少数の遠隔転移を有するEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対する局所療法の有効性について。
個人的な見解に過ぎないが、方法論としては放射線治療のほか、手術も考えていいのではないかと思っている。
局所症状の治療ないしは予防に役立つし、腫瘍の性質を詳しく知るのに役立つ。
幸いなことに、大分ではサイバーナイフを用いた精密な定位照射が可能である。
今回の報告を踏まえると、ときにはIV期の患者であっても、適応を考えていいだろう。
First-line tyrosine kinase inhibitor with or without aggressive upfront local radiation therapy in patients with EGFRm oligometastatic non-small cell lung cancer: Interim results of a randomized phase III, open-label clinical trial (SINDAS) (NCT02893332).
Xiaoshan Wang et al.
2020 ASCO Virtual Scientific Program
abst.#9508
背景:
少数の遠隔転移を伴う(oligometastatic)進行非小細胞肺がん患者に対して、病勢制御の目的で積極的に局所療法を加えていくことが効果的かどうかはよくわかっていない。今回の多施設共同、無作為化、オープンラベル、第III相臨床試験は、EGFR遺伝子変異陽性で、少数の遠隔転移を伴う未治療進行非小細胞肺がん患者を対象に、診断時点で確認された全ての遠隔転移巣に対して定位放射線治療を治療初期から行った際の無増悪生存期間と全生存期間を検証した。
方法:
本試験は、中国国内で異なる行政単位(省)に属する5か所の医療機関の共同で行われた。適格条件は、病理学的に確認された原発性肺腺がんであること、遺伝子変異検索によりEGFR遺伝子変異が確認されていること、臨床病期IV期であること、5か所以下の遠隔転移巣を伴うこと、ECOG-PSが2以下であること、全身治療(薬物療法)未施行であること、無作為化前の段階で脳転移が確認されていないこと、とした。試験参加者は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬単剤療法のみを受ける群(標準治療群)と、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬を使用しつつ、全ての遠隔転移巣に対して定位放射線照射を並行して行う群(試験治療群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間とした。
結果:
2016年1月から2019年1月にかけて、133人の患者が登録され、65人(48.8%)が標準治療群に、68人(51.1%)が試験治療群に割り付けられた。追跡期間中央値19.6ヶ月(四分位区間は9.4から41.0ヶ月)の時点で、無増悪生存期間中央値は標準治療群で12.5ヶ月、試験治療群で20.2ヶ月だった(ハザード比0.6188、95%信頼区間0.3949-0.9697、p