2009年度のデータベースから

tak

2021年05月04日 22:19

 2009年度のデータベース内容をまとめてみた。
 統計解析にはEZRを用いた。

1)患者背景

 この時期に確定診断した患者の総数は42人。
 年齢中央値は75歳、最高齢は85歳。
 男性が32人、76%と、実に3/4を占める。

 患者の年齢分布をみると、70歳以上が多い。
 組織型の分布は、腺がんが半分、扁平上皮がんが3割、小細胞がんが1割程度と、診療実態に近い印象を受ける。
 その他は腺扁平表皮がん1人、大細胞神経内分泌がん1人、腺がんと扁平上皮がんの同時多発1人という内訳だった。
 2008年度とは異なり、EGFR遺伝子変異陽性の患者が8人確認され、全体の19%を占めた。
 8人中7人は腺がんの患者だったが、1人は扁平上皮がんから検出された(もっとも、今となっては扁平上皮がんの患者のEGFR遺伝子変異検索自体をしないだろうが)。
 臨床病期別ではIA期の患者が多く、後に示すように生命予後はよい傾向にあった。


2)全体の生命予後
 42人全員を対象とした生存曲線はこの通り。

 5年生存割合は47%、95%信頼区間は32%-61%。
 10年生存割合は28%、95%信頼区間は14%-44%。
 生存期間中央値は4.5年。

3)性別ごとの生命予後
 有意差こそつかなかった(p=0.15)が、2008年度と似た傾向が見られる。



4)組織型ごとの生命予後
 2009年度は有意差はつかず。
 ただし、なんとなく腺がん>扁平上皮がん>小細胞がんの順で生命予後が良さそう。



5)臨床病期ごとの生命予後

 各病期ごとの患者数が少ないので大したことは言えないが、IA期やIB期の患者を見ると、5年経過後10年までに結構な数の患者が亡くなっていることがわかる。

6)腺がんとEGFR遺伝子変異
 2009年度はIV期の腺がん患者が少なかったため、腺がん全体でEGFR遺伝子変異の有無で生命予後に差が出るかどうかを見てみた。
 p値は0.36で有意水準に届かず、差は出なかった。




 

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