもらえることになった。
泌尿器系のがんは、早期だろうが進行期だろうが、腫瘍量減量の観点から外科切除が前提である。
・・・とはいいながら、最近では腎細胞癌では手術をしない方がよいという話が出てきたが、尿路上皮がんではまだそんな話は聞かない。
今回の患者さんも、首尾よく手術が受けられて、以下のような治療の機会に恵まれるとなおよいのだが・・・、流石に薬事承認が間に合わないだろうな。
CheckMate 274試験
術後再発リスクの高い膀胱、もしくは上位尿路(腎盂・尿管)の尿路上皮がんに対して拡大切除術を行った後120日間以内の患者を対象とした、無作為化・二重盲検・プラセボ対照比較試験である。対象患者は、2週間ごとにニボルマブ240mgを使用する群(N群)とプラセボ群(P群)に1:1の割合で割り付けられ、再発が確認されるか、忍容不能な毒性に見舞われるまで、最長1年間にわたりプロトコール治療を継続した。
主要評価項目は担当医判定によるIntent-to-treat集団(ITT集団)およびPD-L1発現割合≧1%の患者集団(TPS≧1%集団)における無再発生存期間とした。無再発生存期間は、無作為割付から最初の術後再発に見舞われるか、患者が死亡するかまでの期間とした。
事前に規定されていた中間解析の段階で、N群において統計学的に有意な無再発生存期間延長効果が、ITT集団およびTPS≧1%集団の双方で確認された。ITT集団の解析では、無再発生存期間はN群で20.8ヶ月(95%信頼区間16.5-27.6)、P群で10.8ヶ月(95%信頼区間8.3-13.9)で、ハザード比は0.70(95%信頼区間0.57-0.86)、p=0.0008だった。TPS≧1%集団では、無再発生存期間はN群で未到達(95%信頼区間21.2ヶ月-未到達)、P群で8.4ヶ月(95%信頼区間5.6-21.2)で、ハザード比は0.55(95%信頼区間0.39-0.77、p=0.0005)だった。
PD-L1陰性の患者集団(全体の58%)を対象とした探索的解析では、P群に対するN群の無再発生存期間延長効果に関するハザード比は0.83(95%信頼区間0.64-1.08)で有意差に至らなかった。全生存期間に関するデータ集積は、死亡イベントが全体の33%しか発生していないためまだ解析には不十分だった。上位尿路患者を対象としたサブグループ解析では、37人の死亡イベントが発生していた(N群20人、P群17人)。
N群において20%以上の患者に認められた高頻度の有害事象は、発疹、倦怠感、下痢、掻痒、筋肉痛、尿路感染症だった。
なお、尿路上皮がんに対する術後補助療法としてのニボルマブの推奨投与法は、240mgを2週間ごとか、もしくは480mgを4週間ごととされた。
いろいろな要素が絡み、やむを得ず約3ヶ月の待機期間が発生したのだが、それにしても長い。
約1か月前からがん性疼痛が悪化し、外来で麻薬による疼痛コントロールをして凌いできたが、いよいよPSが悪化してきたため入院させた。
大変がっかりしたことに、きちんと内服が出来ておらず、入院時持参薬には大量の麻薬が含まれていた。
こちらが指示した薬を、患者がきちんと服用しているとは限らない。
それが分かっただけでも、入院してもらってよかった。
PS低下のために手術適応がなくなった、と言われてはあまりにも切ないので、泌尿器科担当医にお願いし、何とか術前早期に引き継いでもらえることになった。
泌尿器系のがんは、早期だろうが進行期だろうが、腫瘍量減量の観点から外科切除が前提である。
・・・とはいいながら、最近では腎細胞癌では手術をしない方がよいという話が出てきたが、尿路上皮がんではまだそんな話は聞かない。
今回の患者さんも、首尾よく手術が受けられて、以下のような治療の機会に恵まれるとなおよいのだが・・・、流石に薬事承認が間に合わないだろうな。
CheckMate 274試験
術後再発リスクの高い膀胱、もしくは上位尿路(腎盂・尿管)の尿路上皮がんに対して拡大切除術を行った後120日間以内の患者を対象とした、無作為化・二重盲検・プラセボ対照比較試験である。対象患者は、2週間ごとにニボルマブ240mgを使用する群(N群)とプラセボ群(P群)に1:1の割合で割り付けられ、再発が確認されるか、忍容不能な毒性に見舞われるまで、最長1年間にわたりプロトコール治療を継続した。
主要評価項目は担当医判定によるIntent-to-treat集団(ITT集団)およびPD-L1発現割合≧1%の患者集団(TPS≧1%集団)における無再発生存期間とした。無再発生存期間は、無作為割付から最初の術後再発に見舞われるか、患者が死亡するかまでの期間とした。
事前に規定されていた中間解析の段階で、N群において統計学的に有意な無再発生存期間延長効果が、ITT集団およびTPS≧1%集団の双方で確認された。ITT集団の解析では、無再発生存期間はN群で20.8ヶ月(95%信頼区間16.5-27.6)、P群で10.8ヶ月(95%信頼区間8.3-13.9)で、ハザード比は0.70(95%信頼区間0.57-0.86)、p=0.0008だった。TPS≧1%集団では、無再発生存期間はN群で未到達(95%信頼区間21.2ヶ月-未到達)、P群で8.4ヶ月(95%信頼区間5.6-21.2)で、ハザード比は0.55(95%信頼区間0.39-0.77、p=0.0005)だった。
PD-L1陰性の患者集団(全体の58%)を対象とした探索的解析では、P群に対するN群の無再発生存期間延長効果に関するハザード比は0.83(95%信頼区間0.64-1.08)で有意差に至らなかった。全生存期間に関するデータ集積は、死亡イベントが全体の33%しか発生していないためまだ解析には不十分だった。上位尿路患者を対象としたサブグループ解析では、37人の死亡イベントが発生していた(N群20人、P群17人)。
N群において20%以上の患者に認められた高頻度の有害事象は、発疹、倦怠感、下痢、掻痒、筋肉痛、尿路感染症だった。
なお、尿路上皮がんに対する術後補助療法としてのニボルマブの推奨投与法は、240mgを2週間ごとか、もしくは480mgを4週間ごととされた。