化学療法+免疫チェックポイント阻害薬併用療法も随分定着してきた感がある。
若年、TPSが低めの患者を選択して適用されているように感じる。
いまのところ、化学療法のみ、あるいは免疫チェックポイント阻害薬のみの治療に比べて、重篤な有害事象が出ているようにも、有害事象の頻度が増えているようにも見えない。
ASCO2019、WCLC2019でKEYNOTE-189の最新データが公表されていた。
過去記事へのリンクも併せて引用する。
全体のOS、PFSの結果のインパクトもさることながら、TPS別のPFS2、TMB別のOSデータが興味深い。
TPSに関わらず全ての患者層でPFS2が、それも圧倒的なHRのもとに併用療法群で延長している。
また、TMBに関わらず、全ての患者層でOSが、同様に併用療法群で延長している。
患者に治療を受け入れる体力、理解力、経済力があれば、分子標的薬の適応がない進行期非扁平上皮・非小細胞肺癌の患者なら、TPS・TMBの値に関わらず(TPS・TMB評価不能の患者も含めて)迷わず勧めていい治療ということになるだろう。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e927301.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e931610.html
Updated Analysis From KEYNOTE-189: Pembrolizumab or Placebo Plus Pemetrexed and Platinum for Previously Untreated Metastatic Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer
Shirish Gadgeel et al. J Clin Oncol 2020
DOI: 10.1200/JCO.19.03136
背景:
KEYNOTE-189試験において、進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する初回治療として、プラチナ製剤+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ(PPP)併用療法は、プラチナ製剤+ペメトレキセド(PP)併用療法に対して、PD-L1発現状態にかかわらず有意に全生存期間、無再発生存期間を延長した。今回は、その最新解析結果を報告する。
方法:
対象患者はPPP群(410人)とPP群(206人)に2:1の割合で無作為に割り付けられ、3週間隔、4コースの治療を受けた。その後、PPP群ではペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用維持療法を、PP群ではペメトレキセド+偽薬併用維持療法を最大35コースまで行った。PP群の患者で、病勢進行に至った適格患者は、ペンブロリズマブ単剤療法へのクロスオーバーが許されていた。RECIST ver.1.1に則り腫瘍縮小効果が評価された。今回の追跡調査において、統計学的なα値は割り当てられなかった。
結果:
2018年9月21日まで(追跡期間中央値は23.1ヶ月)の段階で、全生存期間中央値はPPP群で22.0ヶ月(95%信頼区間は19.5-25.2ヶ月)、PP群で10.7ヶ月(8.7-13.6ヶ月)だった(ハザード比0.56、95%信頼区間0.45-0.70)。無増悪生存期間中央値は、PPP群で9.0ヶ月(8.1-9.9ヶ月)、PP群で4.9ヶ月(4.7-5.5ヶ月)だった(ハザード比0.48、95%信頼区間は0.40-0.58)。無作為化から二次治療後の病勢進行もしくは死亡までの期間、いわゆる二次無増悪生存期間中央値は、PPP群で17.0ヶ月(15.1-19.4ヶ月)、PP群で9.0ヶ月(7.6-10.4ヶ月)だった(ハザード比0.49、95%信頼区間0.40-0.59)。全生存期間、無増悪生存期間は、PD-L1の発現状態によらず、肝転移や脳転移の有無によらず、一貫してPPP群で優れていた。grade 3-5の有害事象の発現率は両治療群間で同等(PPP群で71.9%、PP群で66.8%)だった。
結論:
進行非扁平上皮非小細胞肺がん患者におけるペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法は、PD-L1発現状態や肝転移、脳転移の有無によらず全生存期間と無増悪生存期間を改善し、毒性は忍容可能で、長期経過観察後もそれらの傾向は続いていた。