2010年度のデータベースから

tak

2021年05月05日 11:42

 2010年度のデータベースをまとめてみた。
 統計解析にはEZRを用いた。
 今日はExcelのデータをEZRに読み込ませるのにかなり苦労した。

1)患者背景

 この時期に確定診断した原発性肺がんの患者総数は56人。
 年齢中央値は72歳、最高齢は84歳。
 男性は32人、57%と、2009年度よりは女性の患者が増えている印象を受ける。

 年齢分布をみると、70-75歳にピークがあるのは2009年度と変わらない。

 組織型では腺がんが圧倒的多数を占めており、2/3に及ぶ。
 その他では、腺扁平上皮がんが1人、分類不能が2人だった。

 臨床病期別にみると、IV期が最多で、IA期、IIIB期、IIIA期と続く。
 III-IV期を切除困難・不能と考えるならば、60%がそのように分類される。
 EGFR遺伝子変異陽性患者は15人で、全て腺がん患者、女性が12人で男性3人という内訳だった。
 その他の遺伝子異常は見つからなかった。

2)全体の生命予後
 56人全員を対象とした生存曲線は以下の通り。

 5年生存割合は45%、95%信頼区間は31%-57%。
 10年生存割合は25%、95%信頼区間は14%-39%。
 生存期間中央値は1.9年だった。
 
3)性別ごとの生命予後

 2008年度、2009年度とは異なる傾向が見られる。
 確定診断から2年間はほとんど性差が見られない。
 2年間を耐え忍んでからの女性は長生きしていて、まるで免疫チェックポイント阻害薬を使用した患者の生存曲線を見ているようだ。


4)組織型ごとの生命予後

 2010年度においては、腺がんと扁平上皮がんの生存曲線の関係は、女性と男性の生存曲線の関係に近い。
 実際のところ、女性24人のうち腺がんは21人、扁平上皮がんは0人であるのに対し、男性32人のうち腺がんは16人、扁平上皮がんは10人で、p=0.0034で有意な相関がある。
 相変わらず小細胞がんは予後最悪で、確定診断から2年間生き延びる人はいなかった。


5)臨床病期ごとの生命予後

 ここでは、IA期、IIIB期、IV期がそれぞれ10人を超える患者を要しているので、抽出して検討する。

 IA>IIIB>IV期と妥当な順で予後良好なことがわかる。

6)腺がんとEGFR遺伝子変異


 2009年度と同様、腺がん全体でEGFR遺伝子変異の有無により生命予後に差が出るかどうかを見てみた。
 p=0.20と有意水準には達しなかったが、生存曲線は上下に分かれており、EGFR遺伝子変異陽性の方が生命予後が良さそうだ。
 臨床病期との相関を見てみたがp=0.30と有意な相関は認められず、EGFR遺伝子変異陽性の方が早期に診断されたというわけでもない。

7)IIIB-IV期腺がんの生命予後
 IIIB期、IV期の切除不能腺がん患者が併せて17人いたので、この群のみを抽出して解析してみた。

 生存期間中央値は0.73年、5年生存割合は12%、95%信頼区間は2%-31%だった。
 5年生存者がいただけでも僥倖というべきか、EGFR遺伝子変異陽性者が6人含まれることを考えるともう少し長生きしてほしかったというべきか。
 EGFR遺伝子変異の有無で解析してみると。

 きれいに並行に走る生存曲線になった。

 当初2年間だけで考えれば、3-4ヶ月程度の生存期間上乗せがあるというところだろうか。
 p値は0.35で両群間に有意差はない。

 

関連記事