新型コロナウイルスワクチンの効果と考え方

tak

2021年10月04日 06:00

 新型コロナウイルスワクチン、本邦でもかなり浸透した。
 先日視聴したニュース番組では、
・1回接種終了者:接種対象者の約60%
・2回接種終了者:接種対象者の約70%
と報道されていた。
 
 新型コロナウイルスに関連した学術報告はバブルの様相を呈しており、実生活にどの程度活かせるのかわからない。
 こんなときは、かえって一般報道の方が実態を反映しているように感じられる。
 がんの臨床試験結果が、必ずしも実地臨床を反映していないのと関係がよく似ている。

 読み遅れていた2021/09/25付の新聞の社会面を見たら、いろいろと参考になることが書いてあった。
 患者と話すときに役立つかもしれないので書き残しておく。

・新型コロナウイルスのワクチンの2回接種を終えてから感染する「ブレークスルー感染」が絡むクラスターが目立ってきた
・2回接種した人は感染しても未接種者より軽症で済むケースが多い
・体調の変化に気付きにくく対応が遅れる恐れがある
・群馬県伊勢崎市の病院で、2021/09/22までに10-80代の入院患者17人と職員8人の計25人の感染が判明した
・うち24人はワクチンを2回接種済みだった
・残る1人も1回接種していた
・和歌山県高野町の特別養護老人ホームで、2021/09/24までに重症者1人を含む80-90代の施設利用者12人と職員2人の感染が確認された
・全員がワクチンの2回接種を完了していた
・デルタ株に対するワクチンの感染予防効果は50-90%などとする報告があり、接種しても感染の可能性は残る
・一方で、発症や入院を予防する効果は80-90%とされ、重症化するリスクは低い
・福井県越前市の介護老人保健施設で9月に2回接種済みの約30人が感染したクラスターでは、いずれも軽症や無症状だった
・ブレイクスルー感染は感染そのものに気付きにくく、無症状のまま他人に移してしまう恐れが指摘されている
・2021/09/24に東京都が開いたモニタリング会議で、2021/08/01-2021/09/20に新型コロナウイルス感染のために東京都内で亡くなった人484人のうち、ワクチン接種歴を確認できた412人を分析したところ、325人(79%)がワクチン未接種者、38人(9%)が1回接種者、49人(12%)が2回接種者だった
・2回接種した死亡者のうち、糖尿病などの基礎疾患のあった患者が45人(92%)を占めた
・年代別では、60歳以上の死亡者が303人(74%)だった

 以上から得られる教訓は、
・ワクチンを2回接種したら、一般には重症化や死亡のリスクを減らせる
・ブレークスルー感染は無症状、軽症のこともあり、誰もが無症候性・軽症キャリアとして感染源となる可能性があるので、消毒・手洗い・ソーシャルディスタンス・マスク着用といった予防行動はこれまで通りに必要
・高齢、糖尿病などのリスクがあると、2回接種を終了していてもブレイクスルー感染発症時の死亡リスクがあるため、感染予防行動が欠かせない
といったところだろうか。

 裏を返せば、ワクチン接種完了者はこうした事実を踏まえながら社会正常化に向けた活動を始める時期が来た、ということだろう。
 ワクチン接種未完了者、あるいはワクチン非接種の意向を持つ人は、引き続き社会生活を営むにあたって自他ともに配慮を要するだろう。

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