2014年度のデータベースをまとめてみた。
統計解析にはEZRを用いた。
1)患者背景
2014年度はそれまでよりも対象患者数が多く、91人を数えた。
年齢中央値はやや若く67歳、最高齢は91歳だった。
男性は67人で、全体の73%を占めた。
組織型では腺がんが45人で、全体の49%を占めた。
扁平上皮がんが22%、神経内分泌腫瘍(小細胞がん+大細胞神経内分泌がん)が約15%だった。
臨床病期別では、IV期が最多の35人で、全体の38%を占めた。
EGFR遺伝子変異陽性患者は20人で、全体の22%を占め、ALK融合遺伝子陽性患者は2人認めた。
2)全体の生命予後
91人全員を対象とした生存曲線は以下の通り。
5年生存割合は40%(95%信頼区間30-50%)、生存期間中央値は3.0年(95%信頼区間1.2-5.6年)だった。
IV期の患者が全体の約40%を占める中で、例年よりよい成績のように感じられる。
生存曲線の1年を少し超えたところに、明らかに変曲点があるように見える。
3)性別ごとの生命予後
生存曲線からは、女性の方がやや予後良好のように見える。
女性の5年生存割合は47%(95%信頼区間26-66%)、生存期間中央値は4.4年(95%信頼区間1.5年-未到達)。
男性の5年生存割合は38%(95%信頼区間26-49%)、生存期間中央値は2.1年(95%信頼区間0.97-3.9年)。
p=0.229で有意差はつかなかった。
4)組織型ごとの生命予後
腺がん、扁平上皮がん、小細胞がんだけ取り扱う。
腺がん患者の5年生存割合は49%(95%信頼区間34-63%)、生存期間中央値は4.4年(95%信頼区間1.8年-未到達)。
扁平上皮がん患者の5年生存割合は20%(95%信頼区間6.2-39%)、生存期間中央値は1.3年(95%信頼区間0.84-3.8年)。
小細胞がん患者の5年生存割合は25%(95%信頼区間3.7-56%)、生存期間中央値は0.90年(95%信頼区間は0.099年-未到達)。
5)臨床病期ごとの生命予後
患者数が10人を超えているIA期、IB期、IV期について取り扱う。
IA期患者の5年生存割合は75%(95%信頼区間46-90%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間4.3年-未到達)。
IB期患者の5年生存割合は57%(95%信頼区間32-76%)、生存期間中央値は6.0年(95%信頼区間2.3年-未到達)。
IV期患者の5年生存割合は12%(95%信頼区間3.4-26%)、生存期間中央値は0.69年(95%信頼区間4.2-1.1年)。
IV期患者の5年生存割合が10%を超えたのは、特筆すべきことだ。
6)EGFR遺伝子変異
例年になくEGFR遺伝子変異の存在感を感じる生存曲線になった。
EGFR遺伝子変異陰性患者の5年生存割合は34%(95%信頼区間23-45%)、生存期間中央値は2.1年(95%信頼区間0.97-3.9年)。
EGFR遺伝子変異陽性患者の5年生存割合は60%(95%信頼区間35-77%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間1.4年-未到達)。
p=0.0132と有意差がついた。
EGFR遺伝子変異陽性患者の生存曲線は2年ちょっとのあたりから水平線になっており、非常に頼もしい。
6)ALK融合遺伝子
2013年度と同様、身も蓋もない生存曲線だ。
ALK陽性患者2人のうち1人は打ち切り、1人は診断から4.3年で死亡した。