2015年度のデータベースから

tak

2021年06月01日 00:25

 2015年度のデータベースをまとめてみた。
 統計解析にはEZRを用いた。

1)患者背景

 2015年度の患者数は70人だった。


 年齢中央値は74歳、最高齢は89歳だった。
 男性は49人で、全体の70%を占めた。


 組織型別では腺癌が34人で、全体の49%を占めた。
 扁平上皮癌が24人で全体の34%を占め、神経内分泌腫瘍(小細胞癌+大細胞神経内分泌癌)が5人で全体の7%程度に留まった。
 

 臨床病期別では、IV期が23人で、全体の33%を占めた。
 一方で、IA-IIB期の根治切除適応の患者が全体の約半数を占めていることもまた、本年度の特徴である。
 EGFR遺伝子変異陽性の患者は、全体の約20%、腺癌患者の約45%を占めた。
 本年度はALK融合遺伝子陽性患者は認められなかった。

2)全体の生命予後
 70人全員を対象とした生存曲線は以下の通り。

 5年生存割合は52%(95%信頼区間39-63%)、生存期間中央値は5.4年(95%信頼区間2.0年‐未到達)だった。

3)性別ごとの生命予後

 生存曲線は、女性の方が上方にある。
 女性の5年生存割合は56%(95%信頼区間32-74%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間1.3年-未到達)。
 男性の5年生存割合は50%(95%信頼区間35-63%)、生存期間中央値は5.4年(95%信頼区間1.7年-未到達)。
 p=0.444で有意差はつかなかった。

4)組織型ごとの生命予後

 腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌のみ取り扱う。
 腺癌の5年生存割合は55%(95%信頼区間37-70%)、生存期間中央値は5.4年(95%信頼区間2.0年-未到達)。
 扁平上皮癌の5年生存割合は62%(95%信頼区間39-78%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間1.8年-未到達)。
 小細胞癌の5年生存割合は0%、生存期間中央値は0.66年(95%信頼区間0.085年-未到達)。
 患者数は少ないものの、腺癌、扁平上皮癌以外の生命予後の悪さが際立つ1年だった。

5)臨床病期ごとの生命予後

 患者数が10人を超えているIA期、IB期、IV期のみ取り扱う。
 IA期の5年生存割合は88%(95%信頼区間60-97%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間5.4年-未到達)。
 IB期の5年生存割合は92%(95%信頼区間54-99%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間未到達-未到達)。
 IV期の5年生存割合は4.3%(95%信頼区間0.3-18%)、生存期間中央値は0.82年(95%信頼区間0.30‐1.4年)。
 IA期/IB期は極めて生命予後良好である一方で、IV期の生命予後の悪さもまた、2014年度と比較して際立っている。

6)EGFR遺伝子変異

 EGFR遺伝子変異陰性患者の5年生存割合は48%(95%信頼区間34-61%)、生存期間中央値は3.5年(95%信頼区間1.1年-未到達)。
 EGFR遺伝子変異陽性患者の5年生存割合は66%(95%信頼区間37-84%)、生存期間中央値は未到達(95%信頼区間2.7年-未到達)。
 生存曲線は明らかにEGFR遺伝子変異陽性の方が上方にあり生命予後良好に見えるが、p=0.084と統計学的有意差はつかなかった。

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