第III相CAPITAL試験:70歳以上の高齢者進行肺扁平上皮癌で、CBDCA+nabPTXが新たな標準治療へ
今年のASCOでは、本邦発の、実臨床に活かせる発表が多い。
その最たるものがこのCAPITAL試験ではないだろうか。
これだけ明らかな差がつくと、この患者集団にCBDCA+nabPTX併用療法を使用しないのは、倫理的に問題があると言っていいくらいだろう。
あとは、免疫チェックポイント阻害薬とどう使い分けるか、あるいはどう併用するかという問題だろう。
A randomized phase III study comparing carboplatin with nab-paclitaxel versus docetaxel for elderly patients with squamous-cell lung cancer: Capital study.
Yoichiro Hamamoto et al., 2021 ASCO Annual Meeting abst.#9031
背景:
細胞障害性抗腫瘍薬単剤療法は高齢の進行非小細胞肺がん患者に対する標準治療のひとつである。進行肺扁平上皮癌の患者に対するカルボプラチン+ナブパクリタキセル(CBDCA+nabPTX)併用療法は、カルボプラチン+パクリタキセル(CBDCA+PTX)併用療法と比較して有意に奏効割合が高く、70歳以上の患者サブグループでは全生存期間の延長も見込まれた。今回、高齢の進行肺扁平上皮癌の患者を対象に、CBDCA+nabPTX併用療法とドセタキセル(DTX)単剤療法を比較した。
方法:
CAPITAL試験は多施設共同、オープンラベル、第III相ランダム化比較試験であり、日本国内の92施設が参加した。適格条件は以下の通りとした:未治療進行肺扁平上皮癌患者、70歳以上、ECOG-PS 0-1。対象患者はDTX群(DTX 60mg/㎡を3週ごと)もしくはCnP群(CBDCA 6AUCを3週ごと、nabPTX 100mg/㎡を毎週)に1:1の割合で割り付けられた。層別化因子は年齢(75歳未満と75歳以上)、性別、ECOG-PS、治療施設、臨床病期(III期とIV期)、測定可能病変の有無だった。主要評価項目は全生存期間とした。副次評価項目は奏効割合、無増悪生存期間、安全性とした。
結果:
2015年12月から2020年08月にかけて、196人の患者が無作為割り付けを受けた(D群98人、CnP群98人)。追跡期間中央値は11.5ヶ月だった。患者年齢の中央値は76歳(70-88歳)だった。全体の87%は男性だった。各群における患者背景は、年齢中央値がDTX群77歳(70-88)、CnP群76歳(70-87)、男性がDTX群87.6%、CnP群86.3%、PS 0はDTX群32.0%、CnP群34.7%、IV期はDTX群70.1%、CnP群71.6%、免疫チェックポイント阻害薬の投与歴があったのはDTX群9.3%、CnP群9.5%だった。あらかじめ規定されていた2020年08月の中間解析の時点で、独立モニタリング委員会が主要評価項目である全生存期間の改善を確認(p値が中間解析時点での有意水準である0.01058を下回った)したため、今回の報告が最終結果報告となる。CnP群はDTX群に対して有意な生存期間延長効果を示した(生存期間中央値はCnP群16.9ヶ月(95%信頼区間12.6-25.4)、DTX群10.9ヶ月(95%信頼区間8.5-12.4)、ハザード比0.52(95%信頼区間0.38-0.70)、p=0.0003)。無増悪生存期間においても、CnP群はDTX群と比較して有意に良好だった(無増悪生存期間中央値はCnP群5.8ヶ月(95%信頼区間4.5-7.0)、DTX群4.0ヶ月(95%信頼区間3.0-4.4)、ハザード比0.42(95%信頼区間0.38-0.58)、p
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