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2019年08月01日

電子カルテ

 現在の職場に電子カルテが導入されて、4年程度が経過した。
 所感を少し。
 
 手書きのお手紙が電子メール、SNSに切り替わるように、紙カルテが電子カルテに切り替わるのも、時代の要請であることは間違いない。
 電子カルテが導入されて、情報共有が容易になり、院内のどこにいても患者情報にアクセスできて、記録やオーダーができる。
 一方で、時間の経過とともにシステムに負荷がかかり、齟齬を来すことが多くなる。
 システムがダウンしたら病院機能の大半がストップしてしまう。
 以前の職場ではしばしばそうしたことが起こり、診療の現場が混乱していた。

 先日の臨床腫瘍学会総会、その日の一通りの発表が終わった後に、ひっそりとイブニングセミナーで電子カルテにまつわる話題が提供されていた。
 国立がん研究センター中央病院において、PwCが開発した"Double Jump"の電子カルテシステム導入が検討されているらしい。
 https://www.pwc.com/us/en/industries/health-industries/library/doublejump.html

 既に米国のhigh volume centerには導入実績があるとのこと。
 話を聞く限りでは、インターネット環境へのオープンアクセスが前提で、ログインする職員のセキュリティーをしっかり管理して、安全性を確保しているとのことだった。
 オープンアクセスであるがゆえに、本システムを導入している複数の施設のデータを集約することが可能で、かなり簡単なプロセスで(個人情報をマスクした上での)患者背景、臨床経過、各種検査データ、生命予後を各端末にて集計・表示できるとのことだった。
 例えば、NTRK陽性肺がん患者のデータを複数の施設のデータベースからリアルタイムに抽出して、生命予後を含めた各種データを抽出できる、ということを動画で示していた。
 
 臨床の現場で悪戦苦闘する医療スタッフが、統合された臨床データにアクセスしやすくなる、という点で、アイデアとしてはずっと以前からあったんだろうけど、それを実現したということでとても画期的なシステムのように思われた。
 ただ、日本の風土に合うかどうかは別問題で、既にインターネットを介した電子カルテ管理が受け入れられている米国だからこそ成立するスキームのような気がする。
 基本的にクローズド環境が前提の我が国の電子カルテでは、なかなか多施設間では普及しづらいだろう。
 同じコンセプトで、我が国の電子カルテシステムのトップランナーである富士通がシステム開発をして導入した方が、早くゴールにたどり着ける気がする。


   

Posted by tak at 12:06Comments(0)その他