FLAURA全生存期間に関する論文の精読

tak

2019年11月30日 23:25

<FLAURA試験に関するこれまでの記事>
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e906089.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e913700.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e954089.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e964659.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e966520.html


 FLAURA試験の全生存期間解析に関する論文を細かく読んでみた。
 全生存期間の解析結果が興味深いことは間違いないが、本試験の主要評価項目は無増悪生存期間だったことを忘れてはならない。
 あくまで本試験は、主要評価項目である無増悪生存期間を延長したことに第一義がある。
 その上で、である。
 これまで、EGFR-TKIが絡むhead to head試験で、無増悪生存期間を延長するものの全生存期間を延長できなかった、ということが繰り返されてきた。
 そんな中で、主要評価項目の無増悪生存期間、副次評価項目の全生存期間を、いずれも延長したというのはやはり称賛に値する。
 pivotal trialであることは間違いないので、今後のために記録を残す。


Overall Survival with Osimertinib in Untreated, EGFR-Mutated Advanced NSCLC

S.S. Ramalingam, J.C. Soria et al., N Engl J Med 2019

DOI: 10.1056/NEJMoa191366
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1913662?query=RP


図表:











背景:
 オシメルチニブは第3世代の非可逆性のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)で、EGFR-TKI感受性遺伝子変異およびT790M耐性遺伝子変異を来したEGFRを選択的に阻害する。今回の第3相試験(FLAURA)では、EGFR陽性の進行非小細胞肺がん患者に対する初回治療として、オシメルチニブと他のEGFR-TKIを比較した。本試験は、オシメルチニブが他のEGFR-TKIより有意に無増悪生存期間を延長することを示した(ハザード比0.46)。しかし、全生存期間に関する最終解析結果はいまだ示されていない。

方法:
 本試験では、556人のEGFR遺伝子変異(Exon 19欠失変異もしくはExon 21 L858R点突然変異)陽性未治療進行非小細胞肺がん患者を、1:1の比率でO群(オシメルチニブ 80mgを1日1回服用)とG/E群(ゲフィチニブ 250mgを1日1回服用、もしくはエルロチニブ 150mgを1日1回服用)に無作為に割り付けた。全生存期間は副次評価項目であった。

結果:
 生存期間中央値はO群で38.6ヶ月(95%信頼区間は34.5ヶ月から41.8ヶ月)、G/I群で31.8ヶ月(95%信頼区間は26.6ヶ月から36.0ヶ月)だった(ハザード比は0.80、95.05%信頼区間は0.64-1.00、P=0.046)。3年間の追跡期間後、O群では279人中79人(28%)が、G/I群では277人中26人(9%)がプロトコール治療を継続しており、各治療の継続期間中央値はO群で20.7ヶ月、G/I群で11.5ヶ月だった。Grade 3以上の有害事象はO群で42%、G/I群で47%だった。

結論:
 EGFR陽性の未治療進行非小細胞肺がん患者において、オシメルチニブを服用した患者ではゲフィチニブ/エルロチニブを服用した患者より全生存期間が延長した。より長期にわたり治療を継続したにもかかわらず、オシメルチニブによる有害事象プロファイルはゲフィチニブ/エルロチニブと同様だった。

本文より:
・2017年6月12日時点でデータカットオフを行った初回解析時点では、オシメルチニブはゲフィチニブ/エルロチニブと比較して有意に無増悪生存期間を延長した(中央値は18.9ヶ月 vs 10.2ヶ月、ハザード比は0.46、p

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