進展型肺小細胞癌と予防的全脳照射

tak

2014年10月13日 20:58

 治療内容にも、「お国柄」というものがあります。
 小細胞がんに関していえば、進展型小細胞癌の治療は、
 ・我が国:シスプラチン+イリノテカン
 ・米国:シスプラチン+エトポシド
 ・欧州:シクロフォスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチンとシスプラチン+エトポシドの交代療法
といったように、治療内容が国や地域によって異なるのは珍しくありません。
 
 化学療法だけでもそうですが、このところ進展型小細胞癌に対する放射線治療の在り方についても、我が国と欧州でずれが生じつつあります。
 肺小細胞癌に対して化学(放射線)療法を行い、CRもしくはgood PRが得られた場合には、予防的全脳照射を行うのが標準治療とされています。
 よく引き合いに出されるのが、フランスのAuperin先生の以下の論文です。

 Prophylactic cranial irradiation for patients with small-cell lung cancer in complete remission. Prophylactic Cranial Irradiation Overview Collaborative Group.
 Aupérin A, Arriagada R, Pignon JP, Le Péchoux C, Gregor A, Stephens RJ, Kristjansen PE, Johnson BE, Ueoka H, Wagner H, Aisner J.
 N Engl J Med. 1999 Aug 12;341(7):476-84

背景:肺小細胞がんの患者において、予防的全脳照射は脳転移の出現を減らす。治療後に完全奏効に至った際に予防的全脳照射を行うとどの程度予後が改善するのかよくわかっていない。今回我々は、予防的全脳照射が予後を改善するのか調べるため、メタアナルシスを行った。
方法:予防的全脳照射を行うか否かを比較した7つの臨床試験に参加し、治療後に完全奏効に至った987人の個別のデータを解析した。腫瘍評価項目は全生存期間とした。
結果:コントロール群に比べて、治療群の全死亡の相対リスクは0.84(95%信頼区間:0.73-0.97, p=0.01)であった。


 これは、3年生存割合にして5.4%の増加(コントロール群15.3%に対して、治療群20.7%)に等しい。予防的全脳照射により無病生存期間も延長し(再発もしくは死亡の相対リスクは0.75,95%信頼区間:0.65-0.86,p

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