2012年度のデータベースから

tak

2021年05月18日 22:13

 2012年度のデータベースをまとめてみた。
 統計解析にはEZRを用いた。

1)患者背景 
 
 この時期に確定診断した患者数は40人。

 年齢中央値は73歳、最高齢は90歳。
 男性は24人で、全体の60%を占めた。

 組織型では腺がんが24人で、これも全体の60%を占めた。
 その他の2人は、いずれも大細胞神経内分泌がんだった。

 臨床病期別では、IA期14人(35%)が最多で、続いてIV期の8人だが、IB-IIIB期の患者層が例年より厚い。
 EGFR遺伝子変異陽性患者数は11人で全体の28%を占め、全例が腺がんだった。
 腺がん24人中のEGFR遺伝子変異陽性患者割合は46%に達した。

2)全体の生命予後
 40人全員を対象とした生存曲線は以下の通り。

 5年生存割合は37%、95%信頼区間は22-52%。
 生存期間中央値は3.1年、95%信頼区間は1.8-5.2年だった。

3)性別ごとの生命予後

 女性の方が予後良好で、統計学的有意差がついた。


4)組織型ごとの生命予後


 腺がん>扁平上皮がん>小細胞がんという関係は例年通りだが、大細胞神経内分泌がんの生命予後がとりわけ悪かった。

5)臨床病期ごとの生命予後

 患者数が少なすぎて参考にならないが、IA期の患者の5年生存割合は71%、95%信頼区間は39-88%だった。

6)EGFR遺伝子変異

 EGFR遺伝子変異の有無で生命予後を見た。
 例年通り生存曲線はきれいに分かれて、今年度はp=0.0474と有意差がついた。
 EGFR遺伝子変異がない群では、5年生存割合27%(95%信頼区間12-44%)、生存期間中央値2.3年(95%信頼区間0.69-4.7年)。
 EGFR遺伝子変異がある群では、5年生存割合64%(95%信頼区間30-85%)、生存期間中央値5.2年(95%信頼区間2.8年-未到達)。
 
7)IIIB-IV期の患者の生命予後
 
 5年生存割合8.3%(95%信頼区間0.5-31%)、生存期間中央値1.1年(95%信頼区間0.38-2.8年)。
 EGFR遺伝子変異の有無で比較すると、p=0.0853と有意差はつかないが、生存期間中央値はEGFR遺伝子変異のない群で0.68年(95%信頼区間は0.13-2.3年)、ある群で2.8年(1.8年-未到達)だった。

 EGFR遺伝子変異がある群の5年生存割合は33%(95%信頼区間は0.9-77%)だった。
 
 
 

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