2011年度のデータベースから

tak

2021年05月08日 21:49

 2011年度のデータベースをまとめてみた。
 統計解析にはEZRを用いた。

1)患者背景

 この時期に確定診断した原発性肺がんの患者数は50人。

 年齢中央値は76歳、最高齢は88歳。
 男性は33人、66%と全体の約2/3を占めた。

 組織型別では腺がんが28人で、全体の56%を占めた。
 その他では腺扁平上皮がんを1人、分類不能を2人認めた。

 臨床病期別では、IA期17人が最多で、続いてIB期とIV期の各12人ずつが続く。
 この年は、EGFR遺伝子変異陽性の患者が多く、全体の38%、腺がん患者に限っていえば実に61%に達した。
 まだ扁平上皮がんでもEGFR遺伝子変異を一部検索していたころで、15人中2人(13%)で陽性が確認された。
 その他の遺伝子異常は確認されなかった。

2)全体の生命予後
 50人全員を対象とした生存曲線は以下の通り。

 5年生存割合は50%、95%信頼区間は35-63%。
 生存期間中央値は4.2年、95%信頼区間は2.4年-未到達だった。

3)性別ごとの生命予後

 有意差こそついていないものの、生存曲線はきれいに分かれており、やはり女性の方が予後がいい。


4)組織型ごとの生命予後

 小細胞がんの予後が悪いのは言うまでもないが、腺がんと扁平上皮がんの間には5年目まではそれほどの差異はない。


5)臨床病期ごとの生命予後

 患者数が10人を超えているIA期、IB期、IV期に着目する。
 IV期の患者が予後が悪いのは当たり前だが、IB期よりもIA期の方が予後不良なのが目に留まる。
 本来もっとも予後の良いIA期の患者の5年生存割合が64%に留まっているのは気がかりである。


6)EGFR遺伝子変異

 2011年度は腺がんのみならず扁平上皮がんの一部でもEGFR遺伝子変異が確認されたので、全員を対象としてEGFR遺伝子変異の有無で生命予後を見た。
 生存曲線はきれいに上下に分かれているが、p=0.14と有意差はつかなかった。
 それでも、EGFR遺伝子変異陽性では生存期間中央値8.9年、5年生存割合58%(95%信頼区間は33-76%)であり、対するEGFR遺伝子変異陰性では生存期間中央値3.2年、5年生存割合45%(95%信頼区間は27-61%)だった。
 続いて、腺がんの患者に限ってEGFR遺伝子変異と生命予後の関係性を見てみた。

 これも生存曲線はきれいに上下に分かれているが、p=0.099で有意水準に達しなかった。
 とはいえ、EGFR遺伝子変異陽性なら生存期間中央値未到達、5年生存割合は65%に達している。

7)IIIB-IV期腺がんの生命予後
 IIIB-IV期の腺がん患者が11人いたので、この群のみを抽出して解析してみた。

 生存期間中央値は2.0年、5年生存割合は18%、95%信頼区間は2.9-44%だった。
 6人に1人は5年生存しているわけで、大いに健闘していると言っていいだろう。
 EGFR遺伝子変異別に解析してみると、少数での検討にも関わらず明らかに違いが見られる。

 EGFR遺伝子変異陰性では生存期間中央値はわずか0.39年、EGFR遺伝子変異陽性では生存期間中央値2.8年、5年生存割合は29%、95%信頼区間は4.1-61%、p=0.0082と有意差を以てEGFR遺伝子変異陽性の方が予後良好だった。


 

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