病院内におけるワクチン格差のリスク

tak

2021年07月20日 23:48

 ここにきて、新型コロナワクチン関連の報道がかまびすしい。
 前回の緊急事態宣言下では関西が震央だったが、今回は紛れもなく首都圏が主役だ。
 わが大分でも久しぶりに12人の陽性者が確認され、各地域で散発している。
 海外のオリンピック選手団からも、連日のようにPCR陽性者が報告されている。

 個人的な関心事は、今の波がどの程度、どれくらいの期間に及ぶかということだ。
 いろいろと意見は出ているが、紆余曲折を経ながらも高齢者のワクチン接種がかなり進んだのは、政府や地方自治体の努力のたまものと賞賛していいのではないか。
 各医療機関での接種とその予約が混乱を極めた一方で、自治体主導の集団接種は初期段階から有効に機能して、立派に各医療機関での接種を補完したように思う。
 ありがたいことに、医療機関職員、施設入居者にはある程度接種が行き渡った。

 一方、ワクチンの効果に過度の期待は禁物のようだ。
 インフルエンザワクチンと同様に、接種した個人の重症化を予防する効果はありそうだが、感染そのものを回避するという点では絶対というわけではなさそうである。
 ワクチン接種先進国であるイスラエル、英国、米国の状況を見れば明らかだ。
 直近の英国の感染者数は増加の一途をたどっているものの、重症者や死者が抑えられているため、規制を撤廃したと聞く。
 米国では、共和党支持層が多い州ではワクチンに懐疑的な国民が多く、感染動向が悪化傾向にあるのだとか。
 
 インフルエンザの流行期において、ワクチン接種の前後を問わず、私は手洗い、うがいをしっかりして、マスクをして、電車通勤や人込みを避けるようにしている。
 新型コロナウイルスの流行が収束するまでは、同じことを続ける。

 世間的には夏休みに入り、7月22日から五輪による4連休を迎える。
 都心のスクランブル交差点を行き交う人波を見るにつけ、とても緊急事態宣言が発出されている地域だとは思えない。
 今後も感染は拡大すると見るのが現実的だろう。
 そしてこれから先、さざ波のようにデルタ株が全国へ波及していくことだろう。

 病院内には、ワクチン接種後の患者、職員もいれば、ワクチン未接種の患者、職員もいる。
 そこには明らかなワクチン格差がある。
 未接種の職員はともかくも、未接種の患者は、背景疾患と病状のために接種を見送られている人も少なくない。
 夏休み期間中に、無症候性、あるいは軽症のデルタ株感染者がそうした患者のもとへウイルスを持ち込まないことを祈るばかりである。
 自分が持ち込むかもしれないと思うと、恐ろしくてならない。


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